2026年10月1日までに、何を準備すればいい?
方針の明確化・社内周知
「従業員をカスハラから守る」という組織の方針をトップメッセージとして明文化し、全社に周知します。
相談体制の整備
被害を受けた従業員が一人で抱え込まず、安心して相談できる窓口とルートを用意します。
対応ルール・マニュアル
正当なクレームとカスハラの判断基準、対応手順、エスカレーションのルールを整備します。
事後対応・心理的ケア
被害後の配慮(配置・業務調整)に加え、感情の回復を支える心理的ケアの仕組みを組み込みます。
研修・教育
従業員・管理職それぞれに、対応スキルと心を守るスキル(感情調整・レジリエンス)を教育します。
プライバシー保護・運用評価
相談者のプライバシーを守り、対策の運用状況を定期的に評価・改善します。
※ 制度の詳細は厚生労働省の最新の指針・マニュアル等をご確認ください。本研修は、この準備プロセスのうち「研修・教育」と「心理的ケア」を中心にご支援します。
カスハラとは?——3つの要素で判断する
「クレーム=カスハラ」ではありません
商品やサービスへの正当な指摘・要望は、企業にとって改善の機会となる大切な声です。問題となるのは、要求の内容や手段・態様が社会通念上相当な範囲を超え、働く人の尊厳や就業環境を傷つける言動です。「何でもカスハラ扱いしない」こともまた、顧客との信頼関係を守るうえで重要です。
| 正当なクレーム | カスタマーハラスメント | |
|---|---|---|
| 目的 | 商品・サービスの改善、正当な補償 | 攻撃・支配・過剰な要求 |
| 内容 | 事実に基づく指摘・要望 | 土下座の要求・人格否定・脅迫など |
| 手段・態様 | 社会通念上相当な範囲 | 暴言・長時間拘束・SNSでの晒し等 |
| 企業の対応 | 傾聴・事実確認・改善対応 | 組織的対応・境界設定・従業員保護 |
カスハラの代表的な行為類型
暴言・威嚇・脅迫土下座の要求長時間・繰り返しの拘束過剰・不当な要求SNS・ネットでの誹謗中傷セクシュアルな言動従業員個人への攻撃
ポジティブ心理学だからこそできるカスハラ対策——5つの柱
感情調整
怒りや不安を無理に消すのではなく、感情を理解し、受けとめ、認知的再評価などの技法で適切に調整する力を育てます。
レジリエンス
カスハラを受けた後に、心理的に回復する力(心理的回復力・逆境力)を科学的なトレーニングで高めます。
ストレングス
「自分はカスハラ対応が苦手だ」ではなく、「自分が活用できる強み」を発見し、得意な対応スタイルを見つけます。
自己効力感
「どうせ対応できない」から「この場合には、この方法で対応できる」へ。具体的な成功体験を積み上げます。
ウェルビーイング
カスハラを減らすだけでなく、心理的安全性のある、安心して働ける職場環境そのものをつくります。
+ 組織対応・境界設定
個人の心理スキルを、報告・相談・エスカレーションといった組織的対応と接続し、「一人にしない」体制を支えます。
従来型カスハラ研修との違い
| 観点 | 従来型カスハラ研修 | ポジティブ心理カウンセラー協会版 |
|---|---|---|
| 目的 | 被害防止・対応マニュアル | 守る + 回復する・成長する |
| 対応スキル | 対応方法・話法 | 感情調整 + 境界設定 |
| 体制 | マニュアル・組織対応 | 組織対応 + 心理的安全性 |
| 従業員教育 | 対応スキル研修 | レジリエンス・自己効力感の育成 |
| メンタル対策 | ストレス管理 | ウェルビーイングの向上 |
| カスハラ後 | 事後対応・記録 | 心理的ケア・回復・成長支援 |
「個人 → 回復 → 成長 → 組織」——4つの心理力モデル
感情調整力
怒り・不安・恐怖・ストレスへの対処。感情の受容と認知的再評価で、その場の心を守る。
レジリエンス
ストレス対処と心理的回復。希望と自己効力感を支えに、困難から立ち直る。
ストレングス
自分の強み・得意な対応スタイルの発見。自己理解が自信と成長につながる。
心理的安全性
一人で抱えない。上司への相談・エスカレーション・チーム支援・組織的対応へ。
従来の「従業員・管理職・組織」の3層対応(コーチング心理学協会のカスハラ対応研修参照)に、心理的な「回復」と「成長」のプロセスを重ねた本協会独自の研修モデルです。
ケーススタディ——判断と対応の流れを具体的に学ぶ
研修では、実際に起こりやすい場面を教材に「カスハラかどうかの判断 → 境界設定 → 組織対応 → 心理的ケア」までの一連の流れを演習します。
ケース1|長時間の電話
「担当者を出せ」「責任者を呼べ」と2時間以上の電話。
- 何がカスハラに当たるかを整理(長時間拘束)
- 時間と対応範囲の境界線を設定して伝える
- 管理職へエスカレーション・対応を交代
- 終了後、対応者の心理的ケアと記録
ケース2|SNSでの脅迫
「名前を晒すぞ」という脅し。
- まず対応者の安全確保・個人対応を中止
- 組織へ報告し、事実と経緯を記録
- 必要に応じて法務・警察等へ相談
- 本人への心理的ケアと業務上の配慮
ケース3|正当なクレーム
「購入した商品に不具合がある」という申し出。
- これはカスハラではなく正当なクレーム
- 丁寧に傾聴し、不快にさせた点は誠実に対応
- 事実確認と改善対応を実施
- 「何でもカスハラ扱いしない」姿勢を共有
研修プログラム——対象と目的に合わせて設計します
従業員向け(基礎)
カスハラの理解と判断基準/その場の感情調整/境界設定の伝え方/相談・報告の仕方/セルフケアとレジリエンスの基礎。
管理職向け
判断とエスカレーション/部下の保護と声のかけ方/記録・組織対応/事後の心理的ケアとフォロー面談/チームの心理的安全性づくり。
組織・人事向け
2026年10月義務化への準備ロードマップ/方針・マニュアル・相談体制の設計/研修体系の構築/ウェルビーイング指標での効果測定。
| 対象者 | 中心テーマ |
|---|---|
| 経営者・人事 | 2026年10月の義務化に向けて何を準備すればいいか(体制・規程・研修・ケアの全体設計) |
| 管理職 | 部下がカスハラを受けたとき、管理職はどう対応するか(判断・交代・ケア) |
| 現場社員 | カスハラを受けたとき、自分をどう守るか(感情調整・境界設定・相談) |
| 接客・営業 | 顧客との関係を壊さず、適切な境界線を設定するには |
| 医療・福祉 | 患者・家族・利用者からの著しい迷惑行為への対応と、ケア職自身の心の回復 |
| 教育 | 保護者対応・クレーム対応に心理学を活用する |
※ 実施時間・回数・内容は、業種・課題・受講対象に合わせてカスタマイズします。日程・費用はお問い合わせください(お見積りは無料です)。
カスハラ対応をさらに専門的に学びたい方へ——協会の資格講座
学びのステップ——「対応の専門家」から「ウェルビーイング支援人材」へ
| ステップ | 学ぶこと | 対応する講座 |
|---|---|---|
| 1. カスハラ対応を知る | 定義・判断・境界設定・組織対応 | 本カスハラ対応研修 |
| 2. 感情調整を学ぶ | 感情の理解・受容・再評価・ポジティブ感情 | ポジティブ感情カウンセラー®/マインドフルネスカウンセラー |
| 3. 回復力を学ぶ | レジリエンス・ストレス対処・希望 | レジリエンスカウンセラー |
| 4. 強みを学ぶ | 強みの発見・活用・自己効力感 | ストレングスカウンセラー®/エンカレッジカウンセラー |
| 5. カウンセリング技術を学ぶ | 傾聴・対話・支援の体系 | ポジティブ心理カウンセラー® |
| 6. 現場へ応用する | 職場・教育・医療・福祉・キャリア支援 | 法人研修・認定資格の活用 |
監修・運営
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
「ポジティブ心理学は、すべての人に必要である」という理念のもと、ポジティブ心理学・レジリエンス・ストレングス・マインドフルネスなどの科学的知見に基づくカウンセラー養成講座と法人研修を提供しています。ネガティブ感情を否定せず、成長の糧として活かす総合的アプローチが特徴です。
代表理事・監修:徳吉 陽河(一般社団法人コーチング心理学協会 代表理事を兼務。マーティン・セリグマン博士らによる『TOMORROWMIND(これからの生き方)』日本語版監訳・解説)。累計4,000名超のカウンセリング・コーチング・研修の実績をもとに、科学的根拠と現場実践をつなぐプログラムを監修しています。