ウェルビーイングを関わる人が 『これからの生き方 揺らぐ世界で何度でも立ち直る力 Tomorrowmind』日本語版をおすすめる理由
ウェルビーイングを関わる人が 『これからの生き方 揺らぐ世界で何度でも立ち直る力 Tomorrowmind』日本語版をおすすめる理由
~不確かな時代を生き抜く「心の免疫力」を、科学が証明した5つの柱で育てる~
はじめに:「なんとなくしんどい」あなたへ
「仕事はできているはずなのに、なぜか心が疲れている」
「変化が激しすぎて、先のことを考えると不安になる」
「頑張っているのに、充実感が感じられない……」
そんな声を、コーチングやカウンセリングの現場で日々耳にします。あなたにも、似たような感覚を覚えた瞬間があるのではないでしょうか。
このブログでは、ウェルビーイングや心理学に関心を持つ方、あるいはコーチ・カウンセラー・HR担当者として人の成長に携わる方に向けて、一冊の本をご紹介したいと思います。それが、マーティン・セリグマンと ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン(Gabriella Rosen Kellerman)が著した『Tomorrowmind(トゥモローマインド)』の日本語版です。
この本は単なる「ポジティブ思考のすすめ」ではありません。変化と不確実性が常態となった現代において、心の回復力(レジリエンス)と適応力を科学的根拠に基づいて育てるための実践書です。
| 🔑 この記事でわかること
・『Tomorrowmind』日本語版とはどんな本か ・ウェルビーイングに関わる人が読むべき5つの理由 ・PRISMフレームワークの概要と実践ポイント ・コーチ・HR担当者への具体的な活用提案 ・よくある質問(FAQ) |
『これからの生き方 揺らぐ世界で何度でも立ち直る力
(Tomorrowmind日本語版)』とはどんな本か?

著者について
本書は、ポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマン(Martin E. P. Seligman)と、BetterUp社の最高イノベーション責任者を務めるギャブリエル・ウォーリン・ロー゙ゼンケラーマン(Gabriella Rosen Kellerman)による共著です。学術的な深さと、企業・ビジネスの現場に根ざした実証的アプローチが融合した一冊となっています。
本のテーマ:「VUCA時代の心のサバイバルガイド」
現代は「VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)」の時代と呼ばれます。テクノロジーの急速な変化、パンデミックの記憶、経済的不安定、AIによる雇用変化……。こうした環境に対応するために必要なのは、従来の「スキルアップ」だけでなく、心理的な適応能力——「Tomorrowmind(明日のための心)」——だと著者たちは主張します。
本書は、そのための科学的かつ実践的なフレームワーク「PRISM」を提唱しています。
PRISMフレームワーク一覧

| PRISM | 日本語版(推奨訳) | 内容 |
|---|---|---|
| P = Prospection | 未来予想力(プロスペクション) | 未来を予測し,可能性を想像し,準備する力 |
| R = Resilience & Cognitive Agility | レジリエンスと認知的敏捷性 | 変化や逆境から回復し,柔軟に適応する力 |
| I = Innovation & Creativity | イノベーションと創造性 | 新しい発想を生み出し,価値を創造する力 |
| S = Social Connection(Rapid Rapport) | 社会的つながり・迅速な信頼関係構築 | 他者との関係性を築き,支援を得る力 |
| M = Mattering & Meaning | 重要感と意味(ミーニング) | 「自分は価値ある存在である」という感覚と目的意識 |
従来のPERMAとPRISMの違い
| 項目 | PERMA | PRISM |
| 提唱者 | Martin Seligman | Gabriella Rosen Kellerman,Martin Seligman |
| 主な目的 | ウェルビーイング(幸福・繁栄)の理解と向上 | 不確実な未来に適応しながら繁栄する能力の開発 |
| 理論背景 | ポジティブ心理学1.0世代 | ポジティブ心理学+神経科学+進化心理学+組織心理学 |
| 焦点 | 「幸福な人生とは何か」 | 「変化の激しい時代をどう生き抜くか」 |
| 主な対象 | 個人の幸福と人生の充実 | 個人・組織・キャリアの適応と成長 |
| 時間軸 | 現在~人生全体 | 現在から未来への適応 |
| 職場との関連 | 間接的 | 非常に強い |
理由① 「今ここにある苦しさ」に科学が応答してくれる
ウェルビーイングに関わる仕事をしていると、しばしば「理論はわかるけど、実際の現場では通用しない」という壁にぶつかります。クライアントが抱える苦しさは、教科書に書いてある事例とは異なることが多い。そんなとき、この本が強みを発揮します。
『Tomorrowmind』が優れているのは、著者たちが「変化への適応困難」「慢性的な不安」「意味喪失感」といった現代特有の心理的苦境を、正面から取り上げている点です。「あなたが感じている苦しさは、時代の産物でもある」——そのメッセージは、クライアントにとって大きな安堵につながります。
特に第2章「変化はなぜこんなにも辛いのか」では、進化心理学の視点から、人間の脳がなぜ変化に適応しにくいかを解説しています。「自分が弱いわけではない。脳が過去の環境に最適化されているからだ」という説明は、自責感を抱えたクライアントへの心理教育として極めて有効です。
| 💡 現場での活用ポイント
クライアントが「自分だけがついていけない」と感じているとき、進化心理学的な視点から「それは自然な反応」と正常化(ノーマライズ)できる。本書の解説はその根拠として非常に使いやすい。 |
理由② PRISMフレームワークは「使える」心理ツールである
コーチやファシリテーターにとって、フレームワークは「会話を構造化する地図」です。良いフレームワークは、クライアントが自分自身を客観視するための鏡にもなります。
コーチングセッションへの統合例
- セッション開始時にPRISMの各軸を自己評価(1〜10のスケール)してもらい、ギャップを可視化する
- 「今どの要素を一番育てたいですか?」という問いで目標を絞り込む
- ホームワークをPRISMの特定要素に紐付け、週次で振り返る
また、「Mental Agility(認知的柔軟性)」の章では、CBT(認知行動療法)やACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)のエッセンスが平易な言葉で説明されており、コーチが心理教育ツールとして使うのにも適しています。
| ✏️ ワークショップ活用例
チームビルディングのワークショップで「PRISMの自己評価マトリクス」を使うと、メンバー同士の強みと成長領域が可視化され、心理的安全性の高い対話が生まれやすくなります。5〜10人程度のグループ対話に特に向いています。 |
理由③ 「意味と目的」を科学的に扱う稀有な一冊
「なぜ生きるのか」「この仕事に意味はあるのか」——こうした実存的な問いは、コーチングの現場で頻繁に登場します。しかし多くの自己啓発書はこの問いに対して、感情論的または精神論的な答えしか用意していません。
「Inner Drive(内的ドライブ)」の章では、心理学者のビクター・フランクルの「意味への意志」、エドワード・デシとリチャード・ライアンの「自己決定理論(SDT)」などを参照しながら、目的意識の形成プロセスを科学的に解き明かします。
特に印象的なのは、「目的は発見するものではなく、育てるものである」という主張です。「自分の使命がわからない」と悩むクライアントに対して、「それは正常なことで、行動を通じて少しずつ形成されていく」と伝えるための理論的支柱になります。
また、BetterUp社が保有する数百万人規模のデータをもとに「仕事における意味感」と「パフォーマンス・ウェルビーイング」の相関が示されており、個人コーチングのみならず、組織開発・人材育成にも活用できる根拠を提供しています。
理由④ 実践的ワーク・演習が豊富で現場に直結する
理論だけを学んでも、クライアントの変化を引き出すことはできません。この本のもう一つの強みは、各章末に具体的なエクササイズ・リフレクション問いが収録されている点です。
本書で紹介される実践例(一部)
- 「3つの良いこと(Three Good Things)」日記:ポジティブ感情の蓄積を促すセリグマン発の定番ワーク
- 「時間の意識」:時間を他者のために活用し,忙しいことに意識を向けすぎない。
- 「レジリエンスを高める質問法」:書籍に関わるレジリエンスを高める質問法
- 「マタリングマップ」:職場の重要感を高めるワーク
- 「強み棚卸しインタビュー」:Skills Masteryを自己認識と結びつける対話型ワーク
これらのワークは、セラピーとコーチングの中間的な性質を持っており、臨床家ではないコーチでも安全に活用できる形に設計されています。日本語版では各ワークの手順も明確に翻訳されており、即座にセッションへ取り込める点が高く評価されています。
理由⑤ 組織・チームへのウェルビーイング実装に道筋を示す
個人のウェルビーイングを高めるだけでなく、組織や職場環境を変革しようとするHR・OD(組織開発)の専門家にとっても、本書は強力なリソースです。
本書では,個人レベルの変化がどのように組織文化に波及するかを、システム思考の観点から論じています。また、リーダーシップとウェルビーイングの関係についても詳しく述べており、管理職向けの研修設計に応用可能な内容が多く含まれています。
組織活用の観点でのチェックリスト
- 1on1ミーティングにPRISM軸を取り入れ、メンバーの状態を定期アセスメントする
- チームの「Relationships」指標を定量化し、心理的安全性スコアと組み合わせて分析する
- 新入社員研修の「レジリエンス教育」モジュールとして本書のエクササイズを活用する
- 管理職向けコーチングでPRISMを使ったセルフアセスメントを実施する
特筆すべきは、著者たちが「ウェルビーイングは個人の責任ではなく、組織が環境として提供すべきもの」という立場を明確に打ち出している点です。この視点は、「自己責任論」に陥りがちなウェルビーイング施策を根本から問い直す契機になります。
こんな人に特におすすめ
- コーチ・カウンセラーとして、クライアントのレジリエンスを科学的に支援したい方
- HR・組織開発担当者で、ウェルビーイング施策を設計・推進したい方
- ポジティブ心理学を学んでいるが、VUCAへの対応フレームワークが欲しい方
- 変化が多い環境の中で、自分自身の心の健康を科学的に管理したい方
- チームリーダーとして、部下のウェルビーイングに責任を持ちたい方
よくある質問(FAQ)
Q: 『Tomorrowmind』日本語版はどこで買えますか?
A: Amazonや楽天ブックスで,2026年6月下旬発売。
https://books.rakuten.co.jp/rb/18667278/
Q: PRISMフレームワークとPERMAモデルの違いは何ですか?
A: PERMAはセリグマンが2011年に提唱したウェルビーイングの5要素(Positive Emotions / Engagement / Relationships / Meaning / Achievement)です。PRISMはVUCA時代に特化した発展版で、「変化への適応」と「未来への備え」を重視した設計になっています。PERMAが「現在の幸福状態」を測るモデルなら、PRISMは「変化の中でも幸福を維持する能力」を育てるモデルと捉えることができます。
Q: コーチング資格なしでも本書のワークは使えますか?
A: 本書のワークの多くは、日常のセルフケアやチームワーク、1on1ミーティングなど、専門資格なしでも活用できる形で設計されています。ただし、深刻なメンタルヘルスの問題がある場合は
Q: 『Tomorrowmind』は英語版と内容が同じですか?
A: はい。日本語版は原著をほぼ忠実に翻訳しており、演習や図表も含めて内容は同等です。翻訳のクオリティが高く、専門用語も適切に日本語化されていると評価されています。
Q.一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会では,「これからの生き方」「揺らぐ世界で何度でも立ち直る力」「Tomorrowmind」に関する方法を学べますか?
はい、当協会では,一般的な心理学,ポジティブ心理学などの視点から,ポジティブ心理カウンセラー講座,レジリエンスについて扱っています。科学的なエビデンスと物語のナラティブを活用して,より現代的な視点でのレジリエンスを学ぶ事可能です。おもに,レジリエンスカウンセラー講座などで開催しております。
https://positive-counselor.org/event/resilience/
Q.一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会では,
「これからの生き方」「揺らぐ世界で何度でも立ち直る力」「Tomorrowmind」に関する実践を団体研修・法人研修などを実施してますか?(新入社員・中途社員・管理職研修など)
はい,実施しております。多数の研修事例があります。もしご希望でしたら,お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
協働で研修なども可能です。
https://positive-counselor.org/contact/
おわりに:「明日の心」を今日から育てる
変化は止まらない。不確実性はなくならない。AIの進化は加速し、私たちの仕事と生活は今後もかつてないスピードで変容し続けるでしょう。
そんな時代に必要なのは、逃げることでも、無理に楽観することでもありません。変化を正面から受け止めながら、心の回復力と適応力を科学的に育て続けること——それが「Tomorrowmind」の核心です。
『Tomorrowmind』日本語版は、ウェルビーイングに関わるすべての人にとって、単なる読み物ではなく、実践的なツールキットとして機能します。ぜひ手に取り、自分自身のPRISMを棚卸しするところから始めてみてください。
| 📖 今日からできる3つのアクション
1. 本書を入手して第1章「なぜ今、Tomorrowmindが必要か」を読む 2. PRISMの5要素を1〜10でセルフスコアリングしてみる 3. もっとも低いスコアの要素について「今週できる小さな一歩」を考える |
執筆:ウェルビーイング・コーチング研究ブログ編集部
タグ:#Tomorrowmind #ウェルビーイング #レジリエンス #ポジティブ心理学 #コーチング #PRISM #セリグマン #組織開発
投稿者プロフィール

- 監修者:一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 代表理事
- 徳吉陽河(とくよしようが)は、ポジティブ心理学、ポジティブ心理カウンセラー協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。ポジティブ心理療法士、コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師、教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。








