医療・看護・医療従事者に,『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』をおすすめする理由とメリット
医療・看護職が今こそ読むべき一冊『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』が
医療現場にもたらす5つの力とは?
― バーンアウト予防・レジリエンス・ウェルビーイングの実践書 ―
医療・看護の現場は、今この瞬間も誰かの命や生活に向き合い続けています。感染症の拡大、医療制度の改革、AIや医療テクノロジーの急速な進歩——そのような「不確実な時代」の中で、あなた自身のウェルビーイングは、守れていますか?
本記事では、ポジティブ心理学の第一人者マーティン・セリグマン博士と脳科学医学博士ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士による共著『Tomorrowmind』の日本語版『これからの生き方』について、医療・看護職の皆さんにとって特別な意味を持つ理由を、具体的にご紹介します。
「患者さんのために頑張る自分自身」を、科学的に支える一冊——それが本書です。

なぜ今、医療・看護職に『これからの生き方』が必要なのか
「助けてあげたい」のに、自分が限界——医療現場のリアル
毎日、患者さんや家族と向き合い、チームのために動き、学び続ける。医療・看護の仕事はそもそも非常に高い使命感と専門性を必要とする職業です。しかしその一方で、慢性的な人手不足、夜勤・長時間労働、命に関わる緊張感が積み重なり、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る医療従事者が世界的に増加しています。
日本においても、コロナ禍以降、医療職のメンタルヘルス問題は深刻化しており、「自分を犠牲にして患者さんを支える」という構造が多くの現場で続いています。
でも本当に問いたいのは、こういうことではないでしょうか。
「患者さんを支え続けるために、まず私自身が心の力を育てるには、どうすればいいのか?」
この問いに、ポジティブ心理学と脳科学の最新知見を融合させて答えるのが、『これからの生き方(Tomorrowmind)』です。
予測不可能な時代に求められる「心の力」とは
著者のセリグマン博士とケラーマン博士は、現代の職業人が直面する最大の課題として「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)」を挙げます。医療現場はまさに、このVUCAが凝縮した環境です。
- 新興感染症や未知のウイルスへの対応
- 医療AIの導入・デジタルトランスフォーメーション
- 診療ガイドラインや制度の急速な変化
- チーム医療・多職種連携の複雑化
- 患者・家族の価値観の多様化
これらすべての変化に柔軟に適応しながら、高い専門性と人間性を発揮し続けるために、本書が提唱するのが「PRISM(プリズム)」フレームワークです。
PRISMフレームワーク:医療・看護職が育てるべき5つの心の力
本書の核心は、変化の中でも繁栄するために必要な5つの心理的スキルを「PRISM」として整理した点にあります。以下の表は、各要素が医療・看護職の実践においてどのような意義を持つかを整理したものです。
| PRISMの要素 | 医療・看護職への意義 |
| 未来予想力(Prospection) | リスク予測・キャリア設計・倫理的判断力の向上 |
| レジリエンス(Resilience) | バーンアウト予防・逆境からの回復力強化 |
| 創造性(Innovation) | 臨床判断の柔軟性・新たな課題解決アプローチ |
| つながり(Social Connection) | 患者・チーム・組織との信頼関係の深化 |
| 重要感(Mattering) | 使命感の再確認・職業的アイデンティティの強化 |
以下では、各要素を医療・看護の文脈でさらに詳しく解説します。
① 未来予想力(Prospection)――先を読む力で、ケアの質を上げる
「未来予想力」とは、まだ起きていない出来事を具体的にイメージし、柔軟に行動計画を立て直す能力です。これは「楽観的な夢想」ではなく、科学的に裏付けられた脳の認知スキルです。
医療現場での具体的な応用を考えてみましょう。急変リスクのある患者さんに対して、「今夜この状態が続いたら何が起きるか?」と先読みして早期介入する能力は、まさに未来予想力の発現です。また、自分のキャリアについて「5年後、この専門性を活かしてどのような場所で働いていたいか?」と能動的にイメージする力も、燃え尽きを防ぐ上で非常に重要です。
② レジリエンス(Resilience)――「折れない心」ではなく「何度でも立ち直る力」
医療・看護の現場では、患者さんの状態悪化、看取り、家族への説明困難など、精神的に負荷のかかる場面が日常的に存在します。本書でいう「レジリエンス」は、ストレスに鈍感であることではありません。感じた苦しみや悲しみをきちんと受け止めながら、それでも前に進む「回復力」のことです。
ケラーマン博士はBetterHelpの最高革新責任者として何十万人もの心理的支援の知見を集積しており、レジリエンスの神話(「強い人は傷つかない」「一人で乗り越えるべき」)を科学的に解体しています。医療現場では、ピアサポートや心理的安全性の高いチームづくりが、個人のレジリエンスを大きく高めることが明らかになっています。
③ 創造性(Innovation)――「いつも通り」に縛られない思考力
変化する医療現場では、既存のプロトコルや慣習だけでは対応しきれない場面が増えています。本書の「創造性」は、芸術的才能ではなく「問題の本質に新しい角度からアプローチする認知的柔軟性」のことです。
例えば、患者さんのQOL(生活の質)を向上させるために、従来の医療的アプローチに加えてナラティブ(語り)を活用するアプローチを取り入れることや、チームのコミュニケーションを改善するための新しいミーティング手法の導入など、日々の小さな工夫にこそ創造性は宿ります。
④ つながり(Social Connection)――「ケアの力」はつながりの中に生まれる
人間の脳は本質的に「社会的なつながり」を求めて設計されています。孤独や孤立は、喫煙と同程度の健康リスクをもたらすことが研究で示されています(米国公衆衛生局長官報告, 2023)。
医療・看護職にとって、この「つながり」の要素は二重の意味を持ちます。ひとつは患者さんや家族との治療的な関係性の構築。もうひとつはチームメンバーとの支え合い、管理職との信頼関係、そして自分を支える個人的なネットワークです。
本書では、職場での心理的安全性を高め、孤立を防ぐための具体的な行動原則が提示されており、看護管理者やチームリーダーにとっても実践的な指針となります。
⑤ 重要感・貢献感(Mattering)――「私の仕事は意味がある」という確信
「自分が存在していることで、誰かが助かっている」「この仕事をしていることで、社会が少しよくなっている」——そのような感覚を「Mattering(重要感・貢献感)」と呼びます。
バーンアウト研究の第一人者クリスティナ・マスラック博士の研究では、バーンアウトの最大の予防因子のひとつが「仕事の意味や価値を感じていること」であることが示されています。医療・看護職は本来、「人の役に立っている」という実感が非常に得やすい職業のはずです。しかし長時間労働や理不尽なストレスにさらされるうちに、その感覚が失われていく——これがバーンアウトへの入口です。
本書のMatteringの章は、日々の臨床の中で「自分がここにいる意味」を再発見するための、心理学的に根拠ある問いかけと実践方法を提供してくれます。
医療・看護職が『これからの生き方』を読むべき5つの理由
理由1:バーンアウトを科学的に予防できる
本書はバーンアウトの「症状への対処」ではなく、「構造的な予防」にフォーカスしています。個人の性格や根性論ではなく、脳科学とポジティブ心理学の知見に基づいて「燃え尽きにくい心の構造」を育てるための具体的なエビデンスベースドなアプローチが学べます。医療・看護職の継続的なキャリア形成を支える上で、これほど実践的な内容は他に類を見ません。
理由2:患者ケアの質が根本から上がる
自分自身のウェルビーイングが高まると、患者さんへのケアの質も向上します。これは「思いやりの疲労(Compassion Fatigue)」研究においても明確に示されています。消耗しきった状態で提供するケアよりも、自分自身の心の力が充実した状態で向き合うケアの方が、患者さんにとっても、医療従事者にとっても、はるかに良い結果をもたらします。
理由3:キャリアの長期的な持続可能性が高まる
日本の医療現場における離職率の高さは、慢性的な課題です。特に看護師の離職率は年間10〜12%前後で推移しており、その背景には職場環境の問題だけでなく「将来の展望が見えない」という不安も大きく影響しています。PRISMの「未来予想力」と「重要感」を養うことで、自分のキャリアを主体的に設計し、長期的に意欲的に働き続けるための基盤が育まれます。
理由4:後輩・部下のウェルビーイング支援に活用できる
看護師長、主任、教育担当者など、チームを率いる立場の方には特におすすめです。PRISMフレームワークは、部下のモチベーション管理や、困難な状況にあるスタッフのサポートに直接活用できます。「どんな言葉をかければ、相手の回復力が育まれるか?」「心理的安全性を高めるために、どんなミーティングの工夫ができるか?」——そのような問いへの答えが、科学的な根拠とともに本書から得られます。
理由5:変化の時代を「脅威」ではなく「機会」として捉え直せる
医療AI、遠隔診療、ロボット支援手術——テクノロジーの進化を「自分の仕事が奪われる脅威」として感じている方もいるかもしれません。しかし本書が提示するPRISMの視点からは、変化とは「新たな価値を生み出すための機会」として捉えられます。変化に適応しながら成長し続ける思考様式を科学的に身につけることで、不確実な未来を「恐れ」ではなく「探索」として迎えることができるようになります。
まとめ:「患者さんのために頑張る自分自身」を科学的に守る
あなたが健やかであることが、患者さんのための最良のケアへとつながります。
医療・看護の仕事に携わるすべての方へ。本書『これからの生き方』は、自己犠牲を美徳とするのではなく、科学的な根拠に基づいた「心の力の育て方」を提示します。
バーンアウトを予防したい方も、すでに疲弊を感じている方も、チームのウェルビーイングを高めたいリーダーも、キャリアに迷いを感じている方も——本書はあなたの職業人生に、新たな視点と具体的なツールをもたらしてくれるはずです。
「変化の激しい時代だからこそ、心の力が問われる。」この一冊が、あなたと患者さんの未来を、少しだけ明るく照らしてくれることを願っています。
『これからの生き方』
― 揺らぐ世界で何度でも立ち直る力 ―
著:マーティン・セリグマン / ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン 監訳・解説:徳吉陽河
一般社団法人コーチング心理学協会 / 一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
よくあるご質問(FAQ)
- 『これからの生き方(Tomorrowmind)』はどのような本ですか?
- ポジティブ心理学の創設者マーティン・セリグマン博士と脳科学医学博士ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士による共著の日本語版です。不確実な時代を生き抜くための5つの心の力(未来予想力・レジリエンス・創造性・つながり・重要感)「PRISMフレームワーク」を提唱しており、科学的根拠に基づいたウェルビーイングの実践書です。
- 医療・看護職に特におすすめの理由は?
- 医療現場はVUCA(不確実性・変動性・複雑性・曖昧性)が非常に高い環境です。本書のPRISMフレームワークは、バーンアウト予防、患者ケアの質向上、キャリアの持続可能性、チームマネジメントなど、医療・看護職が日常的に直面する課題すべてに応用できる内容となっています。
- PRISMフレームワークのMatteringとは何ですか?
- Matteringとは「自分の存在が誰かの役に立っている、社会に意味をなしている」という貢献感・重要感のことです。バーンアウト研究においてMatteringの低下が離職や疲弊の主要な予測因子であることが示されており、日々の業務の中で「自分がここにいる意味」を再確認するための科学的な方法が本書で学べます。
- 読むだけで実践できますか?難しくありませんか?
- 本書は研究者向けではなく、実践者向けに書かれており、各章に具体的なワーク・演習・問いかけが含まれています。忙しい医療・看護職でも無理なく取り組める構成となっており、日常の臨床や職場での対話にすぐ活かせる内容が満載です。監訳の徳吉陽河氏による日本向けの補足解説も充実しているため、翻訳特有の読みにくさもありません。
- チームや職場で活用することはできますか?
- はい、非常におすすめです。看護管理者・教育担当者・リーダーナースの方々がPRISMフレームワークを理解することで、スタッフのウェルビーイング支援、心理的安全性の高い職場づくり、後輩育成のコミュニケーション改善に直接活用できます。読書会やグループ学習の教材としても有用です。
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Q.一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会では,「これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)」に関する方法を学べますか?
はい、当協会では,一般的な心理学,ポジティブ心理学などの視点から,進化心理学を全般的に行っています。科学的なエビデンスと物語のナラティブを活用して,より現代的な視点での進化心理学を学ぶ事可能です。おもに,レジリエンスカウンセラー講座などで開催しております。

https://positive-counselor.org/event/resilience/
Q.一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会では,「これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)」に関する実践を団体研修・法人研修などを実施してますか?(新入社員・中途社員・管理職研修など)
はい,実施しております。多数の研修事例があります。もしご希望でしたら,お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
協働で研修なども可能です。https://positive-counselor.org/contact/
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投稿者プロフィール

- 監修者:一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 代表理事
- 徳吉陽河(とくよしようが)は、ポジティブ心理学、ポジティブ心理カウンセラー協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。ポジティブ心理療法士、コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師、教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。









