これからの生き方。書籍《Tomorrowmind》からのヒント ~AI・変化の時代を、しなやかに生き抜く5つのスキル~
AI・変化の時代を
しなやかに生き抜く5つのスキル
「AIに仕事を奪われそう」「変化が速すぎてついていけない」――そんな不安を感じていませんか。『これからの生き方』(Tomorrowmind日本語版)は、変化の時代を充実して生きるための5つのスキル「PRISM」を科学的にまとめた一冊です。このページでは、5つのスキルの意味と、今日から実践できるヒントをやさしく紹介します。
「知っている」から「できる」へ。合言葉は「心に聴く、心に響く、心に効く」。
- PRISM(プリズム)は、未来を想像する力・回復力・創造的問題解決力・すばやく信頼関係を築く力・存在意義を感じる力の5つのスキルの頭文字です。
- 提唱者は、ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマンとガブリエラ・ローゼン・ケラーマン(『Tomorrowmind』の著者)です。
- 5つのスキルは生まれつきではなく、毎日の小さな実践で育てられる力です。
- めざすのは「変化に速く追いつくこと」ではなく、変化の中でも心を健やかに保ち、しなやかに生きることです。
- メンタルヘルスは、不調になってから対処するより、元気なうちに予防し、健康を育てるほうが効果的だと著者たちは述べています。
- 当協会の認定資格は民間資格ですが、国際学会の新しい研究や時代のニーズを先取りして講座にし、独自に研究・実践を重ねています。公認心理師・看護師・キャリアコンサルタントなどの国家資格と組み合わせると、相乗効果(シナジー)が生まれます。
『これからの生き方』(Tomorrowmind)とは?
『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』は、『Tomorrowmind(トゥモローマインド)』の日本語版です。著者は、ペンシルベニア大学の心理学教授で「学習性無力感」や「ポジティブ心理学」の研究で知られるマーティン・セリグマンと、BetterUpで研究開発を率いたガブリエラ・ローゼン・ケラーマン(現在はボストン コンサルティング グループ所属)です。
本書は、AIの台頭、グローバル化、テクノロジーによる仕事の変化など、激しい変化が続く現代を「急流(ホワイトウォーター)の時代」と表現しています。急流の中では、岸にしがみついていても進めません。流れを読み、しなやかにパドルを操る技術が必要です。本書が示すのは、そのための「心の技術」です。
ご購入はAmazonや楽天ブックスなどで。原書を読まなくても、日本語版で内容を学べます。

PRISMの5つのスキルとは?
| スキル | どんな力? | 今日からできること(例) |
|---|---|---|
| P:Prospection(プロスペクション) | 複数の未来をシミュレーションし、どう動くかを考える力。不安を「準備と希望」に変える | 「5年後の自分」を3パターン書き出す/最悪と最善のシナリオを両方考える |
| R:Resilience(レジリエンス) | 傷ついても、変化が来ても、そこからより強くなって戻ってくる力 | 落ち込んだとき「この経験から何を学べる?」と自問する/信頼できる人に相談する |
| I:Innovation(イノベーション) | まだ答えのない問いに、創造的に取り組む力 | 「もしも」思考を習慣にする/異分野の本を読む |
| S:Social Connection(ソーシャル・コネクション) | 新しい場でも、すばやく信頼関係を築く力 | しばらく会っていない人に連絡する/得意なことで誰かを助ける |
| M:Mattering(マタリング) | 自分の存在が誰かにとって意味がある、大切にされているという感覚 | 「ありがとう」と言われた瞬間を書き留める/誰かの話を「ちゃんと聴く」 |
この5つがそろうと、急流の時代でも「溺れる」のではなく「泳げる」ようになる、と著者たちは述べています。

5つのスキルを育てるポイントは?
P:未来を想像する力は「AIにはまねしにくい人の強み」
プロスペクションは、漠然と夢を描くことではありません。「もし〇〇になったら、自分はどうするか」と複数の未来を想定しておく、実践的な力です。変化が来たときに慌てず動ける人は、この力を使っています。
R:レジリエンスは「傷つかない強さ」ではない
岩のように固く立ちはだかるのではなく、竹のようにしなって戻る、さらに成長する力です。自分の気持ちを少し離れて眺める習慣(メタ認知)、失敗を「成長の材料」と捉える見方、「助けを求めていい」と思える環境、睡眠・運動・食事などの体のケアが、レジリエンスを支えます。
I:創造性の最大の敵は「失敗への恐れ」
「変なことを言ったら笑われる」という気持ちは、アイデアが芽を出す前に摘んでしまいます。失敗を恐れないマインドセット、つまりレジリエンスと創造性は深くつながっています。安心して発言できる職場(心理的安全性)も、創造性の土台です。
S:「弱いつながり」の力を活かす
転職や副業、プロジェクト型の仕事など、関わる人や場がよく変わる時代です。社会学者グラノヴェターの「弱い紐帯の強さ」が示すように、ちょっとした知り合いや異分野の人とのゆるいつながりが、新しい情報やチャンスを運んでくれることがあります。
M:マタリングは「有名になること」ではない
SNSでは「自分より上の人」が目につき、「自分なんて」と感じやすくなります。けれども大切なのは、身近な人に「ありがとう」と言われること、家族の笑顔、同僚に頼りにされること――日常の小さな積み重ねです。
日本人がPRISMを育てるときのポイントは?
日本では、「我慢は美徳」「失敗は恥」「助けを求めるのは弱い」という考え方が根強く残っていることがあります。これらは、特にレジリエンス(回復力)や人に頼る力を育てるうえで、妨げになりやすい考え方です。
マタリングは日本人が苦手?
謙遜を大切にする文化では、「自分は必要とされているのか」がわかりにくくなることがあります。けれども、「ありがとう」を伝え合う文化や「お互いさま」の精神は、まさにマタリングの土台です。日本人はすでにその素地を持っています。あとは、それを「自分への承認」として受けとる練習をするだけかもしれません。
海外の考え方を、日本の現場に合わせて。PRISMを日本で活かすときは、文化や一人ひとりの物語(ナラティブ)を大切にしながら、無理のない形に調整することがポイントです。
未来を計画しながら、「今ここ」を生きる
「先のことが不安で何も楽しめない」でも、「今が楽しいから将来は考えたくない」でもなく、両方をあわせ持つ。このバランスが、本書が示すこれからの生き方です。
具体例:仕事・家庭・学びの場でPRISMをどう使う?
PRISMの5つのスキルを、身近な場面で使ってみましょう。
- 場面
- AIツールの導入で仕事の進め方が変わり、ベテラン社員が「自分の経験はもう役に立たない」と自信をなくしている。
- 関わり方
- 上司が「これまでの経験が活きる場面はどこでしょう?」と問いかけ、AIに任せる部分と人が担う部分を一緒に整理する(P・M)。
- 期待される変化
- 自分の経験の価値を再確認し、新しいやり方を前向きに試すようになる。
- 場面
- 子どもがテストの失敗で「どうせ自分はダメだ」と落ちこんでいる。
- 関わり方
- 親がまず気持ちを聴き、「この経験から何がわかった?」「次に試せることは?」と一緒に考える(R)。
- 期待される変化
- 失敗を「成長の材料」と捉え直し、次の挑戦に向かう気持ちが戻ってくる。
- 場面
- 転職したばかりで、新しい職場に知り合いがいない。
- 関わり方
- 最初の1か月、毎週一人ずつ短い雑談の時間をお願いし、相手の仕事への関心を伝える(S)。自分が得意なことで小さく手伝う(M)。
- 期待される変化
- すばやく信頼関係が生まれ、「ここでも自分は役に立てる」という感覚が育つ。
今日から始める1週間のPRISM実践プランは?
| 曜日 | スキル | やること |
|---|---|---|
| 月曜日 | P | 5年後の自分の理想を3パターン書き出す |
| 火曜日 | R | 今週の「うまくいかなかったこと」と「そこから学べること」を記録する |
| 水曜日 | I | いつもと違う道で通勤・通学してみる(見方を変える練習) |
| 木曜日 | S | しばらく連絡していない人に短いメッセージを送る |
| 金曜日 | M | 今週、誰かに感謝されたこと・誰かに貢献できたことを書き出す |
| 週末 | 全体 | 1週間を振り返り、次週の「小さな実験」を一つ決める |
個人と組織、両方が変わることが大切。本書は個人のスキルアップだけでなく、企業や組織がこれらのスキルを育てられる環境を整える重要性も強調しています。社員がレジリエンスを持てる組織は変化に強く、安心して挑戦できる職場ではイノベーションが生まれやすくなります。
研究からわかること(やさしい解説)
PRISMの5つのスキルに関わる取り組みについて、これまでの研究をやさしくまとめると次のとおりです。PRISMという枠組みそのものの効果を確かめる研究は、これから増えていく段階です。
| 取り組み | 効果の目安 | 教訓 | 現場での活かし方 |
|---|---|---|---|
| レジリエンス・トレーニング(考え方の見直し・感情の整え方) | 効果:小〜中 | 短い研修でも一定の効果はあるが、続けることで効果が残りやすい。 | 1週間の実践プランのように、小さな練習と振り返りを繰り返す。 |
| 人とのつながり・ソーシャルサポート | 効果:中〜高 | 頼れる人がいることは、変化や困難を乗り越える大きな支えになる。 | 月に一度、しばらく会っていない人に連絡する習慣をつくる。 |
| マタリング(大切にされている感覚) | 効果:中 | 「自分は大切な存在だ」という感覚は、心の健康や仕事への意欲と結びつく。 | 職場や家庭で、相手の貢献を具体的に言葉にして伝える。 |
| 予防的なメンタルヘルスの取り組み | 効果:小〜中 | 元気なうちから心の健康を育てる取り組みは、不調の予防に役立つ可能性がある。 | 不調になる前から、セルフケアや対話の時間を習慣にする。 |
効果の目安は、これまでの研究をまとめた結果をもとに「小・中・高」の3段階で表しています。効果には個人差があり、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。
書き込みワーク:わたしのPRISMを育てる
5つのスキルを一つずつ振り返り、今週の「小さな実験」を決めましょう。相手と対話するときは「コーチモード」に切り替えてください。
入力内容はこの端末のブラウザにだけ保存され、外部には送信されません。
シリーズ:『これからの生き方』(Tomorrowmind日本語版) 関連する記事をまとめて読めます。
- 『これからの生き方』とは?Tomorrowmind日本語版の内容と目次
- 『これからの生き方』好評発売中
- 『これからの生き方』をコーチ・HRにすすめる5つの理由
- 医療・看護職に『これからの生き方』をすすめる理由
- PRISMとは?『これからの生き方』の5つのスキルをわかりやすく解説(このページ)
- 『これからの生き方』×キャリアの心理学
- 危機管理にPRISMを活かすには?Tomorrowmindで予防・対応・回復
- 地震災害にPRISMを活かすには?備え・発災直後・復興の心理的資源
- AI時代の心理カウンセラーの役割とは?人にしかできない4つの力と付加価値の高め方
- PRISM(プリズム)未来適応力尺度 診断
PRISMを育てる対話を、講座で「できる」に
当協会が大切にしているのは、知るだけでなく「実際に実践できる専門家」を育てること。そして、技法の先にある、人としての関わり方=人間性のスキルを磨くことです。
PRISMの5つのスキルは、本を読んで「知っている」だけでは育ちません。不安を聴き、未来への問いを投げかけ、小さな実験を一緒に決める――こうした関わり方を、講座ではペアやグループで実際に練習します。『これからの生き方』の考え方を、仕事と人生で使える力に変えていきます。
国際的な知見を、日本の現場に合わせて
当協会は、国際ポジティブ心理学会などで世界の研究と実践を学び続け、その知見を日本の職場・学校・家庭に合うよう調整して届けています(アダプティブ・アプローチ)。海外の資格や手法は、日本人への適応が十分に考えられていないこともあります。当協会は、その人の文化や物語を大切にするナラティヴ・アプローチも重視しています。アダム・グラントの「才能の科学(Hidden Potential)」やエンゲージメントなど、新しい視点からの研究と実践にも取り組んでいます。講座は連携団体の一般社団法人コーチング心理学協会と共催しています。
落とさない・潰さない・あきらめさせない
「すべての人にカウンセリングやコーチングのマインドと技術を」という方針のもと、再受講制度やフォローアップで、途中でつまずいても再挑戦できる仕組みを整えています。
このテーマとつながる講座
『これからの生き方』に学ぶ講座(Tomorrowmind)セリグマン博士らの未来適応力(PRISM)を、AI時代の生き方・働き方に活かす。
レジリエンス・カウンセラー養成講座逆境から立ち直る力を、本人と一緒に育てる関わり方を学びます。
ポジティブ心理カウンセラー®基本講座傾聴に加え、質問・提案・フィードバックまで。ポジティブ心理学を対話で使う土台の講座。日程・料金は各講座の公式ページが最新です。ポジティブ心理カウンセラー協会とコーチング心理学協会の協働認定「認定ポジティブ心理学コーチ&認定ウェルビーイングコーチ(Wライセンス)」もあり、国際的な視点・ポジティブ心理学・実用性を取り入れたい方におすすめです。
参加の流れ
よくある質問(FAQ)
PRISMとは何ですか?
『これからの生き方』と『Tomorrowmind』は同じ本ですか?
英語が苦手でも内容を学べますか?
プロスペクション(未来を想像する力)とは何ですか?
レジリエンスは鍛えられますか?
マタリングとは何ですか?
日本人がPRISMを育てるときの注意点は?
元気なときにもPRISMを学ぶ意味はありますか?
PRISMを学べる講座はありますか?
講座はオンラインで受けられますか?
自分のPRISMを確かめる方法はありますか?
読んで終わりにせず、「できる」に変えてみませんか。
対話と体験で学ぶ、ポジティブ心理学のカウンセリング講座です。
従来の解説(全文)を読む
「これからの生き方」・『Tomorrowmind』からのヒント
~AI・変化の時代を、しなやかに生き抜く5つのスキル~
はじめに――「このままでいいのか」と感じているあなたへ
突然ですが、こんな気持ちになったことはありませんか?
- 「AIがどんどん進化して、自分の仕事が奪われそうで不安……」
- 「毎日忙しいのに、なんとなく将来に希望が持てない」
- 「変化のスピードが速すぎて、ついていけている気がしない」
そう感じているのは、あなただけではありません。世界中で何百万人もの人が、同じような閉塞感や焦りを抱えながら日々を過ごしています。
そんな時代の中で、「どうすれば本当の意味で充実した人生を送れるのか」を科学的に解き明かした一冊があります。それが、ポジティブ心理学の父と呼ばれるマーティン・セリグマン博士と、メンタルヘルス&コーチング企業。BetterUpのガブリエラ・ローゼン・ケルマン博士が共著した『Tomorrowmind(トゥモローマインド)』(現在・ボストンコンサルティンググループ所属)です。
この本が示すのは、「これからの時代を生き抜くためのたった5つのスキル」。難しい話ではありません。今日から少しずつ実践できる、とても人間的で温かなメッセージが詰まっています。
この記事では、その5つのスキル(通称「PRISM」)をわかりやすく解説しながら、これからの生き方のヒントをお届けします。ぜひ最後まで読んでみてください。
1. これからの生き方『Tomorrowmind』とは何か?
■ 著者について
マーティン・セリグマン博士は、ペンシルベニア大学の心理学教授であり、「学習性無力感」や「ポジティブ心理学」の研究で世界的に知られる心理学の巨人です。一方のガブリエラ・ローゼン・ケルマン博士は、世界70カ国以上でメンタルヘルス支援を行う企業BetterUpのチーフイノベーションオフィサー。この二人が6年以上にわたる共同研究の成果をまとめたのが、この『Tomorrowmind』です。

■ どんな時代を背景にしているのか?
私たちはいま、かつて経験したことのないほど急激な変化の只中にいます。AI(人工知能)の台頭、グローバル化の加速、テクノロジーによる職業の変容……。この本では、こうした激流のような現代を「激流のホワイトウォーター(白水=急流)の時代」と表現しています。
急流の中では、岸にしがみついていても意味がありません。流れをうまく読み、柔軟にパドルを操る技術が必要です。『Tomorrowmind』が提案するのは、まさにそのための「心の技術」です。
■ 「PRISM」という5つのスキル
本書の核心は、5つのスキルの頭文字を取ったフレームワーク「PRISM(プリズム)」です。
| P | Prospection(プロスペクション)― 未来を想像し、計画する力 |
| R | Resilience(レジリエンス)― 困難から回復し、さらに強くなる力 |
| I | Innovation(イノベーション)― 創造的に問題を解決する力 |
| S | Social Connection(ソーシャル・コネクション)― 素早く信頼関係を築く力 |
| M | Mattering(マタリング)― 自分の存在意義を感じる力 |
この5つがそろったとき、人は急流の時代でも「溺れる」のではなく「泳げる」ようになると、著者たちは言います。それぞれ詳しく見ていきましょう。
2. 5つのスキル(PRISM)を深掘りする
■ P:Prospection(未来を想像する力)
「未来を想像する」と聞くと、「夢を描く」といった漠然としたことを思い浮かべるかもしれません。しかしProspection(プロスペクション)が意味するのは、もっと実践的な能力です。
これは「人間に固有の、複数の未来をシミュレーションし、どう行動すべきかを判断する能力」のこと。AIには(現時点では)真似できない、人間ならではの強みでもあります。
▶ なぜこのスキルが重要なのか?
変化が速い時代には、「今の仕事が5年後も続く」という保証がありません。でもだからこそ、「もし○○になったら、自分はどうするか」と複数の未来を想定しておく人は、変化が来たときに慌てず動けます。
本書では、未来への思考を「ただの不安」ではなく「準備と希望」に変えることが、現代を生き抜く第一歩だと述べています。
▶ 今日からできること
- 「5年後の自分」の理想像を3パターン書き出してみる
- 毎週1回、「今週起きた変化と、それへの対応」を日記に記す
- 「最悪のシナリオ」と「最善のシナリオ」を両方考えておく習慣をつける
■ R:Resilience(回復力・レジリエンス)
「レジリエンス」という言葉は近年よく耳にするようになりましたが、よくある誤解があります。それは「傷つかない強さ」だというイメージです。
『Tomorrowmind』が定義するレジリエンスは、「傷ついても、変化が来ても、そこからより強くなって戻ってくる力」です。岩のように硬く立ちはだかるのではなく、竹のようにしなって元に戻る、あるいはさらに成長する力です。
▶ レジリエンスは「鍛えられる」
良いニュースがあります。レジリエンスは生まれつきの資質ではなく、後天的に育てることができます。本書では、特に以下の要素がレジリエンスを高めると述べています。
- 自分の感情を客観視する習慣(メタ認知)
- 失敗を「成長の材料」として捉えるフレーミング
- 「助けを求めていい」と知っている環境づくり
- 身体的な健康(睡眠・運動・食事)の維持
「また失敗してしまった」「自分はダメだ」と感じる瞬間は誰にでもあります。でも、それをどう解釈し、どう立ち上がるかが、これからの時代を左右します。
▶ 今日からできること
- 落ち込んだときに「この経験から何を学べるか?」と自問する
- 「失敗ノート」をつけて、うまくいかなかったことと、次への改善策を記録する
- 信頼できる人に相談する習慣をつける(孤独にならない)
■ I:Innovation(創造的問題解決力)
AIが多くの定型業務をこなせるようになった今、人間に求められるのは「まだ答えのない問いへの対処」です。それが、ここで言うイノベーション(Innovation)=創造的問題解決力です。
この力は、天才だけに与えられた才能ではありません。日常の中で「当たり前を疑う」「別の視点から見る」「異なるものをつなげる」習慣を積み重ねることで、誰でも鍛えることができます。
▶ 創造性を妨げるものとは?
本書によると、創造性の最大の敵のひとつは「失敗への恐れ」です。「変なことを言ったら笑われる」「間違えたらどうしよう」という心理が、新しいアイデアを芽吹かせる前に摘んでしまいます。
つまり、先ほどのレジリエンスと創造性は深くつながっています。失敗を恐れないマインドセットが、新しい発想を生み出す土台になるのです。
▶ 今日からできること
- 「もしも」思考を習慣にする(例:「もし自分が別の業界の人間なら?」)
- 異分野の本を月1冊読む
- ブレインストーミングのとき、最初は批判なしにアイデアを出し続ける
■ S:Social Connection(素早く信頼関係を築く力)
変化が激しい時代には、「変化した先でも人間関係を素早く構築できるか」が重要になります。これがSocial Support(ソーシャルサポート)の能力です。
かつての社会では、同じ会社に何十年も勤め、長い時間をかけて信頼関係を育てることができました。しかし今は、転職、副業、プロジェクト型の仕事など、関わる人や場が流動的になっています。
▶ 「弱い紐帯」の力
社会学者マーク・グラノヴェターが提唱した「弱い紐帯の強さ」という概念があります。親友のような強いつながりよりも、ちょっとした知り合いや異分野の人との「弱いつながり」の方が、新しい情報やチャンスをもたらすことが多いというものです。
『Tomorrowmind』も同様に、多様な人との薄く広いつながりを意識的に育てることを推奨しています。
▶ 今日からできること
- SNSで興味のある分野の人にコメントや反応をする
- 月1回、久しぶりに会っていない人に連絡をとる
- 自分が得意なことで、誰かを助ける機会を意識的に作る
■ M:Mattering(存在意義を感じる力)
5つのスキルの中で、最も「心」に響くのがこのMattering(マタリング)かもしれません。日本語にすると「自分の存在が誰かにとって意味がある、大切にされているという感覚」です。
現代は情報過多で、SNSでは「自分より上の人」がいつも目につきます。そのせいで「自分なんて……」と感じてしまう人がとても増えています。
でも、セリグマン博士たちが強調するのは、Matteringは「有名になること」や「大きな実績を上げること」ではない、ということです。身近な誰かに「ありがとう」と言われること、家族の笑顔を見ること、職場の同僚に頼りにされること――そういう日常の小さな積み重ねこそが、心の充実の根っこにあると言います。
▶ 今日からできること
- 自分が誰かに与えている影響を、意識して思い出す
- 「ありがとう」と言われた瞬間を日記に書き留める
- 誰かの話を「ちゃんと聞く」時間を意識的に作る
3. 「PRISM」が示す、これからの生き方
■ 「速さ」より「しなやかさ」を
『Tomorrowmind』が一貫して伝えるのは、「変化に速く追いつく」ことではなく、「変化の中でも心を健やかに保ち、しなやかに生きる」ことの大切さです。
急流の中でパニックになってしまえば、どんなに優秀な人でも溺れてしまいます。でも、流れを読む目と、浮かんでいる技術があれば、どんな急流でも渡ることができます。
■ メンタルヘルスは「予防」「健康促進」が最も効果的
著者たちはまた、メンタルヘルスの問題は「悪化してから治療する」よりも、「良い状態を維持する予防」や「健康促進」の方がはるかに効果的で、コストも低いと指摘しています。PRISMの5つのスキルは、まさにその「予防」のための実践的なツールです。
つまり、今元気な人こそ、これらのスキルを育てておくべきタイミングなのです。
■ 「個人」と「社会」の両方が変わる必要がある
本書は個人のスキルアップだけを推奨しているのではありません。企業や組織が、これらのスキルを育てられる環境を整えることの重要性も強調しています。
社員がレジリエンスを持てる組織は、変化に強くなる。創造性が生まれやすい職場は、イノベーションが起きやすい。そういった「人への投資」こそが、長期的な競争力の源泉になると著者たちは論じています。
4. 日本人にとっての これからの生き方「Tomorrowmind」
■ 日本社会特有の課題
日本では、「我慢することが美徳」「失敗は恥」「助けを求めるのは弱い」という価値観が根強く残っています。これらは、PRISMのスキル育成の妨げになりやすい考え方です。
特にレジリエンス(回復力)とソーシャルサポート(人に頼る力)は、日本文化の文脈では意識して育てる必要があるかもしれません。
■ 「Mattering」は日本人が苦手?
「自分の存在意義を感じる」というMattering(マタリング)は、謙遜を美徳とする日本人には特に難しいスキルかもしれません。自己主張を控えることが、結果として「自分が必要とされているかわからない」という不安につながることもあります。
でも実は、「ありがとう」と言える文化、「お互い様」の精神は、まさにMatteringの土台です。日本人はすでにその文化的素地を持っています。あとは、それを「自分への承認」として受け取る練習をするだけかもしれません。
■ 変化を恐れず、「今ここ」を生きる
未来を計画しながら、現在を丁寧に生きる。これが『Tomorrowmind』が提唱する理想の生き方のバランスです。
「先のことが不安で何も楽しめない」でも「今が楽しいから将来のことは考えたくない」でもなく、両方を同時に持つ。そのための心の土台を作ることが、このPRISMというフレームワークの本質です。
5. 今日からはじめる これからの生き方 「Tomorrowmind」実践ガイド
ここまで読んでくださったあなたへ、具体的に「明日から何をするか」をまとめます。
■ 1週間の「PRISM実践」プラン
| 月曜日 | 【P】5年後の自分の理想を3パターン書き出す |
| 火曜日 | 【R】今週の「うまくいかなかったこと」と「そこから学べること」を記録する |
| 水曜日 | 【I】いつもと違うルートで通勤・通学してみる(視点を変える練習) |
| 木曜日 | 【S】久しぶりに連絡を取っていない人に短いメッセージを送る |
| 金曜日 | 【M】今週、誰かに感謝されたこと・誰かに貢献できたことを書き出す |
| 週末 | 【全体】1週間を振り返り、次週の「小さな実験」を一つ決める |
■ おすすめの読書法
『Tomorrowmind』は英語原書ですが、本書の内容を解説したコンテンツは日本語でも増えています。まずは本記事のような要約を読んで概要を掴み、興味を持った章から原書に挑戦するのがおすすめです。
また、本書の著者のひとりであるマーティン・セリグマン博士の『ポジティブ心理学の挑戦』(邦訳あり)も、PRISMを深く理解するための入門として最適です。
まとめ――「明日の心」を今日から育てよう
『Tomorrowmind』が私たちに教えてくれるのは、こうした時代の変化に「どう抵抗するか」ではなく、「どう一緒に成長するか」という視点です。
AIに仕事が奪われるかもしれない。経済が不安定になるかもしれない。人間関係が変わってしまうかもしれない。でも、PRISMの5つのスキルを持つ人は、そういった変化を「脅威」ではなく「チャンス」として受け取ることができます。
未来を想像し(Prospection)、困難から回復し(Resilience)、創造的に問題を解き(Innovation)、人とのつながりを大切にし(Social Connection)、自分の存在意義を感じながら(Mattering)生きる。
それが、これからの時代を「生き抜く」のではなく、「生き活かす」ための道だと、この本は教えてくれます。
明日の心(Tomorrowmind)を作るのは、今日のあなたの小さな選択です。ぜひ、今日から一歩踏み出してみてください。
📚 参考文献・関連情報
- Gabriella Rosen Kellerman & Martin E. P. Seligman, ‘Tomorrowmind’ (Atria Books, 2023)
- BetterUp Labs 公式ブログ: https://www.betterup.com/blog/tomorrowmind-thriving-at-work
- マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
- PRISMフレームワーク解説: Global Leadership Education Center (日本語)
コンテンツ一覧
投稿者プロフィール

- 一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
-
逆境や困難の中でも「希望」と「可能性」を見出し、自分らしく前向きに生きる人を育む、肯定的な心理学の専門機関。
公式ページ
https://www.positive-counselor.org/
イベント
https://www.positive-counselor.org/event/
協会概要
2013年に任意団体として設立され、2018年に一般社団法人化。ポジティブ心理学、コーチング心理学などを基盤に、個人や組織の成長、ウェルビーイング(幸福)の向上を目指す非営利団体です。諸外国の最先端の研究を取り入れつつ、日本人らしい「謙遜さ」や「誠実さ」といった価値観も尊重した、日本人に合ったプログラムを提供しています。
ミッションとビジョン
ミッション: 肯定的な心理学を活用した対人支援、社会支援、セルフケア、自己成長の普及。
ビジョン: 精神的な困難を未然に防ぎ、問題が生じても前向きに行動できる人材、そして周囲を「勇気づけ」できる人材を育成することで、より希望に満ちた社会を創造する。
実践的なワークショップ:
カードゲームや心理テストなど、体験・実践を重視した形式で、楽しく学べる場を提供。
「強み(ストレングス)」「レジリエンス(逆境力)」など、具体的なテーマに基づいた講座を多数開催。
学校、企業、福祉・看護など、様々な現場のニーズに合わせた研修プログラムを企画・開発・提供。
出版・普及活動、外部機関講演実績
特徴
実践重視のプログラム: 理論だけでなく、カードゲームなどを活用した体験型ワークショップが多く、すぐに実践できるスキルが身につくと評判です。
多様な心理学の統合: ポジティブ心理学を中心に、コーチング心理学やアドラー心理学、認知行動療法など、幅広い理論を統合した多角的なアプローチを学べます。
受講者の声(評判)
口コミでは、「実践的なワークが多く、思考が前向きに変わった」「日常生活にすぐ役立てられた」といった肯定的な評価が多数寄せられており、受講者の満足度は非常に高いです。特に、初心者でも学びやすい内容と、学習を通じて得られるポジティブな影響が好評を得ています。








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