人生グラフ(ライフチャート)とレジリエンス 〜ポジティブ心理学から学ぶ、波乱万丈な人生を生き抜く力〜
人生グラフ(ライフチャート)で
「谷から立ち上がる力」に気づく
人生グラフ(ライフチャート)は、これまでの人生の山と谷を折れ線グラフで描く振り返りのツールです。谷からどう立ち上がったかを見つめると、あなた自身のレジリエンス(回復力)の源が見えてきます。
「知っている」から「できる」へ。合言葉は「心に聴く、心に響く、心に効く」。
- 人生グラフ(ライフチャート)とは、横軸に時間(年齢・出来事)、縦軸に幸福度・充実度をとり、人生の山と谷を折れ線で描く自己理解のツールです。
- 「ライフライン」とも呼ばれ、キャリアカウンセリング・コーチング・心理療法・研修・セルフケアなどで使われています。
- グラフの谷は弱さの証拠ではなく、レジリエンスが試された場所。谷から山への回復は、その力が発揮された証拠です。
- 「谷のとき支えてくれた人は?」「何がきっかけで上向いた?」と問いかけると、自分の強みや回復の資源が見つかります。
- 感謝・強みの活用・つながり・セルフコンパッション・体を整えることで、レジリエンスは日常の中で育てられます。
- 当協会の認定資格は民間資格ですが、国際学会の新しい研究や時代のニーズを先取りして講座にし、独自に研究・実践を重ねています。公認心理師・看護師・キャリアコンサルタントなどの国家資格と組み合わせると、相乗効果(シナジー)が生まれます。
人生グラフ(ライフチャート)とは?
人生グラフとは、自分のこれまでの人生を、横軸に「時間(年齢・出来事)」、縦軸に「幸福度・充実度・満足度」をとって、折れ線グラフのように描き出すツールです。「ライフチャート」「ライフライン」とも呼ばれます。
もともとはキャリアカウンセリングやコーチング、心理療法の場で使われてきました。いまでは就職活動の自己分析、グループワーク、チームビルディング研修、メンタルヘルスのセルフケアなど、幅広い場面で使われています。
基本の描き方(5ステップ)
- 横軸に「年齢」または「人生の時期(幼少期・学生時代・社会人……)」を書く
- 縦軸の真ん中を0(ふつう)とし、上をプラス、下をマイナスにする
- それぞれの時期の幸福度・充実度の感覚を点で打つ
- 点と点を線で結び、折れ線グラフにする
- 山(ピーク)と谷(ボトム)に何があったか、メモを書き込む
ポイント:「正解」はありません。他人と比べる必要も、きれいに仕上げる必要もありません。自分の「感じ方」を素直に描くことが大切です。

人生グラフを描くと何がいい?5つのメリット
- 自己理解が深まる:「人間関係のトラブルで毎回下がっている」「新しい挑戦のたびに上がっている」など、自分のパターンが見えてきます。
- つらい時期に意味を見いだせる:「あの経験があったから今がある」と気づけることがあります。ポジティブ心理学は、この「逆境を意味に変える力」を大切にします。
- 回復の源に気づける:谷から山へ「どうやって立ち上がったか」を振り返ると、自分の強みや支え(人・環境・考え方)が浮かび上がります。これがレジリエンスの資源です。
- 未来を前向きに描ける:「次の谷が来ても、また上がれる」という見通しが持てます。何が自分の幸福度を高めるかもわかり、目標づくりに役立ちます。
- 人との深い対話が生まれる:家族やチームで共有すると、「そんな経験があったんだ」という共感が生まれ、信頼が深まります。
人生グラフとレジリエンスはどう関係する?
レジリエンスとは、逆境や大きなストレスに出会ったときに、うまく適応し、回復していく力のことです。もとは物理学の「弾力性・復元力」を表す言葉でした。
大切なのは、レジリエンスは「傷つかない強さ」ではないということです。傷つき、落ち込み、もがきながらも、やがて立ち上がり、ときには成長していく力です。だから人生グラフの谷は、弱さの証拠ではありません。谷はレジリエンスが試された場所、山への回復はその力が発揮された証拠なのです。
回復の仕方は人それぞれ
| 回復のパターン | 特徴 |
|---|---|
| 急回復型 | 谷からすぐに立ち上がる。行動力が高く、切り替えが速い |
| 緩やかな回復型 | 時間はかかるが着実に回復する。深く内省する力がある |
| 成長型(PTG) | 谷を経て、かえって以前より高いところに到達する |
| 安定型 | 大きな波が少なく、変化への対応が得意 |
PTG(心的外傷後成長)とは、つらい経験を通して心理的に成長することです。「あの経験があったから今の自分がある」という感覚が、まさにPTGです。どのパターンがよい・悪いではなく、自分の回復の仕方を知ることが、次の谷への備えになります。

具体例:人生グラフはどんな場面で役立つ?
人生グラフは、一人で描くだけでなく、対話の道具としても力を発揮します。
- 場面
- 転職を考えている相談者が「これまでの仕事は失敗ばかりだった」と話す。
- 関わり方
- 支援者が人生グラフを一緒に描き、谷から上向いた時期について「そのとき何が助けになりましたか?」と質問する。
- 期待される変化
- 「新しい分野を学び始めたときに必ず上向いている」という自分のパターンに気づき、次の仕事選びの軸が見えてくる。
- 場面
- 立ち上げたばかりのチームで、メンバー同士がまだ打ち解けていない。
- 関わり方
- 研修で各自が人生グラフを描き、話せる範囲で山と谷を一つずつ紹介し合う。聴く側は評価せず、うなずきと質問で応える。
- 期待される変化
- お互いの価値観や大切にしていることがわかり、相談しやすい雰囲気(心理的安全性)が生まれる。
- 場面
- 病気で長く療養している人が「もう前のようには戻れない」と気力をなくしている。
- 関わり方
- 支援者が本人のペースを尊重しながら、過去に困難を乗り越えた時期を一緒に振り返り、そのとき発揮した強みを言葉にする。
- 期待される変化
- 「自分には乗り越えてきた経験がある」と感じられ、いまできる小さな目標に目が向くようになる。
人生グラフを「レジリエンスの地図」にするには?
描き終えたら、次の問いを自分に投げかけてみましょう。単なる過去の記録が、自分のレジリエンスの歴史の発見に変わります。
- 谷の時期、あなたを支えてくれた「人」は誰ですか?
- 谷から山へ向かうとき、何がきっかけになりましたか?
- その体験で、あなたはどんな「強み」を発揮しましたか?
- 谷の経験は、その後の人生にどんなプラスの影響を与えましたか?
- 今の自分が、当時の自分に一言声をかけるとしたら?
レジリエンスを育てる7つの実践
- 感謝の習慣:「今日よかったこと3つ」を書き出す(スリー・グッド・シングス)。
- 強みを知り、活かす:自分の強みを知り、日常で意識して使う。
- コントロールできることに集中する:変えられないことより、今できることに力を注ぐ。
- つながりを大切にする:頼れる人・話を聴いてくれる人の存在は回復の大きな支えです。
- 自分にやさしくする(セルフコンパッション):失敗したとき、友人にかけるような温かい言葉を自分にもかける。
- 意味を見いだす:「なぜ起きたのか」より「この経験から何を学べるか」と問い直す。
- 体を整える:睡眠・運動・呼吸は、心の回復力の土台です。
今すぐできること:紙とペンを出して、5分だけ人生グラフを描いてみましょう。完璧でなくてかまいません。山と谷をなぞるだけで、あなたの人生の意味が少し鮮やかに見えてきます。
研究からわかること(やさしい解説)
人生グラフそのものの効果を調べた研究はまだ多くありませんが、振り返りやレジリエンスを育てる取り組みについては研究が進んでいます。やさしくまとめると、次のとおりです。
| 取り組み | 効果の目安 | 教訓 | 現場での活かし方 |
|---|---|---|---|
| 人生の出来事を振り返り、意味を見いだす | 効果:小〜中 | つらい経験も、振り返り方しだいで学びや成長の手がかりになる。 | 人生グラフを描いたあと、谷を乗り越えたときの支えや強みを問いで掘り下げる。 |
| 感謝の習慣(よかったことを書く) | 効果:小〜中 | 小さなよいことに目を向ける練習は、前向きな見方を育てる。 | 面談や研修の最後に「今週よかったこと」を一つ話す時間をとる。 |
| ソーシャルサポート(人とのつながり) | 効果:中〜高 | 頼れる人の存在は、回復の大きな支えになる。 | 人生グラフの谷ごとに「支えてくれた人」を書き出し、いまのつながりも確認する。 |
| セルフコンパッション(自分へのやさしさ) | 効果:小〜中 | 自分を責めすぎないことが、立ち直りやすさにつながる。 | 失敗した場面で「友人ならどう声をかける?」と問いかける。 |
効果の目安は、これまでの研究をまとめた結果をもとに「小・中・高」の3段階で表しています。効果には個人差があり、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。
書き込みワーク:わたしの人生グラフから回復のヒントを見つける
人生グラフを描いたあと、谷の一つを選んで答えてみましょう。相手と対話するときは「コーチモード」に切り替えてください。話したくないことは話さなくて大丈夫です。
入力内容はこの端末のブラウザにだけ保存され、外部には送信されません。
人生グラフで回復を支える対話を、講座で「できる」に
当協会が大切にしているのは、知るだけでなく「実際に実践できる専門家」を育てること。そして、技法の先にある、人としての関わり方=人間性のスキルを磨くことです。
人生グラフは、描くだけでなく「どう聴き、どう問いかけるか」で力が大きく変わります。谷の話を安心して語れる場をつくり、回復の資源を質問で引き出し、強みとして言葉にして返す——こうした関わり方は練習してはじめて身につきます。レジリエンス・カウンセラー養成講座などで、自分と相手の回復を支える対話を体験的に学べます。
国際的な知見を、日本の現場に合わせて
当協会は、国際ポジティブ心理学会などで世界の研究と実践を学び続け、その知見を日本の職場・学校・家庭に合うよう調整して届けています(アダプティブ・アプローチ)。海外の資格や手法は、日本人への適応が十分に考えられていないこともあります。当協会は、その人の文化や物語を大切にするナラティヴ・アプローチも重視しています。アダム・グラントの「才能の科学(Hidden Potential)」やエンゲージメントなど、新しい視点からの研究と実践にも取り組んでいます。講座は連携団体の一般社団法人コーチング心理学協会と共催しています。
落とさない・潰さない・あきらめさせない
「すべての人にカウンセリングやコーチングのマインドと技術を」という方針のもと、再受講制度やフォローアップで、途中でつまずいても再挑戦できる仕組みを整えています。
このテーマとつながる講座
レジリエンス・カウンセラー養成講座逆境から立ち直る力を、本人と一緒に育てる関わり方を学びます。
ポジティブ心理カウンセラー®基本講座傾聴に加え、質問・提案・フィードバックまで。ポジティブ心理学を対話で使う土台の講座。
ストレングスカウンセラー®基本講座強みカード・質問法で、相手の「できること」を引き出す対話を練習します。日程・料金は各講座の公式ページが最新です。ポジティブ心理カウンセラー協会とコーチング心理学協会の協働認定「認定ポジティブ心理学コーチ&認定ウェルビーイングコーチ(Wライセンス)」もあり、国際的な視点・ポジティブ心理学・実用性を取り入れたい方におすすめです。
参加の流れ
よくある質問(FAQ)
人生グラフ(ライフチャート)とは何ですか?
人生グラフの書き方を教えてください。
人生グラフにはどんなメリットがありますか?
人生グラフとレジリエンスはどう関係しますか?
PTG(心的外傷後成長)とは何ですか?
谷ばかりのグラフになってしまいます。大丈夫ですか?
就職活動の自己分析にも使えますか?
研修やチームビルディングでの使い方は?
人生グラフを使ったレジリエンス支援を学ぶには?
講座はオンラインで受けられますか?
つらい記憶を思い出して苦しくなったら?
読んで終わりにせず、「できる」に変えてみませんか。
対話と体験で学ぶ、ポジティブ心理学のカウンセリング講座です。
従来の解説(全文)を読む
〜ポジティブ心理学から学ぶ、波乱万丈な人生を生き抜く力〜

「あのとき、あんなにつらかったのに、なぜ今の自分があるんだろう?」
「人生の波を振り返ると、失敗や挫折ばかりに見える……」

そんなふうに感じたことはありませんか? 人生には必ず山と谷があります。就職・結婚・子育て・喪失・転職・病気……さまざまな出来事の中で、私たちは時に大きく落ち込み、時に劇的に立ち上がります。
この記事では、自分の人生を「グラフ」として可視化する「人生グラフ(ライフチャート)」と、困難から回復する力「レジリエンス」を、ポジティブ心理学の視点からわかりやすく解説します。
読み終えたとき、あなたは自分の人生の「谷」を違う目で見られるようになるはずです。
① 人生グラフ(ライフチャート)とは何か?

人生グラフとは、自分のこれまでの人生を横軸に「時間(年齢・出来事)」、縦軸に「幸福度・充実度・満足度」などを置き、折れ線グラフのように描き出すツールです。「ライフチャート」「ライフライン」とも呼ばれます。
人生グラフの起源と活用場面
人生グラフは、もともとキャリアカウンセリングやコーチング、心理療法の場で活用されてきました。自己理解を深めるワークとして、就職活動のES(エントリーシート)、グループワーク、チームビルディング研修、さらにはメンタルヘルスのセルフケアにも広く使われています。
どうやって描くの? 基本の手順
- 横軸に「年齢」または「人生の出来事(幼少期・学生時代・社会人……)」を書く
- 縦軸に「幸福度・充実度」を0(普通)として上がプラス、下がマイナスに設定する
- 各年齢・出来事の時点で、自分の幸福度・充実度の感覚を点で打つ
- 点と点を線で結び、折れ線グラフを完成させる
- 山(ピーク)と谷(ボトム)に何があったか、メモを書き込む
| 📝 ポイント:「正解」はありません。他人と比べる必要も、きれいに仕上げる必要もありません。自分の「感じ方」を素直に表現することが大切です。 |
② なぜ人生グラフを描くと良いのか? 5つのメリット

ただ「過去を振り返る」だけに見えるかもしれませんが、人生グラフには心理学的に重要な意味があります。
メリット1:自己理解が深まる
自分がどんな出来事で喜び、どんな状況でつらいと感じるのか、グラフを描くことで「パターン」が見えてきます。「人間関係のトラブルで毎回落ちている」「新しいことへの挑戦のたびに上がっている」など、自分だけの傾向が一目でわかります。
メリット2:谷(つらい時期)に意味を見出せる
グラフ上の「谷」は一見マイナスに見えますが、振り返ってみると「あの経験があったから今がある」と気づくことが多いものです。ポジティブ心理学では、この「逆境を意味に変える力」を非常に重視します。
メリット3:レジリエンス(回復力)の源泉に気づける
谷から山へ「どうやって立ち上がったか」を振り返ると、あなた自身の強みや支えになったもの(人・環境・考え方)が浮かび上がります。これが今後の困難を乗り越えるための「レジリエンスの資源」になります。
メリット4:未来を前向きに設計できる
過去の山と谷のパターンを知ることで、「次の谷が来ても、自分はいつか必ず上がれる」という確信が生まれます。また、「どんな出来事が自分の幸福度を高めるか」もわかるため、未来の目標設定にも役立ちます。
メリット5:他者との深いコミュニケーションが生まれる
グループワークや家族間で人生グラフを共有すると、お互いの人生観や価値観を深く理解し合えます。「あなたにそんな経験があったんだ」という共感は、チームの絆や家族の信頼を格段に深めます。
③ ポジティブ心理学とは? レジリエンスとの関係
「ポジティブ心理学」という言葉を聞いたことがありますか?
1998年にアメリカの心理学者マーティン・セリグマン(Martin Seligman)が提唱したポジティブ心理学は、「病気や不幸を取り除くだけでなく、人間の強みや幸福・繁栄(フラーリッシング)を科学的に研究する」心理学の一分野です。
ポジティブ心理学の3本柱
- ポジティブな感情(喜び・感謝・希望など)の研究
- 強みとエンゲージメント(自分の強みを活かして没頭できる状態)
- 意味と目的(人生に意味を見出す力)
レジリエンスとは? 単なる「強さ」ではない
レジリエンス(Resilience)は、もともと物理学の「弾力性・復元力」を意味する言葉です。心理学の文脈では「逆境・トラウマ・悲劇・脅威・重大なストレスに直面したとき、うまく適応する過程・能力・成果」(APA, 2014)と定義されています。
重要なのは、レジリエンスは「傷つかない強さ」ではないということです。傷つき、落ち込み、もがきながらも、最終的に立ち上がり、時には成長する力——それがレジリエンスです。
だからこそ、人生グラフの「谷」は弱さの証拠ではなく、あなたのレジリエンスが試された場所。そして「山への回復」は、あなたのレジリエンスが実際に発揮された証拠なのです。
④ 人生グラフで見えてくる「レジリエンスの4つのパターン」

人生グラフを描くと、人によって「回復の仕方」が異なることに気づきます。ポジティブ心理学の研究では、レジリエンスには以下のようなパターンがあることが示されています。
| パターン | 特徴 |
| 急回復型 | 谷からすぐに立ち上がる。行動力が高く、切り替えが速い |
| 緩やかな回復型 | 時間はかかるが着実に回復する。深く内省する力がある |
| 成長型(PTG) | 谷を通じてかえって以前より高い位置に到達する |
| 安定型 | 大きな波がなく、安定している。変化への対応が得意 |
特に注目したいのが「成長型(PTG:ポストトラウマティック・グロウス)」です。PTGとは、トラウマやつらい経験を通じて、心理的に成長する現象です。「あの経験があったから今の自分がある」という感覚がまさにPTGです。
⑤ レジリエンスを高める「7つの実践」
レジリエンスは生まれつきの才能ではなく、日常の習慣と思考の中で育てることができます。ポジティブ心理学の知見をもとに、具体的な実践法を7つ紹介します。
1. 感謝の習慣をつける(グラティチュード)
毎日、「今日よかったこと3つ」を書き出す習慣(スリーグッドシングス)は、ポジティブ心理学の研究で最も効果が実証されている介入の一つです。谷にいるときでも、小さな良いことに目を向ける訓練になります。
2. 強みを知り、活かす
VIA(価値観による強みの分類)では、人間の強みを24種類に分類しています。自分の「強み(シグネチャーストレングス)」を知り、日常で意識的に使うことで、困難に立ち向かう自信と活力が高まります。
3. 「コントロールできること」に集中する
アドラー心理学とも共鳴するこの考え方は、レジリエンス研究でも重要視されています。変えられないことに悩み続けるより、今自分ができることに注力することで、無力感から解放されます。
4. 支えとなるつながり(ソーシャルサポート)を大切にする
レジリエンス研究において、「社会的なつながり」は最も重要な保護要因の一つです。困ったときに頼れる人、話を聞いてくれる人の存在が、心の回復力を大きく左右します。人生グラフを描いて振り返ると、谷を乗り越えた時期には必ず「誰かの支え」があることが多いものです。
5. 自己慈悲(セルフコンパッション)を育てる
クリスティン・ネフ博士が提唱するセルフコンパッションとは、「自分自身に対して、友人に接するような温かさと理解をもつ」こと。自己批判が強い人ほどレジリエンスが低くなることが研究でわかっています。失敗しても「自分はダメだ」ではなく、「人は誰でも失敗する」という視点が大切です。
6. 意味を見出す(マインドセット)
スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が提唱する「成長マインドセット(Growth Mindset)」では、失敗や困難を「成長の機会」として捉えることが、長期的なレジリエンスに直結するとされています。「なぜこれが起きたのか」ではなく「この経験から何を学べるか」と問い直す習慣が重要です。
7. 身体を整える(睡眠・運動・呼吸)
レジリエンスは心だけの問題ではありません。睡眠不足、運動不足、慢性的なストレスは、脳のストレス反応系(扁桃体)を過活動させ、レジリエンスを低下させます。規則正しい睡眠、週3回以上の有酸素運動、深呼吸・マインドフルネスは、科学的に証明されたレジリエンス強化策です。
⑥ 人生グラフを「レジリエンスの地図」として使う方法
人生グラフを描いたら、以下の問いを自分に投げかけてみましょう。これは「レジリエンスの源泉を掘り起こす」ワークです。
| 【レジリエンス・リフレクション・クエスチョン】 ● 谷の時期、あなたを支えてくれた「人」は誰ですか? ● 谷から山へ向かうとき、何がきっかけになりましたか? ● その体験を通じて、あなたはどんな「強み」を発揮しましたか? ● 谷の経験が、その後の人生にどんな「プラスの影響」を与えましたか? ● 今の自分が、当時の自分に一言声をかけるとしたら? |
これらの問いに向き合うことで、単なる「過去の振り返り」ではなく、「自分のレジリエンスの歴史の発見」になります。人生グラフは記録ではなく、未来を生きるための「地図」なのです。
⑦ 人生の「谷」は失敗ではない——まとめ
ポジティブ心理学は、「幸せな人生とは山ばかりの人生ではない」と教えてくれます。
谷があるからこそ山の高さがわかる。逆境があるからこそ強さが磨かれる。人生グラフに描かれた波のすべてが、あなたという人間を形づくっています。
この記事のまとめです:
- 人生グラフ(ライフチャート)は、自分の人生を可視化して自己理解を深めるツール
- ポジティブ心理学は、強み・幸福・意味を科学的に研究する分野
- レジリエンスは「傷つかない強さ」ではなく、「逆境から回復し成長する力」
- 谷の体験はPTG(心的外傷後成長)の源になり得る
- 感謝・強みの活用・つながり・セルフコンパッション・成長マインドセットでレジリエンスは育てられる
- 人生グラフをレジリエンスの地図として使い、未来を前向きに設計しよう
| 💡 今すぐできること:紙とペンを出して、自分の人生グラフを描いてみましょう。完璧に描く必要はありません。5分間、山と谷をなぞるだけで、あなたの人生の「意味」が少し鮮やかに見えてくるはずです。 |
参考文献・出典
- Seligman, M. E. P. (2011). Flourish: A Visionary New Understanding of Happiness and Well-being. Free Press.
- American Psychological Association. (2014). The Road to Resilience.
- Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G. (2004). Posttraumatic Growth: Conceptual Foundations and Empirical Evidence. Psychological Inquiry.
- Neff, K. D. (2011). Self-Compassion: The Proven Power of Being Kind to Yourself. William Morrow.
- Dweck, C. S. (2006). Mindset: The New Psychology of Success. Random House.
- Peterson, C., & Seligman, M. E. P. (2004). Character Strengths and Virtues: A Handbook and Classification. APA.
投稿者プロフィール

- 一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
-
逆境や困難の中でも「希望」と「可能性」を見出し、自分らしく前向きに生きる人を育む、肯定的な心理学の専門機関。
公式ページ
https://www.positive-counselor.org/
イベント
https://www.positive-counselor.org/event/
協会概要
2013年に任意団体として設立され、2018年に一般社団法人化。ポジティブ心理学、コーチング心理学などを基盤に、個人や組織の成長、ウェルビーイング(幸福)の向上を目指す非営利団体です。諸外国の最先端の研究を取り入れつつ、日本人らしい「謙遜さ」や「誠実さ」といった価値観も尊重した、日本人に合ったプログラムを提供しています。
ミッションとビジョン
ミッション: 肯定的な心理学を活用した対人支援、社会支援、セルフケア、自己成長の普及。
ビジョン: 精神的な困難を未然に防ぎ、問題が生じても前向きに行動できる人材、そして周囲を「勇気づけ」できる人材を育成することで、より希望に満ちた社会を創造する。
実践的なワークショップ:
カードゲームや心理テストなど、体験・実践を重視した形式で、楽しく学べる場を提供。
「強み(ストレングス)」「レジリエンス(逆境力)」など、具体的なテーマに基づいた講座を多数開催。
学校、企業、福祉・看護など、様々な現場のニーズに合わせた研修プログラムを企画・開発・提供。
出版・普及活動、外部機関講演実績
特徴
実践重視のプログラム: 理論だけでなく、カードゲームなどを活用した体験型ワークショップが多く、すぐに実践できるスキルが身につくと評判です。
多様な心理学の統合: ポジティブ心理学を中心に、コーチング心理学やアドラー心理学、認知行動療法など、幅広い理論を統合した多角的なアプローチを学べます。
受講者の声(評判)
口コミでは、「実践的なワークが多く、思考が前向きに変わった」「日常生活にすぐ役立てられた」といった肯定的な評価が多数寄せられており、受講者の満足度は非常に高いです。特に、初心者でも学びやすい内容と、学習を通じて得られるポジティブな影響が好評を得ています。
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