機能分析精神療法(Functional Analytic Psychotherapy, FAP)とは? 用語

🌈 心に聴く、心に響く、心に効く ― 機能分析精神療法(FAP)

機能分析精神療法(FAP)とは

FAP|Functional Analytic Psychotherapy|一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会

機能分析精神療法(FAP)とは?
「今ここ」の関係そのものを、変化の力にする心理療法 5つの原則・使える質問・信頼関係の3要素(気づき・勇気・愛)・ポジティブ心理学との統合をやさしく紹介

「知っている」だけでなく「できる」に。関係の力を知るだけでなく、目の前の人との「今ここ」のやりとりで、実際に変化を支えられる人を育てています。

FAPの核心は、技法の前にある人間性のスキル。気づき(Awareness)・勇気(Courage)・愛(Love)をもって、人として相手と向き合う姿勢を、実践で磨きます。

  • 関係性を活かす心理療法
  • そのまま使える質問例つき
  • ポジティブ心理学と統合
  • 通信ではなく実践型
  • 対人支援職・コーチにも

ひとことで言うと

  • 機能分析精神療法(FAP:Functional Analytic Psychotherapy)とは、カウンセラーとクライエントの「今ここ」の関係そのものを活用して、対人関係の課題や行動の変化を支える心理療法です。行動分析学にもとづく「第3世代の行動療法」の一つです。
  • 日常の人間関係でのパターンはセッション中にも現れる、と考え、そこで見られた小さな前向きな変化(本音を話す・感謝を伝えるなど)をその場で受け止め、強めるのが特徴です。土台にあるのは、気づき(Awareness)・勇気(Courage)・愛(Love)の3つです。
  • ポジティブ心理学の強みや意味づけと組み合わせると、「関係の安心感 × 強み × 意味」で人を支える実践になります。協会の講座で、関わり方と質問を実践的に学べます。

監修:一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会|講座・イベント一覧/おすすめ講座診断(無料)

QUICK GUIDE

60秒でわかる 機能分析精神療法(FAP)

どんなもの? カウンセラーとの「今ここ」の関係を活かし、対人関係と行動の変化を支える心理療法
理論の土台 行動分析学(随伴性=行動の結果がその行動を強めるか)。第3世代の行動療法
カギとなる言葉 CRB1(セッション中の課題となる行動)/CRB2(前向きな変化)/T1・T2(カウンセラー側の反応)
関係の3要素 Awareness(気づき)・Courage(勇気・率直さ)・Love(愛・人としての関係)
向いている課題 本音が言えない、人を避けてしまう、孤立・自己否定など、対人関係の悩み
活かせる人 カウンセラー、コーチ、看護・福祉・教育の支援職、管理職
WHAT IS FAP

機能分析精神療法(FAP)とは?

機能分析精神療法(Functional Analytic Psychotherapy, FAP)は、クライエントとセラピストの関係性や行動に焦点を当て、行動変容を促す心理療法です。信頼関係や人間関係を向上させながら、相手をケアするアプローチが含まれており、対人関係に関わる心理療法でもあります。人間関係そのものを治療に活用する点がユニークなポイントです。

FAPは、セラピストとクライエントの“今ここ”の関係性に注目し、対人関係の改善を通じて行動変容を促します。第三世代の行動療法の一つで、行動分析学にもとづいています。

特徴とアプローチ

👀

セッション内の行動に注目

日常で抱える問題行動(人との関わり方や感情表現のしかたなど)は、セッション中にも現れると考え、リアルタイムで観察し、適切なフィードバックを行います。

✨

強化の活用

望ましい行動(例:自己開示)をその場で肯定的に受け止め、自然な変化を促します。自己開示が苦手な人が少し話せたとき、それを大切に受け止めることで、より自然に自己表現できるよう導きます。

🤝

関係性の重視

セラピストとの関係そのものを「治療の場」として活用し、信頼と変化を育てます。セラピストには、温かく、誠実で、応答的な関わりが求められます。

理論的背景

  • 行動分析の原則にもとづき、特に「随伴性(行動の結果が、その行動を強めるかどうか)」を重視します。
  • 問題行動や適応的な行動が、どのような環境で維持されているかを見極め、セッション内で変化を起こします。
  • 「今ここ」のやりとりを通じて、クライエントが新しい対人スキルを学ぶ場をつくります。

たとえば…

「人に本音を言えない」という課題を抱えている場合、セッション中にセラピストに少しでも本音を話せた瞬間を見逃さず、「今の言葉、とても大切に感じました」と伝えます。そうすることで、その行動が強まり、日常でも本音を言えるように導いていきます。
ポイント:FAPは、ただ「話を聞く」セラピーではなく、人間関係そのものを治療に活かす点がユニークです。

BACKGROUND

機能分析精神療法と行動分析学・認知行動療法の関係

🔬 行動分析学行動とその結果の関係を見る
→
🧠 認知行動療法考え方と行動の変化
→
💞 FAP(第3世代)「今ここ」の関係で変わる

FAPは「第3世代の行動療法」とされ、行動分析学に関わる、特に対人関係の問題に焦点を当てた心理療法です。セラピストとクライエントの関係性を活用し、クライエントの問題行動や適応的な行動を、セッション内で直接観察・強化することを重視します。

FAPは、行動分析の原則にもとづき、特に随伴性(行動の結果による影響)を重視します。これは、行動がどのような環境要因によって維持されているかを分析し、適切な関わりを行うための考え方です。FAPは、行動分析にもとづいた対人関係志向の心理療法であり、「セラピストとクライエントの関係性の“今ここ”のやりとり」を変化の中心に置いています。

5 RULES

FAPの5つの基本原則(The Five Rules of FAP)

  1. CRB1(課題となる行動)を見抜くObserveクライエントの「臨床的に関連する行動(CRB1)」をセッション中に見つけます。例:過剰な自己批判、感情の回避、沈黙など。
  2. CRB2(望ましい行動)を強めるReinforceセッション中にクライエントが見せる前向きな変化(CRB2)を「その場で」受け止め、強めます。例:自己開示、気持ちの表現、他者への感謝など。
  3. CRBの区別を学べるよう促すAwarenessクライエントが自分自身のCRB1とCRB2を見分けられるように支援し、セルフモニタリングの力を育てます。
  4. セラピスト自身の反応(T1・T2)を活かすTherapistセラピストは自分の応答(T1=問題的な反応、T2=治療的な応答)に気づき、クライエントの学びを促すために、自分自身も変化を起こします。
  5. 治療関係を活かすRelationshipセラピストとクライエントのリアルな関係性の中で、新しい行動パターンを育てる場をつくります。

補足:FAPの特徴的な考え方

  • 行動の「機能」に注目し、「なぜその行動が起きているか」を深く見る
  • 対人関係のパターンはセッション中にも再現される、という前提を持つ
  • 自然で真摯な関係性(Authenticity and emotional openness)が、治療効果の核
QUESTIONS

FAPの5原則 × カウンセリングで使える質問

行動の「機能」に注目しつつ、「今ここ」の関係を活かすための質問例です。

FAPの原則 セラピストの目的 活用できる質問例
1. CRB1(課題となる行動)の識別 セッション中に現れる問題行動(回避・沈黙・攻撃など)を見抜く ・今、この話をするとき、どんな気持ちがしますか?
・この場面、他の人とも同じようなやりとりをしたことがありますか?
・話したくないとき、体のどこに力が入りますか?
2. CRB2(望ましい行動)の強化 望ましい行動が自然に出てきたときに、それを明確にして強める ・今の言葉、とても大事なことを話してくれたように感じました。ご自身ではどう感じましたか?
・今、それを言うのに勇気がいりましたか?
・この感じ、また次回も出せそうですか?
3. CRBの識別を促す クライエント自身が自分の行動の違いに気づけるよう支援 ・今の自分の反応、以前とは何か違って感じますか?
・さっきと比べて、気持ちの流れに変化はありますか?
・どのようなときに、自分が素直に表現できると感じますか?
4. セラピストの反応を活かす(T1/T2) 自分の感情や行動をフィードバックとして示し、関係性を変化の場にする ・今、私は少し戸惑いを感じています。それを伝えることで、あなたはどう感じますか?
・あなたがそう言ったとき、私はうれしく感じました。それを知ってどう思いますか?
・私たちのやりとりに何か気づいたことはありますか?
5. 治療関係を活かす 今ここでの“本物の関係性”を築き、新しい対人スキルを練習する場にする ・私たちのこの関係の中で、もっとこうしたい、という希望はありますか?
・セッションの中で、安全に話せると感じる瞬間はどんなときですか?
・今のやりとり、日常の誰かとの関係でも使えそうに感じましたか?

研究によると、FAPは特に社会的機能や対人関係の改善に役立ち、さまざまな心理的な課題に対して有望なアプローチとされています。一方で、特定の精神疾患に対する十分なエビデンスはまだ確立されていません。FAPは、セラピストによる適切な強化を通じて問題行動を減らし、日常生活での行動の改善につながることが示されています。

AWARENESS・COURAGE・LOVE

信頼関係づくりの3要素(Awareness・Courage・Love)

「気づき・勇気・愛」の3要素は、FAPだけでなく、カウンセリングやコーチングのあらゆる対人支援の土台です。

👁️ Awareness(気づき)

意味:自分と相手の「今ここ」での感情・行動・反応に、マインドフルに注意を向けること。

FAPでの役割:行動の「機能」を見抜き、変化のタイミングを逃さない。

  • クライエントの沈黙や言葉の選び方に注目する
  • 自分が今どんな感情でいるかを観察する
  • 相手の目線・体の動き・声のトーンの変化に気づく
  • 「今ここで何が起きているか」を内省し続ける

🦁 Courage(勇気・率直な関与)

意味:リスクをとって本音を伝え、真の関わりを選ぶ勇気。

FAPでの役割:ありのままの自分で“他者とかかわる勇気”を、建設的に育てる。

  • 自分の感情や違和感を言葉にする(例:「今、少し心配になりました」)
  • 相手の発言に揺さぶられても、関わりを持ち続ける
  • 避けたくなる瞬間に“対話し続ける”選択をする
  • 相手が本音を出せる「率直な雰囲気」を自ら示す

💗 Love(愛・人としての関係)

意味:相手を「クライエント」ではなく「人」として受け止めること。存在への尊重。

FAPでの役割:相手の存在そのものを受け止め、安心できる関係の土台をつくる。

  • 「その話を聴けてうれしい」と伝える
  • 問題ではなく、相手の価値や努力に注目する
  • “何かを直す”のではなく“共にいる”姿勢をとる
  • 「話してくれてありがとう」と感謝を伝える

FAPの5ルールと信頼関係の3要素

FAPの5ルール 内容 関連する要素 解説(治療同盟とのつながり)
ルール1:CRB1を識別する セッション内で示す問題行動(例:回避・怒り)を見極める Awareness(気づき) 表面的な行動でなく「機能」に注目する洞察力が重要
ルール2:CRB2を強化する 適応的な行動(例:自己開示・正直な発言)をその場で強める Love(共感的な承認) 受容的・感情的なつながりが変化を支える
ルール3:CRBを引き出す クライエントの反応を引き出すよう、セラピストが意図的にふるまう Courage(対話する勇気) 率直な関わりで、リアルな人間関係を学び直す
ルール4:CRBを自然な形で強化する 技法としてではなく、本物の人間関係の中で強める Love & Courage 強化が「操作」ではなく「つながり」として伝わることが重要
ルール5:治療効果を一般化する セッション内の変化を日常生活に広げる工夫をする Awareness(気づき) 「ここでの変化」を「外の世界」に広げる準備をつくる

実践を支える問い(支援者自身への内省)

  • 今、自分は相手の変化よりも「評価」や「正しさ」に偏っていないか?(Awareness)
  • 今、私が本当に言いたいことを言えているか? リスクを避けていないか?(Courage)
  • この人と人として「共にいる」ことを大切にできているか?(Love)

FAPとの接続:セッション中の実践例

FAPの技法 3要素とのつながり
CRB1を見逃さず観察する Awareness:注意深く「問題行動」の機能を見る
本音で反応する(強化や正直な感情) Courage:共感だけでなく、真実を伝える
共に喜び、痛みを共に感じる Love:役割でなく、人としてそこにいる
TRAINING

3要素を体得するためのトレーニング

自己省察ワーク・ロールプレイ・体験ベースの研修に分けて整理しました。

要素 自己省察ワーク ロールプレイ 体験ベースの研修
Awareness(気づき) ●「今この瞬間、自分は何に注意を向けているか?」という気づき日記
●セッション後のふりかえり記録(五感・感情・思考)
●セッション中の非言語的なサインを観察・言語化する練習
●フィードバック時の呼吸・姿勢・間の観察
●マインドフルネス瞑想
●即興演劇(今ここの反応を重視)
●「観察→言葉にする」ペア練習
Courage(率直な関与) ●「本当は言いたかったこと」「怖くて避けたこと」の書き出し
●「自分の怖れパターン」を棚卸しするワーク
●不快な沈黙や拒否への応答練習
●「率直さフィードバック」のロールプレイ
●言いにくいことを丁寧に伝える練習
●「フィードバックを贈る・受け取る」体験演習
●境界線を越えない“本音で話す”ペア対話
●公開カウンセリング形式
Love(人としての関係) ●「この人のどんな部分に感謝できたか」「人間性に触れた瞬間は?」のふりかえり ●役割関係を超えた共感の言葉を返すロールプレイ
●ラベリングせず“まなざし”で関わる練習
●「ありがとうを伝えるワーク」
●涙や沈黙に伴走する演習
●“何もしないでただ共にいる”場の体験

補足ポイント

  • Awarenessは「気づいていない自動反応」や「微細な変化」に注意を向ける力を養います
  • Courageは「関係を壊すことを恐れず、真に関わる力」の育成です
  • Loveは「評価せず、存在そのものを大切にする態度」を体感的に学びます

自己内省とカウンセリングでの質問の対応表

要素 自己内省の問い(支援者自身へ) クライエントへの質問例
Awareness(気づき) ・今、自分は何に注意を向けていたか?
・見落としていた感情やサインはあったか?
・どこで自動反応になっていたか?
・最近、「なんとなく感じたこと」を言葉にした場面はありますか?
・今、自分の中で“起きていること”に、なにか気づいている点はありますか?
Courage(率直な関与) ・本当は伝えたかったけど、伝えなかったことは?
・どんな感情・反応を恐れて避けたか?
・相手と本音でつながろうとしたか?
・今、率直に伝えたいことがあるとしたら、それは何ですか?
・関係を深めるために、少し勇気を出すとしたら何をしますか?
Love(人としての関係) ・相手の“存在そのもの”に感謝できた瞬間は?
・評価や期待で相手を見ていなかったか?
・この人と共にいることの意味は?
・この人とつながりを感じた瞬間はありましたか?
・あなたが“人として”誰かに関わったと感じた場面は?
× POSITIVE PSYCHOLOGY

機能分析精神療法とポジティブ心理学の関係

項目 機能分析精神療法(FAP) ポジティブ心理学 関係性・補完性
理論的背景 行動分析・スキナーの応用行動分析にもとづく。関係性の中での行動変容が中心 セリグマンらによる「よい人生」に関する科学。強み・意味・フローなどが中核 由来は違うが、人間の成長を共通の目的とする
目的 「治療関係」を通じて行動パターンを改善し、人間関係や人生の質を高める 幸福・フロー・意味・強み・レジリエンスを育て、ウェルビーイングを高める 両者とも「人がよりよく生きる」ことに焦点。FAPは行動的、ポジティブ心理学は構成的・認知的
アプローチ 対話中に生じる行動(CRB)に注目し、リアルタイムで強化やフィードバックを行う 強みの同定と活用(VIA)、ポジティブ感情、意味の探求、感謝・希望・楽観の育成 両者とも人との関係性を重視
対象 対人関係の課題を抱える人(回避・孤立・自己否定など) 一般の個人から臨床まで幅広い FAPは臨床寄り、ポジティブ心理学は教育・企業にも広がる
共通点 行動の変容による成長、関係性の力、支援者の自己開示や温かな態度 人間関係・強み・希望・自己変容など、人の可能性への信頼 「人間的なつながり」「感情の安全」「成長可能性への信頼」が共通の基盤
相違点 行動分析にもとづく即時フィードバック重視。実験的・関係志向 認知的・構成主義的アプローチ中心。主観的体験や価値を重視 補い合う関係。統合で「関係的安全 × 強み × 意味」の支援が可能に
  • FAPの「愛・気づき・率直さ」は、ポジティブ心理学の「良好な人間関係」「自己変容と自己超越」などと強く結びつきます。
  • 組み合わせることで、臨床の場面でも、強みや希望を活かした関係的な支援が可能になります。
HOW TO USE

FAP × ポジティブ心理学 カウンセリング活用法

FAPをポジティブ心理学を活用したカウンセリングに応用すると、「強みを活かした関係性」や「対人場面での変化」をより効果的に促せます。

1. 「強みの活用」+「関係性の変容」に意図的に焦点を当てる

FAPはセッション内の行動(CRB)に、ポジティブ心理学はVIAの強みやリソースに注目します。セッション内でクライエントが発揮した強みの表現(例:勇気・率直さ・愛)を、その場でフィードバックし、強めます。

2. CRBのポジティブな側面を見出す

CRBの種類 ポジティブ心理学的な視点
CRB1(課題となる行動) 回避の裏にある、まだ発揮されていない強み(例:回避 → 慎重さ・誠実さの裏返し)
CRB2(望ましい行動) 現れた強みの芽(例:初めて目を見て話した=勇敢さ・つながり)
CRB3(話題化) 強みについての自己認識の表れ(例:「自分って粘り強さがあるのかも」)

3. 5つのFAPルールにポジティブ心理学を統合する

FAPのルール ポジティブ心理学的な統合
① 気づき(Awareness) 強みが発揮された瞬間を見逃さず観察し、肯定的に伝える
② 勇気(Courage) 恐れがある中で行動したこと(小さな一歩)を称える
③ 愛(Love) 無条件の受容とつながりを大切にし、関係の安心感を届ける
④ 強化(Reinforce) 強み・価値にもとづく行動が起きた瞬間に、すぐ肯定的にフィードバックする
⑤ 一般化(Generalize) セッション外での強みの活用を促す宿題や振り返りを行う

4. 実践例:統合的なカウンセリングの流れ

  1. 開始時VIA強みカードなどを使って、クライエントの強みに気づく(事前の評価でも可)
  2. 対話中回避の背景にあるニーズや価値に共感しながら、発揮された強みをその場でフィードバック(例:「今、正直に言ってくれてありがとうございます。それはあなたの誠実さですね」)
  3. セッション内の変化勇気ある一言や表現に反応し、強める(「それは勇気ある一歩でしたね」)
  4. セッション外への橋渡し「その勇敢さを、次の職場でどう活かせそうですか?」と、行動の一般化を促す

5. 統合のメリット

FAPの即時的・関係性ベースの支援が、ポジティブ心理学の強み・希望・意味づけと融合することで、クライエントの「今ここでの自己表現」と「人生全体の方向性」をつなぐ支援が可能になります。
活用を深めるツール例:VIA強みカード/ポジティブフィードバックメモ/関係性振り返りワークシート(CRB記録+強み記録)

× 7 WELL-BEING

FAP × 7つのウェルビーイング 活用方法

領域 焦点 FAPを活かす支援の方向性 関わりの例
1. 主観的(幸福感・満足感) 今ここでの感情・体験の質 セッション内のポジティブな感情をその場で強め、自尊心・感謝・安心感を育む 「今のあなたの微笑みは、つながりを感じた証ですね」
2. 心理的(自己成長・自律性・目的) 自己理解・自己受容・変化への挑戦 自分らしくある行動(CRB2)を見逃さずフィードバックし、内発的な動機づけと自己決定を支える 「それを言葉にしたあなたは、本当に自分を大切にし始めていますね」
3. 社会的(他者との関係性) 対人関係の質と所属感 セラピストとの関係をモデルに、関係的な行動パターン(CRB)を見直し・強める 「あなたが今、私に『ありがとう』と言ったのは、つながりのサインです」
4. 身体的(健康・活力) 身体の感覚・行動とのつながり 身体反応やセルフケアへの気づきを促し、行動的なセルフケアの一般化を支える 「その深呼吸は、自分を落ち着かせようとする大切な行動ですね」
5. スピリチュアル(意味・価値・つながり) 人生の意味・価値観の再発見 自己開示を通して「大切にしたいもの」に立ち返る対話を強める 「それを話すあなたの目がとても真剣でした。大切にしているものが見えてきました」
6. キャリア(やりがい・挑戦) 仕事や活動における自己実現 「前向きな選択行動」や「挑戦の一歩(CRB2)」を強め、外の場面へ広げる 「その一言を上司に言おうと思ったこと、それ自体が挑戦の始まりですね」
7. 経済的(安心感・計画性) お金との関係・安心・主体性 お金にまつわる不安も回避や恐れとして現れるため、それを扱える関係の安全性を築く 「経済的な不安をこうして言葉にできたのは、大きな一歩ですね」
  • FAPは「対人関係のなかでの行動変容」を支える療法であり、各領域の「自己表現・つながり・行動の一般化」に応用しやすいアプローチです。
  • 各領域の変化は、セッション内の「小さな勇気(CRB2)」を見逃さずに強めることで支援できます。
  • FAPは「今ここでの関係」×「強化」×「意味づけ」の循環を通じて、人生の質全体に寄与します。
EVIDENCE

研究からわかっていること(やさしく言うと)

数字ではなく、効果の大きさを小中高の3段階で示します。

テーマ わかっていること 効果の目安
FAPによる対人関係・社会的機能の改善 不安・落ち込み・感情のコントロールなどで改善が報告され、1年後も維持されたという報告もある(研究の数はまだ少なめ) 中
カウンセラーとの関係(治療同盟)の質 関係の質がよいほど、心理療法の成果が上がりやすい 小〜中
FAPのトレーニング 受けた支援者の共感性やFAP特有のスキルが高まる 中

*特定の精神疾患に対する十分な科学的根拠はまだ不十分で、実施のしかたによって効果に差が出ることも指摘されています。

教訓と活かし方

変化のカギは、特別な技法よりも「今ここ」での小さな前向きな行動に気づき、人として誠実に受け止めること。支援者自身の気づき・勇気・愛を、練習によって育てることが大切です。

ACADEMIC SUMMARY

学術的な視点でのまとめ

📈 効果と適用範囲

  • 幅広い心理的な課題への効果:不安、うつ、強迫、性格、感情コントロールなど多様な課題で改善が報告され、その効果が1年後も維持されたとの報告があります(Ferro-García et al., 2021)。
  • 社会的機能の向上:主に社会的行動や対人関係の改善に強みがあり、セラピストが社会的な強化の担い手として働くことで行動変容を促します(Maitland et al., 2017; Molaie et al., 2022; Berlin et al., 2009; Lewis & Maitland, 2022; Ferro-García et al., 2021)。

⚙️ 作用メカニズム

  • セラピストによる強化:望ましい行動をその場で強めることで、変化が起きやすくなります(Molaie et al., 2022; Berlin et al., 2009; Rusch et al., 2006)。
  • セッション内の変化が日常へ:セッション中に減った問題行動が、セッション外でも減る傾向があります(Berlin et al., 2009; Lewis & Maitland, 2022; Rusch et al., 2006)。

🎓 セラピスト訓練と治療関係

  • スキルの向上:FAPの訓練を受けたセラピストは、共感性やFAP特有のスキルが向上し、治療の受容性も高まります(Tan et al., 2017)。
  • 治療関係の重要性:治療同盟や親密さが治療効果に寄与することが示唆されています(Kohlenberg & Tsai, 1991; Ferro-García et al., 2021; Kanter et al., 2002)。

🔭 限界と今後の課題

  • 特定疾患へのエビデンス:効果は有望ですが、特定の精神疾患に対する十分な科学的根拠はまだ不十分です(Maitland et al., 2017; Lewis & Maitland, 2022)。
  • 効果のばらつき:実施方法や個別化の程度によって効果に差が出ることが指摘されています(Lewis & Maitland, 2022; Davis et al., 2024; Rusch et al., 2006)。

結論として、FAPは対人関係や社会的機能の改善に特に有効で、セラピストの関わり方が治療のカギとなります。今後は、特定の疾患への効果や実施方法の最適化に関するさらなる研究が求められます。

「知っている」だけでなく「できる」に ― 協会の講座のメリット

  • 関係の力を「できる」まで:傾聴だけでなく、質問・承認・フィードバック・率直な自己開示・伝え方を、ペア練習とロールプレイで練習します。FAPの「気づき・勇気・愛」を体験的に身につけられます。
  • 心理的安全性を土台に:前向きさを押しつけず、ネガティブな感情にも寄り添いながら、本人が自分の力に気づけるよう支えます。
  • 統合的なアプローチ:ポジティブ心理学・認知行動療法・アドラー心理学などを統合し、強みと関係性の両方から支援する力を育てます。
  • エビデンス・ナラティヴ・アダプティブ:国際的な研究知見を、日本人に合った形で、一人ひとりの物語を大切に実践します。アダム・グラントの「才能の科学」やエンゲージメントなど、新しい視点も取り入れています。
  • 通信ではなく実践型:オンラインでも対面と同じ実践型。VIA強みカードやワークシートで楽しく学べます。
  • 落とさない・挫折させない:再受講制度とフォローアップで、身につくまで学び直せます。

資格取得には、実践の経験や人との関わり、受講者同士の交流やネットワークなど、お金だけでは得られない価値があります。次のキャリアやキャリアチェンジのきっかけにもなります。

HOW TO JOIN

講座への参加の流れ

  1. 講座を選ぶはじめての方は「ポジティブ心理カウンセラー基本講座」がおすすめ。迷ったらおすすめ講座診断(無料)で確認できます。
  2. 日程を確認して申し込む開催日程・申込方法は、各講座ページでご確認ください。
  3. 実践型の講座に参加オンラインでも対面と同じ、ペアワーク・ロールプレイ中心で学びます。
  4. 現場で試す面談や1on1で、「今ここ」の小さな変化を受け止める関わりを使ってみます。
  5. 資格の認定・次の学びへ各講座の認定資格のほか、ポジティブ心理療法士®・ポジティブ認知行動療法士®などの上位資格にもつながります。
COURSES

関係の力と行動の変化を学べる講座

主な講師:徳吉陽河(一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 代表理事 など)

ポジティブ心理カウンセラー基本講座

ポジティブ心理カウンセラー基本講座

はじめの一歩に。関係性と強みを活かすカウンセリングの基本

認知行動療法と認知行動コーチング基本講座

認知行動療法と認知行動コーチング基本講座

行動と考え方の変化を支える技法を、実践で

ストレングスカウンセラー講座

ストレングスカウンセラー講座

VIAの強みを見つけ、その場でフィードバックする力を

エンカレッジカウンセラー講座

エンカレッジカウンセラー講座(勇気づけ)

「小さな勇気」を受け止め、育てる関わり

FAQ

よくある質問

機能分析精神療法(FAP)とは何ですか?
カウンセラーとクライエントの「今ここ」の関係を活用して、対人関係の課題や行動の変化を支える心理療法です。行動分析学にもとづく第3世代の行動療法の一つで、セッション中に見られた前向きな変化を、その場で受け止めて強めるのが特徴です。
「機能分析心理療法」「機能分析的心理療法」と同じものですか?
はい。Functional Analytic Psychotherapy の訳し方の違いで、同じ心理療法を指します。略称はFAPです。
CRB1・CRB2とは何ですか?
CRBは「臨床的に関連する行動(Clinically Relevant Behavior)」の略です。CRB1はセッション中に現れる課題となる行動(回避・沈黙・自己批判など)、CRB2はセッション中に現れる前向きな変化(自己開示・気持ちの表現・感謝など)を指します。
認知行動療法(CBT)とは何が違いますか?
CBTは考え方と行動の変化に焦点を当て、セッション外での練習も重視します。FAPは、カウンセラーとの関係の中で起きる行動そのものに注目し、その場で受け止めて強める点が特徴です。両者は組み合わせて使われることもあります。
コーチングや職場の1on1でも使えますか?
はい。FAPの「気づき・勇気・愛」の3要素や、「今ここ」の小さな変化を受け止める関わりは、コーチング、1on1、看護・福祉・教育など、あらゆる対人支援で活かせます。ただし、治療としてのFAPは専門的な訓練を受けた支援者が行うものです。
ポジティブ心理学と組み合わせるメリットは?
FAPの即時的・関係性ベースの支援に、強み・希望・意味づけが加わることで、「今ここでの自己表現」と「人生全体の方向性」をつなぐ支援ができるようになります。
心理学を学んだことがなくても講座に参加できますか?
はい。初心者の方から、カウンセラー・看護職・教員・管理職などの専門職の方まで参加されています。わかりやすい資料と体験型のワークで学べます。

References(参考文献)

  • Maitland, D., Villas-Bôas, A., Manbeck, K., Kanter, J., Ortega, M., & Kuczynski, A. (2017). A comprehensive review of research on Functional Analytic Psychotherapy. Clinical Psychology Review, 58, 141–156. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2017.09.010
  • Molaie, A., Muñoz-Martínez, A., Follette, W., Ta, J., & Stanton, C. (2022). Linking process to outcome in Functional Analytic Psychotherapy: Evaluating the behavioral mechanism of change of a process-based therapy. Journal of Contextual Behavioral Science. https://doi.org/10.1016/j.jcbs.2022.04.001
  • Berlin, K., Busch, A., Baruch, D., Weeks, C., Callaghan, G., & Kanter, J. (2009). A micro-process analysis of Functional Analytic Psychotherapy’s mechanism of change. Behavior Therapy, 40(3), 280–290. https://doi.org/10.1016/j.beth.2008.07.003
  • Kohlenberg, R., & Tsai, M. (1991). Functional Analytic Psychotherapy: Creating intense and curative therapeutic relationships. Plenum. https://doi.org/10.1007/978-0-387-70855-3_7
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投稿者プロフィール

一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会事務局
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会事務局一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
逆境や困難の中でも「希望」と「可能性」を見出し、自分らしく前向きに生きる人を育む、肯定的な心理学の専門機関。

公式ページ
https://www.positive-counselor.org/

イベント
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協会概要
2013年に任意団体として設立され、2018年に一般社団法人化。ポジティブ心理学、コーチング心理学などを基盤に、個人や組織の成長、ウェルビーイング(幸福)の向上を目指す非営利団体です。諸外国の最先端の研究を取り入れつつ、日本人らしい「謙遜さ」や「誠実さ」といった価値観も尊重した、日本人に合ったプログラムを提供しています。

ミッションとビジョン
ミッション: 肯定的な心理学を活用した対人支援、社会支援、セルフケア、自己成長の普及。

ビジョン: 精神的な困難を未然に防ぎ、問題が生じても前向きに行動できる人材、そして周囲を「勇気づけ」できる人材を育成することで、より希望に満ちた社会を創造する。

実践的なワークショップ:

カードゲームや心理テストなど、体験・実践を重視した形式で、楽しく学べる場を提供。

「強み(ストレングス)」「レジリエンス(逆境力)」など、具体的なテーマに基づいた講座を多数開催。

学校、企業、福祉・看護など、様々な現場のニーズに合わせた研修プログラムを企画・開発・提供。

出版・普及活動、外部機関講演実績

特徴
実践重視のプログラム: 理論だけでなく、カードゲームなどを活用した体験型ワークショップが多く、すぐに実践できるスキルが身につくと評判です。

多様な心理学の統合: ポジティブ心理学を中心に、コーチング心理学やアドラー心理学、認知行動療法など、幅広い理論を統合した多角的なアプローチを学べます。

受講者の声(評判)
口コミでは、「実践的なワークが多く、思考が前向きに変わった」「日常生活にすぐ役立てられた」といった肯定的な評価が多数寄せられており、受講者の満足度は非常に高いです。特に、初心者でも学びやすい内容と、学習を通じて得られるポジティブな影響が好評を得ています。

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