初めての人と話すコツ・ポイント ガイダンス① ポジティブ心理カウンセラー入門

【背景】
カウンセリングやコーチングの講座で、初めての人と話すことが不安という方がおられました。話すこと、話を促すことが役割としてポジティブ心理カウンセラー協会は、良好な関係を築くための最初の一歩となるガイダンスを科学的に情報を集めました。
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初対面の人と話すコツ:効果的なアプローチ
初対面の人と円滑に会話を始め、良好な関係を築くためには、自己表現と相手への配慮のバランス、ターンテイキング(会話の順番の取り方)、共感的な態度が重要であることが研究から示されています。
効果的なコミュニケーションのポイント
| コツ・スキル | 具体的な内容・効果 | |
|---|---|---|
| 自己表現と他者配慮の両立 | 自分の意見や気持ちを伝えつつ、相手の立場や感情も尊重することで、内的・外的適応が高まる | |
| ターンテイキングの意識 | 会話の順番やタイミングを意識し、相手の話を遮らず適切に応答することで、自然な会話が生まれる | |
| 共感・ラポールの構築 | 個人的な情報を共有し、共感や信頼関係を築くことで、会話が深まりやすくなる | |
| わかりやすい説明・質問 | 専門用語を避け、図やストーリーを使って説明し、相手の率直な感想を引き出す | |
| 失敗を恐れず挑戦する姿勢 | 失敗を気にしすぎず、積極的に話しかけることで自信やコミュニケーション力が向上する |
具体的な実践例・工夫
- 挨拶や簡単な自己紹介から始める
- 相手の話にうなずきや相槌で反応する
- 共通点や関心事を探して質問する
- 相手の意見や感情を否定せず受け止める
- 会話の流れを意識し、話しすぎ・聞きすぎの偏りを避ける
初対面の人と話す際は、「自分らしさ」と「相手への配慮」を両立し、会話の順番や共感を意識することが、信頼関係や会話の満足度を高めるコツです。失敗を恐れず、積極的にコミュニケーションを楽しむ姿勢も大切です。
🔹初対面の人との前向きな対話例(実践モデル)
| 会話ターン | 発話内容 | コーチング心理学的意義 |
|---|---|---|
| 1. 挨拶と観察(ラポール形成) | 「こんにちは。はじめまして。お話できてうれしいです。今日はどんな一日でしたか?」 | (目的:「共感」)相手の現在の状態を尋ね、安心感を与える。初対面では“存在承認”が鍵。 |
| 2. 思考を可視化(質問) | 「最近、関心を持っていることってありますか?」 | (目的:「探求」)“多面的な質問”を用い、相手の思考を広げる。 |
| 3. 共感と承認 | 「なるほど、それは面白いですね。どうしてそれに興味を持たれたんですか?」 | (目的:「傾聴」)共感+追加質問で、相手の語りを促進。 |
| 4. 成長マインドセットの共有 | 「私も似たような挑戦をしたことがあります。失敗もありましたけど、学びが多かったです。」 | (目的:「共有」)自分の経験を開示し、心理的距離を縮める。 |
| 5. 相手の価値観を探る | 「そうした経験から、どんなことを大事にされていると感じますか?」 | (目的:「内省」)“Socratic Questioning(ソクラテス式質問)”を応用し、自己理解を促す。 |
| 6. ポジティブな未来志向で締める | 「その考え方、素敵ですね。これから、どんなことをされたいのですか | (目的:「展望」)Prospection(未来予測的思考)を活かし、希望を共有。 |
🔹対話スタイルのポイント
| 観点 | 実践ポイント | |
|---|---|---|
| 安心感の構築 | 相手の発言を途中で遮らず、沈黙を尊重する。 | |
| 多面的質問 | 「なぜ」「どうして」「もし〜なら」を使い、思考を深める。 | |
| 共感的傾聴 | 相手の言葉を繰り返す・要約する。 | |
| 未来志向 | “今後どうなりたいですか?”を活用。 | |
| 成長マインドセット | 失敗=学びの機会と捉える姿勢を共有。 |
🔹カウンセリング的な視点 質問例
| カテゴリ | 質問例 | 目的 |
|---|---|---|
| 開始時(ラポール) | 「最近どんなことにワクワクしていますか?」 | 前向きな雰囲気を作る |
| 探求 | 「その中で一番印象に残っていることは何ですか?」 | 内省を促す |
| 共感 | 「その時、どんな気持ちでしたか?」 | 感情の共有 |
| 成長 | 「そこから何を学ばれましたか?」 | 成長マインドセットの強化 |
| 展望 | 「これからどんなことを試してみたいですか?」 | 未来志向の促進 |
🔹カウンセリング対話例(短いロールプレイ)
カウンセラー(C):こんにちは、はじめまして。今日はお時間をいただきありがとうございます。(目的:「信頼」)
クライエント(Cl):こちらこそ。少し緊張しています。
C:そうですよね。初めての場では誰でも緊張しますよね。最近、何か楽しみにしていることはありますか?(目的:「安心」)
Cl:旅行の計画を立てていて、それが楽しみです。
C:素敵ですね。どんなところに行かれる予定ですか?(目的:「関心」)
Cl:京都です。歴史ある街並みが好きで。
C:いいですね。京都を歩くと落ち着きますよね。どんな気分になりたいと思っていますか?(目的:「内省」)
Cl:リフレッシュしたいですね。最近、忙しかったので。
C:リフレッシュ、大切ですよね。どんな時間がとれると、いちばん元気が出そうですか?(目的:「展望」)
🔹まとめ:初対面の前向き対話を成功させる3原則
| 原則 | 内容 | |
|---|---|---|
| ① 尊重する | 相手の話を遮らず、価値観を尊重する | |
| ② 質問で広げる | “Why, How, What next?” を活用 | |
| ③ 共感でつなぐ | 感情への共感+未来志向 |
🔹参考文献
- Minami, A. (2024). Reshaping the Secondary ESL Classroom. LD Journal.
- O’Riordan, S. & Palmer, S. (Eds.) (2021). Introduction to Coaching Psychology. Routledge
- Neenan, M. & Palmer, S. (Eds.) (2022). Cognitive Behavioural Coaching in Practice. Routledge
- Kellerman, G. R. & Seligman, M. (2023). Tomorrowmind. Atria Books
投稿者プロフィール

- 監修者:一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 代表理事
- 徳吉陽河(とくよしようが)は、ポジティブ心理学、ポジティブ心理カウンセラー協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。ポジティブ心理療法士、コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師、教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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