アドラー心理学から学ぶ困難を克服する勇気づけを5つ紹介 認定資格取得の参考に


■ポジティブ心理学とアドラー心理学の応用による勇気づけカウンセリング)エンカレッジカウンセラー で活用

当協会では,肯定的な心理学を活用していることから,アドラー心理学とポジティブ心理学の関連性について研究及び実践活動を行っております。ポジティブ心理学とアドラー心理学の関連性を調査・分析を行うことで,より効果が見込めると考えております。

アドラーは,自己啓発なの?心理学なの?という質問を頂きますが、現代の自己啓発の土台となった心理学理論のひとつ、というのが我々の見解です。アドラー心理学は,古典的な心理学であるため,現代に削ぐ合わない部分や科学的な再構成が求められています。

そのため,当協会では,古典的なアドラー心理学に関して,温故知新の視点,他のポジティブ心理学との関連性を調査し,カウンセリングや実践の中で活用しております。

自己啓発の著書「人を動かす」「道は開ける」などのベストセラーを著したデール・カーネギーや『7つの習慣』のスティーブン・R・コヴィー博士はご存知でしょうか?あまり知られていないかもしれませんが、彼らはアドラーから影響を受けております。

この記事では,アドラー心理学での主要の理論を5つ紹介いたします。

当協会では,この5つの理論を活用して,ポジティブ心理カウンセリングのアプローチにの実践やクライエントの支援などにも活用しています。

理論名 概要 キーワード
自己決定性 人は環境や過去の犠牲者ではなく、自らの意思で未来を創造できる存在。 主体性・選択・責任
目的論 行動には必ず目的がある。過去の原因ではなく、未来の目標に向かって行動する。 意図・未来志向・行動の意味
全体論 心と体、意識と無意識は分けられず、人は統一された存在である。 一貫性・統合・個人の全体性
認知論 人は主観的な意味づけ(色メガネ)を通して世界を見ている。 主観・意味づけ・多様な視点
対人関係論 すべての行動には相手が存在し、人は常に他者との関係性の中で生きている。 相互作用・関係性・影響
共同体感覚 所属感・共感・信頼感・貢献感を通じて、他者とつながりを感じる感覚。 つながり・幸福・社会的健康

5つの理論をご紹介

◆1.自己決定権

私たちは、環境や過去の犠牲者ではない。自ら運命を創造する力がある。あなたの人生の主人公はあなた自身である。

職場で失敗やトラウマが足かせになり、自分の運命を決め付けることは誰にもあるかもしれません。しかし、過去は過去の出来事であり、一度線引きをして、そこから未来を創造するために前進することの重要性をアドラーは説いています。

◆2.目的論

私たちの行動には必ず目的がある。過去の原因ではなく、未来の目標を見据えて行動すれば、ひとりひとりの意志が行動に反映される。

人からあなたは何をやりたいのかわからない!と指摘を受けたことはないでしょうか?例えば、あなたが現在無職で本来は転職活動をしなければならない状況だとします。しかし、履歴書や職務経歴書を書かずに、散歩をしたり筋トレをしているとします。

一見、目的と手段がかみ合っていないのかもしれませんが、実はそこにもあなたなりの特有の目的や意志があるのです。

今回のケースでしたら、「面接に絶えるための体力や精神力をつけたい」という意思が反映されているかもしれません。

◆3.全体論

私たちは心も体もひとつである。心の中で矛盾や自己対立が起きても、ひとりひとりの特有の意志がある。

先ほどの目的論と一緒ですね。現在軸で今の行動を見ると矛盾しているのかもしれませんが、未来に焦点を当てることで今の行動が見えてきます。全体論を知るために大事なのは、その意思はひとりひとりが固有にもっていることです。

◆4.認知論

誰もが自分の色メガネを通して世界を見ている。私たちは、自分流の主観的な意味付けを通して世界を構成している。

繰り返しになりますが、筋トレと就職活動の話をすると論理の飛躍を感じるかもしれません。しかし、これはあなたの色メガネが影響しているからではないでしょうか?誰もが自分の色メガネをもって世界を捉えています。自分と他人との違いを知り、受け入れることの重要性をアドラーは説いています。

◆5.対人関係論

全ての行動や出来事には必ず相手がいる。相手役があっての対人関係である。

一方で、私たちひとりひとりが違うのだから、その違いを最大限尊重するべきか?といわれたら、それは違います。全ての行動には「必ず相手役」がいて、お互いに影響をしあっています。あなたの目的、意志、行動を反映させて、この「相手役」も目的、意志、行動を持つことになります。

共同体感覚

アドラー心理学の重要な価値観として忘れてはならないのが、この「共同体感覚」です。共同体感覚とは、家族、地域、職場などの共同体などのコミュニティーを通しての所属感・共感・信頼感・貢献感を表したものです。簡単にいうと、「つながり」ですね。

例えば、受験をしているとき、同じ学年のクラスメイトは全員ライバルのような関係です。と、同時に同じ苦労と共にして、お互いを支えあう仲間にもなります。たとえ自分が第一志望を落ちても友人が合格して喜んでいれば、一緒に嬉しくなった経験はないでしょうか?

このような気持ちをもてれば、自然とこの共同体感覚は芽生えてきます。そして、この共同体感覚が備わった人が精神的に健康であり、例外なく幸福です。

ポジティブ心理カウンセラー協会では、アドラーの理論に基づいた5つの視点の向上、それを通して共同感覚を育むワークをいくつも行っております。

アドラー心理学とウェルビーイングの関係とは?

以下に、アドラー心理学の「5つの理論」と「共同体感覚」が、現代の心理学やポジティブ心理学で語られる「7つのウェルビーイング(well-being)」とどう関係しているかを表にまとめました:

アドラー心理学の理論・価値観 関連するウェルビーイング要素 関係性の説明
自己決定性 自律性(Autonomy) 自分の人生を自分で選択する力が、自律性の感覚を高める。
目的論 意義・目的(Purpose/Meaning) 行動の背後にある目的意識が、人生の意味や方向性を明確にする。
全体論 身体的健康(Physical well-being) 心と体を一体として捉えることで、心身のバランスと健康を重視する。
認知論 マインドフルネス・感情の安定(Emotional well-being) 主観的な意味づけを見直すことで、感情の安定や自己理解が深まる。
対人関係論 人間関係(Relationships) 他者との関係性を重視し、良好な人間関係が幸福感に直結する。
共同体感覚 所属感・貢献感(Social well-being) 社会とのつながりや貢献意識が、社会的な幸福感や自己肯定感を育む。
共同体感覚+勇気づけ 成長・達成感(Personal growth) 困難を乗り越える勇気と他者との協力が、自己成長と達成感を促進する。

このように、アドラー心理学の理論は、現代のウェルビーイングの構成要素と関係が深いことがわかります。

アドラー心理学の「5つの理論」☓「共同体感覚」☓7つのウェルビーイングの3つの関係性

更に掘り下げてみました。アドラー心理学の「5つの理論」☓「共同体感覚」☓7つのウェルビーイングの3つの関係性を以下の表にまとめました。

アドラー心理学の理論 / 共同体感覚 主観的ウェルビーイング 心理的ウェルビーイング 社会的ウェルビーイング 身体的ウェルビーイング スピリチュアルウェルビーイング 職業的/経済的ウェルビーイング
1. 劣等感と補償 自己評価の向上による幸福感の増加 自己成長の意識が高まり、心理的な充足感が得られる 他者との比較を超えて、他者との協力に焦点を当てる 健康を維持するための努力が身体的健康を支える 自己克服の経験が精神的な強さを育む 自己実現を目指すことで仕事に意義を感じる
2. 目標志向 目標達成感が主観的な幸福感を高める 持続的な目標追求が自信と満足感を生む チームやコミュニティとの目標達成感が社会的つながりを強化 目標に向けた行動が健康管理に寄与する 意義ある目標に向かって進むことが精神的な成長を促進 仕事での目標達成が経済的な成功をもたらす
3. 社会的興味 他者と関わることで幸福感が増す 他者との関わりが心理的安定をもたらす 他者との強いつながりが社会的満足感を高める 体調管理や健康を支える社会的サポートの充実 他者への配慮が内面的な充実感を高める チームで働くことで職場での充実感と成功を感じる
4. 共同体感覚 共感や理解が深まり、幸福感が増す 共同体の一員としての意義を感じることで心の安定 共感と理解が社会的なつながりを強化 健康的な生活の選択肢を共同体で支える 共同体内での精神的な支えを得られる 共同体貢献の感覚が職業的満足度を高める
5. 自己決定 自己決定感が幸福感に直結 自己決定による自由さと満足感が心理的な安定を促す 自己決定が社会的なつながりにもポジティブな影響を与える 自己決定が健康管理や生活習慣の維持に寄与 自己決定が人生に意味を与え、精神的成長を促す 自由に選択した職業が経済的な安定と充実感を提供
6. 勇気を持って前進 チャレンジ精神が主観的幸福感を高める 困難に立ち向かうことで自己肯定感が増す 新たな挑戦が社会的な絆を強化する 健康を維持するために挑戦を続けることが身体に良い影響を与える 挑戦することで自己の成長と精神的充実感を得る 勇気を持って前進することで職業的な進展と成功を促す
7. 社会的貢献と貢献感 社会貢献による満足感が主観的幸福感を高める 他者を助けることで心理的満足感が向上 他者との支援活動が社会的つながりを強化する 健康的な生活を社会貢献活動に活かす 貢献することが内面的な充実感を生む 仕事での貢献が経済的な報酬や職業的満足感を高める

この表は、アドラー心理学の「5つの理論」と「共同体感覚」が、7つのウェルビーイングの各側面とどのように関連しているのかを示しています。それぞれの理論がウェルビーイングに与える影響をクロスした視点で整理しています。

勇気にまつわる名言とは?

アドラーの名言には、勇気や自己決定、他者との関係性に光を当てたものが多くあります。以下に、特に「勇気」に関わる印象的な名言をいくつかご紹介します:

  1. 「勇気とは、困難を克服する活力のことだ。」
    困難に立ち向かう力そのものが勇気であり、逃げずに向き合う姿勢をアドラーは重視しました。
  2. 「人は失敗を通じてしか学ばない。」
    失敗を恐れず挑戦することが、成長と学びにつながるというメッセージです。
  3. 「できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ。」
    自己受容の大切さと、それに必要な勇気を語っています。
  4. 「他人からの賞賛や感謝など求める必要はない。自分は世の中に貢献しているという自己満足で十分である。」
    他者評価に依存せず、自分の価値を信じる勇気を持つことが大切だと説いています。
  5. 「人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。」
    過去ではなく、未来に向かって行動する勇気を持つことが、人生を切り開く鍵だとしています。

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