発達障害支援×ポジティブ心理学・ポジティブ心理療法入門 認定資格取得の参考に

発達障害支援 × ポジティブ心理学

発達障害支援×ポジティブ心理学
特性を「強み」に変える関わり方入門

発達障害の支援では、苦手なことへの対処に目が向きがちです。ポジティブ心理学は、そこに「強み」と「ウェルビーイング(よく生きること)」の視点を加えます。特性を理解し、強みを見つけ、活かせる環境を整える——その考え方と実践法をやさしく紹介します。

「知っている」から「できる」へ。合言葉は「心に聴く、心に響く、心に効く」。

監修:一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 | 最終更新日:2026年10月7日

ひとことで言うと

  • 発達障害は脳の働き方の発達に関わる生まれつきの特性で、主にADHD・ASD・LDなどがあります。
  • ポジティブ心理学は、問題の「修復」だけでなく、強みや資質を「育てる」ことに焦点を当てる心理学です。
  • 発達障害のある人は失敗体験や否定的な言葉を重ねやすく、自己肯定感が下がりやすい傾向があります。だからこそ強みに気づく体験が大切です。
  • 同じ特性でも見方を変えると強みになります(例:落ち着きがない→行動力、こだわりが強い→専門性)。
  • 支援の基本は「特性を理解する→サポートを得る→環境を整える」。強み探しや感謝・成功の記録など、日常でできる工夫があります。
  • 当協会の認定資格は民間資格ですが、国際学会の新しい研究や時代のニーズを先取りして講座にし、独自に研究・実践を重ねています。公認心理師・看護師・キャリアコンサルタントなどの国家資格と組み合わせると、相乗効果(シナジー)が生まれます。

発達障害とは?主な種類と特性

発達障害は、脳の働き方の発達に関わる生まれつきの特性です。本人の努力不足や育て方のせいではありません。主な種類は次のとおりです。

種類 主な特性
ADHD(注意欠如・多動症) 注意を続けるのが難しい/落ち着きがない・衝動的になりやすい/計画的に動くのが苦手
ASD(自閉スペクトラム症) 人とのコミュニケーションのすれ違い/こだわりが強く、変化が苦手/感覚の過敏さ・鈍さ
LD(学習障害) 知的な遅れはないが、読む・書く・計算するなど特定の学習に困難がある

「障害」だけでなく「特性」としてとらえる。こう見方を変えることで、その人の個性や強みを活かす道が見えてきます。ただし、困りごとが軽くなるわけではないので、必要な配慮や支援とセットで考えることが大切です。

ポジティブ心理学とは?従来の心理学と何が違う?

比べる点 従来の心理学 ポジティブ心理学
焦点 心の不調や問題行動の解消 よりよく機能すること・幸福感の向上
めざす方向 「マイナス」から「ふつう」へ 「ふつう」から「よりよく」へ
注目するもの 欠点や弱点への対処 長所や強み、資質の育成

どちらか一方ではなく、困りごとへの対処と、強みを育てることの両方が支援には必要です。ポジティブ心理学は、ウェルビーイングを支える要素をPERMAモデルとして整理しています。

  • P:ポジティブ感情…喜び・感謝・希望など(例:小さな喜びに気づく習慣)
  • E:没頭(エンゲージメント)…時間を忘れて打ち込む体験(例:得意なことに集中する時間をつくる)
  • R:よい人間関係…支え合い、認め合える関係(例:自分を理解してくれる人とつながる)
  • M:意味・意義…人生の目的や、何かに貢献している感覚(例:大切にしたい価値観を言葉にする)
  • A:達成…目標を達成し、成長を実感すること(例:小さな目標から積み重ねる)
PERMAモデルPERMAポジティブ感情没頭人間関係意味達成
図:ウェルビーイングを支えるPERMAモデルの5つの要素

なぜ発達障害のある人は自己肯定感が下がりやすいの?

環境からくる理由

  • 失敗体験が積み重なりやすい
  • 否定的な言葉や注意を受けた記憶が残りやすい
  • 周囲の理解不足から、すれ違いや摩擦が起きやすい
  • 「ふつう」に合わせなければというプレッシャー

考え方のくせからくる理由

  • 強みより弱みに目が向きやすい
  • 「強み」と呼べる基準を高く設定しすぎる
  • 自分の特性を「欠陥」ととらえてしまう
  • うまくいかなかった出来事に注意が向きやすい

強みに気づく体験が足りていないことが多い。発達障害のある人は「強みを育てる体験」や「強みに気づくためのサポート」が不足しがちで、それが自分で選び決める力の低下にもつながると考えられています。

発達障害の特性はどうすれば「強み」としてとらえられる?

同じ特性でも、場面や見方が変わると強みとして発揮されることがあります。

種類 困りごととして見えやすい面 強みとして活かせる面
ADHD 注意がそれやすい/落ち着きがない/衝動的 創造性・発想力/多方面への興味/行動力・決断の速さ/とっさの対応力
ASD コミュニケーションのすれ違い/変化が苦手/こだわりが強い 細部への注意力/特定分野の専門性/誠実さ・正直さ/論理的に考える力
LD 読み書き・計算の困難/情報処理のかたより 視覚的に考える力/工夫して問題を解決する力/代わりの方法を編み出す力

強みを活かす3つのステップ

  1. 特性を理解する:自分の特性を客観的に観察し、得意(凸)と苦手(凹)を整理する
  2. サポートを得る:定期的なフィードバックや他者の視点を取り入れ、強みを使う機会をつくる
  3. 環境を整える:強みを発揮しやすい環境と、苦手を補う仕組みをつくり、振り返りながら調整する

特性の凸凹の中から強みや才能を見つけ、仕事や生活に活かすこの考え方は、職場でのニューロダイバーシティ(脳や神経の多様性)を活かす取り組みでも用いられています。

強みを活かす3ステップ特性を理解するサポートを得る環境を整える
図:特性を強みに変える3つのステップ

ポジティブ心理療法とは?発達障害支援にどう役立つ?

ポジティブ心理療法(PPT)は、ポジティブ心理学の知見を心理的な支援に応用したアプローチです。次の3つの原則を大切にします。

  • バランスの原則:弱みだけでなく、強みにも注目する
  • 成長の原則:問題からの回復だけでなく、成長も支える
  • 個別性の原則:その人の特性に合わせて進める

主な取り組みは、強みの発見と活用、感謝の記録、よい体験の積み重ね、人間関係の質を高めること、意味のある目標設定などです。発達障害のある人への支援では、ポジティブな感情や意味に目を向けることで、従来の支援を補う可能性があると考えられています。

日常でできる3つの記録

  • 感謝日記:寝る前に、その日感謝したことを3つ、理由とあわせて書く
  • 強み活用日記:使った強み・状況・どう活かしたか・結果・感想を記録する
  • 成功の振り返りシート:週1回、「うまくいったこと」「活かせた強み」「感じた気持ち」「次の活かし方」を書く

発達障害のある人向けのコツ:メモや図など目に見えるツールを使う/具体的で明確な目標にする/決まった時間・場所で習慣にする/リマインダーを活用する。比べる相手は「過去の自分」だけにします。

具体例:職場・学校・家庭での強みを活かす関わり方

支援者や家族ができることは、気づきにくい強みに目を向け、具体的に伝え、強みを発揮できる環境と安全に挑戦できる場をつくることです。

職場

場面
ASDの特性がある社員が、雑談の多い会議で発言できず「自分は役に立っていない」と感じている。
関わり方
上司が1on1で、資料の数値チェックの正確さを具体的に伝え、チェック担当を任せる。会議の議題は事前に文書で共有する。
期待される変化
細部への注意力という強みを自覚でき、安心して力を発揮できる場面が増える。
教育

場面
ADHDの特性がある生徒が、授業中に席を立って注意されることが続き、自信をなくしている。
関わり方
教師が「行動力」「アイデアの多さ」を強みとして伝え、グループ活動の発表役や準備係など、動きながら貢献できる役割を任せる。
期待される変化
認められる経験が増え、「自分にもできることがある」と感じて授業への参加意欲が高まる。
子育て

場面
LDの特性がある子どもが、文字を書く宿題に時間がかかり「どうせできない」と口にする。
関わり方
親が絵や図でまとめる得意さに気づいて言葉にし、音声入力や図解ノートなど別の方法も試せるよう学校と相談する。週末に「今週うまくいったこと」を一緒に振り返る。
期待される変化
自分に合ったやり方を見つけて、小さな成功体験を重ねられる。自分を責める言葉が減っていく。

研究からわかること(やさしい解説)

発達障害支援にポジティブ心理学を取り入れる研究は、まだ発展の途中です。一般的な研究の知見とあわせて、控えめにまとめると次のとおりです。

取り組み 効果の目安 教訓 現場での活かし方
強みに気づき、活かす取り組み 効果:小〜中 強みを知るだけでなく、実際に使う機会があると効果が出やすい。 面談で強みを一つ言葉にし、「今週どこで使うか」を具体的に決める。
感謝やよい出来事を記録する 効果:小〜中 続けることで、前向きな出来事に目が向きやすくなる。 メモアプリや決まったノートなど、目に見える形で続けられる工夫をする。
環境調整と周囲の理解 効果:中 本人の努力だけでなく、環境を整えることで力を発揮しやすくなる。 職場や学校と、強みを活かせる役割と苦手を補う仕組みを一緒に話し合う。

効果の目安は、これまでの研究をまとめた結果をもとに「小・中・高」の3段階で表しています。効果には個人差があり、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。

書き込みワーク:わたしの強みを見つける

楽しかったことや、ほめられた経験から強みを探してみましょう。相手と対話するときは「コーチモード」に切り替えてください。

入力内容はこの端末のブラウザにだけ保存され、外部には送信されません。

特性を強みに変える関わり方を、講座で「できる」に

当協会が大切にしているのは、知るだけでなく「実際に実践できる専門家」を育てること。そして、技法の先にある、人としての関わり方=人間性のスキルを磨くことです。

特性を強みとしてとらえ直すには、相手の話を聴くだけでなく、強みに気づく質問や、具体的に伝えるフィードバックの練習が欠かせません。講座では、強みカードや対話練習を通して、本人の自己肯定感と意欲を支える関わり方を体験的に学びます。発達障害支援に特化した講座は、連携団体の一般社団法人コーチング心理学協会でも開催しています。

「知っている」を「できる」に講義を聞くだけでなく、ペアやグループで実際に話して練習します。通信教育だけでは身につきにくい「使える力」を育てます。
傾聴+質問・提案・フィードバック心理的安全性を土台に、聴く力に加えて、質問する・提案する・伝える力までをセットで磨きます。
ポジティブ心理学を対話に活かす一般的なカウンセリングではあまり扱わない、強み・ポジティブ感情・希望などを関わりに取り入れます。
仕事と人生にそのまま使える職場の1on1、教育、医療・福祉、子育てなど、日常の場面ですぐ試せる形で学びます。

国際的な知見を、日本の現場に合わせて

当協会は、国際ポジティブ心理学会などで世界の研究と実践を学び続け、その知見を日本の職場・学校・家庭に合うよう調整して届けています(アダプティブ・アプローチ)。海外の資格や手法は、日本人への適応が十分に考えられていないこともあります。当協会は、その人の文化や物語を大切にするナラティヴ・アプローチも重視しています。アダム・グラントの「才能の科学(Hidden Potential)」やエンゲージメントなど、新しい視点からの研究と実践にも取り組んでいます。講座は連携団体の一般社団法人コーチング心理学協会と共催しています。

落とさない・潰さない・あきらめさせない

「すべての人にカウンセリングやコーチングのマインドと技術を」という方針のもと、再受講制度やフォローアップで、途中でつまずいても再挑戦できる仕組みを整えています。

このテーマとつながる講座

日程・料金は各講座の公式ページが最新です。ポジティブ心理カウンセラー協会とコーチング心理学協会の協働認定「認定ポジティブ心理学コーチ&認定ウェルビーイングコーチ(Wライセンス)」もあり、国際的な視点・ポジティブ心理学・実用性を取り入れたい方におすすめです。

参加の流れ

講座を選ぶ講座・イベント一覧から、テーマと日程を確認します。
申し込む各講座ページの申込ボタンから手続きします。
オンラインで参加自宅や職場からZoomで参加。体験・対話中心で学びます。
現場で試す学んだ問いかけや関わり方を、翌日から実践します。
認定・継続認定資格の取得や、関連講座でさらに深めます。

よくある質問(FAQ)

発達障害とは簡単に言うと何ですか?
脳の働き方の発達に関わる生まれつきの特性です。主にADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)などがあります。本人の努力不足や育て方のせいではありません。
ポジティブ心理学は発達障害支援にどう役立ちますか?
困りごとへの対処に加えて、強みやよい体験、意味のある目標にも目を向ける視点を加えます。強みに気づく体験は、下がりやすい自己肯定感を支える助けになります。
発達障害の特性を「強み」と言ってしまってよいのですか?
困りごとを軽く見るという意味ではありません。必要な配慮や支援をしたうえで、同じ特性が場面によっては強みとして発揮されることに目を向ける、という考え方です。
ADHDの強みにはどんなものがありますか?
発想力・創造性、多方面への興味、行動力や決断の速さ、とっさの対応力などが挙げられます。どの強みが当てはまるかは人によって異なります。
ASDの強みにはどんなものがありますか?
細部への注意力、特定分野での深い専門性、誠実さ・正直さ、論理的に考える力などが挙げられます。
ポジティブ心理療法(PPT)とは何ですか?
ポジティブ心理学の知見を心理的な支援に応用したアプローチです。弱みだけでなく強みにも注目し、回復だけでなく成長も支えることを大切にします。
自分の強みはどうやって見つければよいですか?
楽しく取り組めたこと、ほめられた経験、努力せずにできることを書き出すのがおすすめです。自分では気づきにくい強みは、信頼できる人に聞いてみましょう。
家族や支援者は何をすればよいですか?
気づきにくい強みに目を向けて具体的に伝えること、強みを発揮できる環境を整えること、失敗しても大丈夫な安全な挑戦の場をつくることが大切です。
発達障害支援に役立つ資格・講座はありますか?
当協会のポジティブ心理カウンセラー®基本講座やストレングスカウンセラー®基本講座で、強みを引き出す対話を実践的に学べます。民間資格ですが、国家資格と組み合わせることで支援の幅が広がります。
講座はオンラインで受けられますか?
はい。Zoomを使ったオンライン講座が中心です。ペアやグループでの対話練習を通して、学んだ関わり方を現場で使えるようにします。
つらさが続くときはどうすればよいですか?
気分の落ち込みや強い不安、生活の困りごとが続くときは、一人で抱え込まず、医師や公認心理師、発達障害者支援センターなどの専門家・相談窓口に相談してください。

読んで終わりにせず、「できる」に変えてみませんか。
対話と体験で学ぶ、ポジティブ心理学のカウンセリング講座です。

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特性を強みに変える心理的アプローチ

コンテンツ一覧

発達障害とは

発達障害は脳機能の発達に関わる障害であり、生まれつきの特性です。主な種類には次のようなものがあります:

ADHD(注意欠如・多動症)

  • 注意の持続が難しい
  • 落ち着きがない、衝動性がある
  • 計画的に行動することが難しい

ASD(自閉スペクトラム症)

  • 社会的コミュニケーションの困難さ
  • こだわりが強い、変化に弱い
  • 感覚過敏・鈍麻がある

LD(学習障害)

  • 読む、書く、計算する能力の困難さ
  • 知的能力に問題はない
  • 特定の学習領域に限定される

重要なポイント: 発達障害は「障害」というより「特性」と捉えることで、その個性や強みを生かすことができます。

ポジティブ心理学とは

従来の心理学との違い

従来の心理学

精神疾患や問題行動の解消に焦点

  • 不調や問題の「修復」
  • 「ネガティブ」から「普通」へ
  • 欠点や弱点への対処

ポジティブ心理学の視点

ポジティブ心理学

最適な機能や幸福感の向上に焦点

  • 強みや資質の「育成」
  • 「普通」から「最適」へ
  • 長所や強みへの注目

「ポジティブ心理学は、人や集団、組織が最適に機能し、繁栄に至る条件や過程を明らかにする学問」– マーティン・セリグマン(ポジティブ心理学の提唱者)

PERMAモデル詳細 PERMAモデル:幸福の5つの要素

P

Positive Emotion(ポジティブ感情)

喜び、感謝、愛、希望、楽しさなどの肯定的感情を体験すること

実践例

  • 日々の感謝を意識して記録する
  • 小さな喜びに気づく習慣をつける
  • 肯定的なフィードバックを認識する
E

Engagement(没頭・エンゲージメント)

活動に完全に没頭し、時間を忘れる「フロー状態」を体験すること

実践例

  • 好きなことや得意なことに集中する時間をつくる
  • 新しい趣味や技術にチャレンジする
  • 自分が没頭できる活動を見つける

PERMAモデル詳細②

R

Relationships(良好な人間関係)

支え合い、認め合える人間関係を構築・維持すること

実践例

  • 信頼できる関係づくりを意識する
  • コミュニケーションを大切にする
  • 自分を理解してくれる人とつながる
M

Meaning(人生の意味・意義)

自分の人生に意味や目的を見出し、より大きな何かに貢献すること

実践例

  • 自分の価値観を明確にする
  • 自分にとって重要なことに時間を使う
  • 他者の役に立つ活動に参加する
A

Accomplishment(達成感)

目標を設定して達成する、成長を実感すること

実践例

  • 小さな目標から始めて達成を積み重ねる
  • 自分の成長を振り返る習慣をつける
  • 自分の達成を認め、祝う

発達障害と自己肯定感

自己肯定感が低くなりやすい理由

環境要因

  • 失敗体験の蓄積
  • 否定的なフィードバックの記憶
  • 周囲の理解不足による摩擦
  • 「普通」の基準に合わせるプレッシャー

認知的要因

  • 強みよりも弱みに注目しやすい
  • 強みの基準が高すぎる
  • 自分の特性を「欠陥」と捉えてしまう
  • 否定的な事象に焦点が向きやすい

重要なポイント: 発達障害者は「強み育成体験」や「強みを認識するサポート」が不足していることが多く、これが自己決定力の低下にもつながっています。

ポジティブ心理療法の基本

ポジティブ心理療法(PPT)は、ポジティブ心理学の知見を臨床に応用した心理療法です。

3つの基本原則

  • バランスの原則:弱みだけでなく強みにも注目
  • 成長の原則:問題からの回復だけでなく成長も促進
  • 特異性の原則:個人の特性に合わせたアプローチ

主なアプローチ

  • 強みの発見と活用
  • 感謝の記録
  • ポジティブな体験の蓄積
  • 対人関係の質の向上
  • 意味のある目標設定

ポジティブ心理療法は、発達障害を持つ個人に対する治療において、ポジティブな感情や意味を強調することで、従来の治療法を補完する可能性を示しています。

発達障害の特性を「強み」としてとらえる

ADHD

困難さ

  • 注意散漫
  • 落ち着きがない
  • 衝動性

強みに変換

  • 創造性・発想力
  • 多方面への興味
  • 行動力・決断の速さ
  • 危機対応能力

ASD

困難さ

  • 社会的コミュニケーション
  • 変化への適応
  • こだわりの強さ

強みに変換

  • 詳細への注意力
  • 特定分野での専門性
  • 誠実さ・正直さ
  • 論理的思考力

LD

困難さ

  • 読み書き計算の困難
  • 情報処理の偏り
  • 学習方法の限定

強みに変換

  • 視覚的思考力
  • 創造的問題解決
  • 適応力・代替方法の開発
  • 直感力

「障害」ではなく「特性」として捉えることで、その個性や才能を生かす道が開けます。

「強み」に焦点を当てるアプローチ

強みベースの神経多様性モデル(SBMN)

特性の凸凹の中から強みや才能を見つけ出し、それを仕事や日常生活に活かすアプローチです。

ステップ1:特性を理解する

  • 自己の特性を客観的に観察
  • 強みと弱みを整理する
  • 特性の「凸」部分に注目

ステップ2:サポートを得る

  • 定期的なフィードバック
  • 他者からの視点を取り入れる
  • 強みを活かす機会をつくる

ステップ3:環境を調整する

  • 強みを発揮しやすい環境づくり
  • 弱みをサポートする仕組み
  • 継続的な振り返りと調整

成功事例: ドイツSAPでは、このアプローチを応用し、神経発達症の社員1000人超が多様な職種で活躍しています。各自の特性を理解した上で、その特性に合う仕事を探し、適切な環境調整を行うことで実現しました。

実践法①:自分の強みを見つける

強み探しワーク

  1. 過去に楽しく取り組めたことを思い出す
  2. 他者から褒められた経験を書き出す
  3. エネルギーが湧いてくる活動を特定する
  4. 「得意」と「好き」を区別して考える
  5. 努力せずにできることに注目する

強みの多角的評価

次のカテゴリーで考えてみましょう:

  • 思考面の強み(論理的思考、創造力など)
  • 感情面の強み(共感力、感受性など)
  • 行動面の強み(行動力、持続力など)
  • 対人面の強み(誠実さ、協調性など)
  • 専門面の強み(特定分野の知識・技能)

ポイント: 自分で気づきにくい強みは、信頼できる人に聞いてみましょう。普段当たり前と思っていることが、実は大きな強みかもしれません。

実践法②:日常生活で強みを活かす

具体的なエクササイズ

1強みを活かす行動計画

自分の強みを活かす具体的な行動を計画し、実践します。

例:「細部への注意力」を強みとする場合

  • 仕事:書類のチェック担当を買って出る
  • 家庭:家族の誕生日プレゼントを細やかに選ぶ
  • 趣味:細密画や模型製作に挑戦する

2強みを新しい方法で使う

毎日違う方法で自分の強みを使ってみましょう。

例:「創造力」を強みとする場合

  • 月曜:仕事の問題に創造的な解決策を提案する
  • 火曜:料理で新しいアレンジを試す
  • 水曜:子どもと創造的な遊びを考える
  • 木曜:部屋の模様替えを創造的に行う
  • 金曜:趣味の活動で新しいアイデアを試す

ポイント: 無理せず、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。成功したら自分を認め、褒めることを忘れずに。

実践法③:ポジティブな体験の記録

感謝日記

毎日寝る前に、その日感謝したことを3つ書き出します。

記録のポイント:

  1. 具体的に書く(何に、誰に、どんなことで感謝したか)
  2. なぜそれに感謝するのか理由も書く
  3. 小さなことでも良い(美味しいお茶が飲めたなど)

強み活用日記

自分の強みを使った体験と、その結果を記録します。

記録の例:

  • 使った強み: 集中力と詳細への注意
  • 状況: プロジェクトの資料作成
  • どう活かした: 細かな数値を正確にチェック
  • 結果: ミスを発見でき、上司に感謝された
  • 感想: 自分の強みが役立ち嬉しかった

成功の振り返りシート

週に1回、小さな成功体験を振り返り記録します。

  1. 今週うまくいったことは何か?
  2. そこでは自分のどんな強みを活かせたか?
  3. それによってどんな感情を感じたか?
  4. 次も同じ強みをどう活かせそうか?

実践のポイントとコツ

発達障害の方向けのコツ

  • 視覚的なツールを活用する(メモ、図表など)
  • 具体的で明確な目標を設定する
  • 日課にして習慣化する
  • 環境を整える(静かな場所、決まった時間)
  • リマインダーを活用する

自己肯定感を高めるポイント

  • 比較は自分の過去の自分とのみ行う
  • 小さな進歩も認め、祝う
  • 完璧を求めず、プロセスを大切にする
  • 失敗は学びの機会と捉える
  • 自己批判ではなく自己思いやりを持つ

支援者・家族の方へ

  • 強みを見つける手助けをする(気づきにくい強みに目を向ける)
  • ポジティブなフィードバックを具体的に伝える
  • 強みを発揮できる環境を整える
  • 安全な挑戦の場を提供する

まとめ:継続のための工夫

ポイントの振り返り

  • 発達障害は「障害」ではなく「特性」として捉える
  • PERMAモデルの5要素をバランスよく育む
  • 自分の強みを見つけ、活かす習慣をつける
  • ポジティブな体験を意識的に記録する
  • 小さな成功体験を積み重ねる

継続のためのヒント

  • 仲間と一緒に取り組む
  • 習慣化するための仕組みをつくる
  • 自分なりのご褒美システムを設ける
  • 進捗を可視化する
  • 失敗しても再起動できる計画にする

参考資料・リソース

  • 『ポジティブ心理学入門』マーティン・セリグマン著
  • 『発達障害の強みを活かす』トーマス・アームストロング著
  • 一般社団法人 ポジティブ心理カウンセラー協会
  • 一般社団法人コーチング心理学協会

「強み」に焦点を当て、ポジティブな体験を積み重ねることで、

発達障害の特性を個性として受け入れ、人生をより豊かにすることができます。

 

投稿者プロフィール

一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会事務局
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会事務局一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
逆境や困難の中でも「希望」と「可能性」を見出し、自分らしく前向きに生きる人を育む、肯定的な心理学の専門機関。

公式ページ
https://www.positive-counselor.org/

イベント
https://www.positive-counselor.org/event/

協会概要
2013年に任意団体として設立され、2018年に一般社団法人化。ポジティブ心理学、コーチング心理学などを基盤に、個人や組織の成長、ウェルビーイング(幸福)の向上を目指す非営利団体です。諸外国の最先端の研究を取り入れつつ、日本人らしい「謙遜さ」や「誠実さ」といった価値観も尊重した、日本人に合ったプログラムを提供しています。

ミッションとビジョン
ミッション: 肯定的な心理学を活用した対人支援、社会支援、セルフケア、自己成長の普及。

ビジョン: 精神的な困難を未然に防ぎ、問題が生じても前向きに行動できる人材、そして周囲を「勇気づけ」できる人材を育成することで、より希望に満ちた社会を創造する。

実践的なワークショップ:

カードゲームや心理テストなど、体験・実践を重視した形式で、楽しく学べる場を提供。

「強み(ストレングス)」「レジリエンス(逆境力)」など、具体的なテーマに基づいた講座を多数開催。

学校、企業、福祉・看護など、様々な現場のニーズに合わせた研修プログラムを企画・開発・提供。

出版・普及活動、外部機関講演実績

特徴
実践重視のプログラム: 理論だけでなく、カードゲームなどを活用した体験型ワークショップが多く、すぐに実践できるスキルが身につくと評判です。

多様な心理学の統合: ポジティブ心理学を中心に、コーチング心理学やアドラー心理学、認知行動療法など、幅広い理論を統合した多角的なアプローチを学べます。

受講者の声(評判)
口コミでは、「実践的なワークが多く、思考が前向きに変わった」「日常生活にすぐ役立てられた」といった肯定的な評価が多数寄せられており、受講者の満足度は非常に高いです。特に、初心者でも学びやすい内容と、学習を通じて得られるポジティブな影響が好評を得ています。

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