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ポジティブ心理学の歴史と物語一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会
SPECIAL FEATURE — HISTORY & NARRATIVE

ポジティブ心理学の
歴史と物語

人は、どうすればよりよく生きられるのか?
1998年、心理学に新しい潮流が生まれた。「心の問題を治す」だけの心理学から、「人生をよりよく生きる」ための心理学へ。その転換の物語は、海を越えて日本にたどり着き、2013年、一つの協会の誕生につながった。これは、人間の可能性をめぐる、いまも続く物語である。
ポジティブ心理学とは歴史セリグマン1998年PERMA強みウェルビーイングポジティブ心理学2.0レジリエンス日本での展開ポジティブ心理カウンセラーEvidence × Narrative
ONE-SENTENCE ANSWER

ポジティブ心理学とは、1998年にマーティン・セリグマンが提唱した、人間の強み・幸福・ウェルビーイング(持続的な幸せ)を科学的に研究する心理学の領域です。「ポジティブ思考」とは異なり、ネガティブな感情や経験を否定せず、エビデンス(科学的根拠)にもとづいて「人がよりよく機能する条件」を探究します。日本では一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会(2013年設立・2018年法人化)などが、カウンセリング・コーチングへの応用と普及に取り組んでいます。

3分でわかる、この物語の要点

先に全体像を知りたい方へ。このページで語られる歴史の要点を8枚にまとめました。

1998

ポジティブ心理学の誕生

セリグマンがAPA(アメリカ心理学会)会長として提唱。「不調の軽減」だけでなく「ウェルビーイングの構築」へ。

前史

突然生まれたのではない

ジェームズ、マズロー、ロジャース、フランクル、チクセントミハイ——人間の可能性を見つめた先駆者たちがいた。

誤解

「いつも前向き」ではない

ポジティブ思考とポジティブ心理学は別物。ネガティブな感情も否定せず、科学的に扱う。

2.0

苦しみにも意味を

2010年代、意味・レジリエンス・心的外傷後成長を統合する「ポジティブ心理学2.0」へ発展。

日本

日本の文化に合わせて

謙遜・誠実といった日本人の文化的特徴を考慮した実践へ。輸入ではなく「翻訳」の物語。

2013

協会の誕生

日本ポジティブ心理カウンセラー協会設立。2018年に一般社団法人化。心理学×カウンセリング×コーチングの統合へ。

物語

Evidence × Narrative

科学的エビデンスと、一人ひとりの人生の物語(ナラティブ)。その両方を大切にする心理支援へ。

未来

AI時代の心理支援へ

『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』が示す、揺らぐ世界で何度でも立ち直る力。物語は続いていく。

この特集は、5つの問いでできています

単なる年表ではありません。ポジティブ心理学の歴史そのものが、「人間の可能性」をめぐる一つの物語です。あなた自身を主人公として読み進めてください。

STORY
01

人は、なぜ苦しむのか?

20世紀の心理学は、うつ・不安・トラウマ——「人間の苦しみ」の理解と治療に大きな成果をあげた。しかし、そこにはひとつの偏りがあった。

STORY
02

人は、どうすればよりよく生きられるのか?

「マイナスをゼロに戻す」だけでは、人は幸せにならない。1998年、セリグマンはこの問いを心理学の中心に据え直した。

STORY
03

人の強み・幸福・意味・可能性を、科学できないか?

幸福、強み、フロー、レジリエンス、そして意味。曖昧に語られてきたものを、測定し、検証し、育てる方法が研究され始めた。

STORY
04

その心理学を、日本のカウンセリングに活かせないか?

海外で発展した心理学を、そのまま持ち込むだけでよいのか。日本の文化に根ざした実践を目指して、2013年、一つの協会が生まれた。

STORY
05

一人ひとりの人生の物語に、寄り添えないか?

人の人生は、数字だけでは語れない。科学的エビデンスと人生の物語(ナラティブ)の両方を大切にする心理支援——それが、この物語の現在地。

CHAPTER 01

ポジティブ心理学は、なぜ生まれたのか?

物語は、一人の心理学者の「違和感」から始まります。

「人間の問題」だけを研究してきた心理学

第二次世界大戦後、心理学は「心の病理をどう治すか」という課題に力を注ぎました。うつ、不安、トラウマ——その研究は大きな成果をあげ、多くの精神疾患が治療可能になりました。これは心理学の偉大な功績です。

しかし、そこには偏りがありました。「マイナスをゼロに戻す」研究は進んだ一方で、「人はどうすれば幸せに、いきいきと生きられるのか」——ゼロからプラスへ向かう研究は、長いあいだ後回しにされてきたのです。悩みが消えることと、人生が充実することは、同じではありません。

1998年——マーティン・セリグマンの提唱

マーティン・セリグマン博士のイラスト

転機は1998年。ペンシルベニア大学教授のマーティン・E・P・セリグマン博士が、APA(アメリカ心理学会)会長として「ポジティブ心理学(Positive Psychology)」を提唱しました。もともと「学習性無力感」の研究で知られた、うつ研究の第一人者が、心理学の向かう先を大きく転換させたのです。

セリグマン自身も後年、心理学は「不調の軽減」だけでなく「ウェルビーイング(持続的な幸せ)の構築」に向かう必要がある、と繰り返し述べています。2000年にはチクセントミハイとの共同論文が学術誌の特集を飾り、新しい研究領域として世界に広がり始めました。セリグマンの60年の歩みは関連記事「セリグマンとは」で詳しく解説しています。

ポジティブ心理学は「病理の心理学」を否定するためではなく、心理学がもともと持っていた「人間の可能性の研究」という使命を取り戻すために生まれた。

CHAPTER 02

ポジティブ心理学「以前」の物語

1998年に突然生まれたわけではありません。「人間の可能性」を見つめた先駆者たちの系譜がありました。ポジティブ心理学は、この流れの上に立っています。

1900年代初頭ウィリアム・ジェームズWilliam James

米国心理学の父。宗教的経験と「健全な心」の研究を通じ、人間の前向きな心の働きにいち早く注目した。

1940年代〜ヴィクトール・フランクルViktor E. Frankl

強制収容所の体験から「それでも人生にイエスと言う」を著す。苦難の中の「意味」の研究は、後のPP2.0の源流に。

1950年代〜アブラハム・マズローAbraham Maslow

欲求階層説と自己実現(Self-actualization)の提唱者。著書の中で「ポジティブ心理学」という言葉をすでに用いていた。

1950〜60年代カール・ロジャースCarl Rogers

来談者中心療法の創始者。人間には成長へ向かう力が備わっているとする「十分に機能する人間」像を描いた。

1970年代〜ミハイ・チクセントミハイMihaly Csikszentmihalyi

没頭の心理状態「フロー」を発見。2000年にはセリグマンとともにポジティブ心理学の創設を宣言する論文を発表。

1990〜2000年代クリストファー・ピーターソンChristopher Peterson

セリグマンとともに24の「人格の強み(Character Strengths)」を体系化。「他者は大切である(Other people matter)」の言葉を残した。

マズローらの人間性心理学(Humanistic Psychology)は「人間の成長力」を信じましたが、当時は測定・検証の方法が十分ではありませんでした。ポジティブ心理学の新しさは、この人間観を科学の方法(測定・実験・追試)で研究し直した点にあります。この前史は、関連記事「ポジティブ心理学の前史」「マズローとポジティブ心理学」「ロジャースとポジティブ心理学」で詳しく解説しています。

「人間の可能性を信じる心理学」は100年前からあった。ポジティブ心理学は、それを科学のことばで語り直した——それが1998年の本当の意味。

CHAPTER 03

ポジティブ心理学 年表
——人間の可能性をめぐる物語

各時代をクリック(タップ)すると、人物・出来事・キーワードが開きます。

〜1950年代前史 I病理と問題の理解心理学は「苦しみ」に向き合った

精神分析、行動主義、そして戦後の臨床心理学。心理学は精神疾患の理解と治療に大きく貢献した。一方で、研究の関心は「うまくいかない心」に集中し、「うまくいっている心」はほとんど研究されなかった。フランクルは強制収容所の体験から、極限の苦しみの中でも人は意味を見いだせることを示した。

精神分析行動主義臨床心理学フランクル意味への意志
1950〜70年代前史 II人間性心理学の時代マズロー・ロジャースの人間観

マズローの自己実現、ロジャースの来談者中心療法。「人間には本来、成長に向かう力がある」という人間観が広がる。マズローは著書『動機づけと人格』の最終章で、すでに「ポジティブ心理学」という言葉を用いていた。ただし当時は、その主張を科学的に検証する方法が十分ではなかった。

人間性心理学自己実現来談者中心療法成長仮説
1970〜90年代助走幸福・フロー・楽観性の研究科学的な「よい心」研究の芽生え

チクセントミハイが「フロー(没頭)」を発見。ディーナーらが主観的幸福感(Subjective Well-being)の測定研究を開始。セリグマンは「学習性無力感」の研究から、やがて「学習性楽観主義」へと関心を転じていく。ポジティブ心理学の部品が、それぞれの場所で静かに準備されていた時代。

フロー主観的幸福感学習性無力感学習性楽観主義
1998年誕生ポジティブ心理学の提唱セリグマン、APA会長として宣言

セリグマンがAPA会長就任を機に、「心理学は病理の治療だけでなく、人間の強みと美徳の研究にも取り組むべきだ」と提唱。2000年、セリグマン&チクセントミハイの論文が学術誌『American Psychologist』の特集として掲載され、ポジティブ心理学が正式に立ち上がる。

APA会長講演1998年セリグマンチクセントミハイ強みと美徳
2000年代拡大幸福・強み・ポジティブ介入研究が世界に広がる

2004年、ピーターソン&セリグマンが24の人格の強み(VIA)を体系化。感謝・強み活用などの「ポジティブ介入」の効果検証が進む。2007年には国際ポジティブ心理学会(IPPA)が設立され、2009年の第1回世界大会には50カ国以上から1,500人以上が参加した。

VIA 24の強みポジティブ介入IPPA設立感謝の研究
2010年代深化PERMA・ウェルビーイング・応用幸福から「持続的な幸せ」へ

2011年、セリグマンが『Flourish』でPERMAモデルを発表。「一時的な幸福感」から「持続的なウェルビーイング」へ研究の焦点が移る。教育(ポジティブ教育)、職場、医療、コーチングへの応用が本格化。日本でも2013年、ポジティブ心理カウンセラー協会の前身が設立される。

PERMAFlourishポジティブ教育職場のウェルビーイング2013年 協会設立
2020年代成熟意味・苦難・PP2.0/3.0「ポジティブだけではない」への進化

ウォンらが提唱した「ポジティブ心理学2.0(セカンドウェーブ)」が広がり、苦しみ・逆境・意味・レジリエンス・心的外傷後成長を統合的に扱うようになる。さらに個人を超えて組織・社会・地球規模のウェルビーイングを視野に入れる「3.0」の議論も始まる。2026年、セリグマンらの『Tomorrowmind』日本語版『これからの生き方』が刊行。

PP2.0意味レジリエンス心的外傷後成長MatteringPP3.0
これから未来統合的・個別化された心理支援へEvidence × Narrative の時代

カウンセリング・コーチング・キャリア支援・教育・組織開発・AIとの協働——ポジティブ心理学は領域を横断する「統合的ポジティブ心理支援」へ。科学的エビデンスと一人ひとりの人生の物語(ナラティブ)の両方を扱える専門家が求められている。

統合的心理支援ナラティブAI時代の心理職ウェルビーイング教育

この年表は「幸福の研究史」ではなく、心理学が「人間の苦しみ」と「人間の可能性」の両方を扱えるようになるまでの、視点の転換の物語である。

年表を深掘りする——関連記事

ポジティブ心理学の前史 →

ジェームズ、フランクル、ヤホダ、人間性心理学。1998年より前に「人間の可能性」を見つめた心理学者たちの系譜。

マズローとポジティブ心理学 →

「ポジティブ心理学」を最初に語ったのはマズローだった。欲求階層説の本当の意味と、自己超越への道。

フランクルとポジティブ心理学 →

『夜と霧』から意味の心理学へ。創造価値・体験価値・態度価値と、PP2.0への継承。

セリグマンとは →

「無力感」の研究者は、なぜ「幸福の科学」を創ったのか。60年の歩みを一本の線で。

フロー理論とは →

時間を忘れるほどの没頭を科学する。フローが生まれる3条件と日常への活かし方。

PERMAとは →

ウェルビーイングを構成する5つの要素。内容・育て方・幸福感との違いを解説。

ポジティブ心理学2.0とは →

幸せの科学が「苦しみ」を取り戻すまで。ウォンの人生の二重性と、1.0との違いを歴史の文脈で。

ロジャースとポジティブ心理学 →

傾聴の創始者から強み支援への系譜。実現傾向・3つの態度条件・十分に機能する人間。

VIA・24の強みとは →

「逆DSM」が与えた強みの語彙。6つの美徳・無料診断・活用研究と使いすぎの注意点。

ウェルビーイングとは →

WHO憲章から二つの系譜、PERMAへ。「良い状態」の80年史を一気にたどる。

レジリエンスとは →

カウアイ島の40年研究から「ありふれた魔法」へ。立ち直る力の科学と育て方。

『これからの生き方』特集 →

Tomorrowmind日本語版。セリグマン最新刊のPRISMモデルと読みどころを一気に。

『ポジティブ大全』特集 →

弱さを強みに変える技術。30の強み心理テストと11領域の統合知の読みどころ。

CHAPTER 04

幸福・強み・PERMAへの発展

誕生後のポジティブ心理学は、「幸せ」という曖昧なものを、育てられる要素に分解していきました。

PERMA——ウェルビーイングの5つの柱

セリグマンが2011年に提唱したPERMAモデルは、持続的なウェルビーイング(Flourishing/持続的な幸せ)を構成する5つの要素を示しています。詳しくは関連記事「PERMAとは」「フロー理論とは」をご覧ください。

P

ポジティブ感情

喜び・感謝・感動・安らぎ。人生の土台となる肯定的な感情体験。

E

エンゲージメント

時間を忘れるほどの没頭(フロー)。強みを活かすときに生まれやすい。

R

関係性

良好な人間関係。「他者は大切である」——ピーターソンの言葉が示す中核。

M

意味・目的

自分より大きな何かとのつながり。人生の意義の感覚。

A

達成

何かを成し遂げること。有能感と成長の実感。

+ 24の強み(VIA)

PERMAを支えるのが、好奇心・勇気・親切心など24の「人格の強み」。自分の強みを知り活かすことが、ウェルビーイングの近道になる(関連記事「VIA・24の強みとは」「ウェルビーイングとは」)。

「幸せになろう」ではなく「幸せを構成する要素を一つずつ育てよう」。measurable(測れる)でbuildable(育てられる)——それがポジティブ心理学の方法論。

CHAPTER 05

「ポジティブ思考」と「ポジティブ心理学」は
同じではありません

これは、この分野で最も多い誤解です。ポジティブ心理学は「いつも前向きでいよう」という精神論ではありません。

ポジティブ思考(ポジティブシンキング)

  • 「良いことを考えよう」という心がけ・精神論
  • 悪いこと・不安を「考えないように」する
  • 気持ちを明るくすることが目的
  • 科学的な検証を前提としない
  • 無理に続けると、かえって苦しくなることも

ポジティブ心理学

  • 「人がよりよく機能する条件」の科学的研究
  • ネガティブな感情・経験も否定せずに扱う
  • ウェルビーイング(持続的な幸せ)の構築が目的
  • 測定・実験・追試などエビデンスを重視
  • 苦しみや逆境の「意味」も研究対象にする

ポジティブ心理学は、ネガティブを否定する心理学ではありません。ネガティブな感情は誰にでもあり、危険を知らせ、行動を促す大切な役割を持っています。当協会も「ネガティブとポジティブの両方を認め、活用する」ことを一貫して大切にしてきました。ネガティブな感情が生じた理由を探求し、そのうえで自分の強みを活かす——それがポジティブ心理学の実践です。

理解度チェック——○×クイズ(基礎・中級・上級 全15問)

○か×を選ぶと解説がひらきます。各レベル5問。基礎から順に挑戦してみてください。

基礎編——よくある誤解(5問)

Q1. ポジティブ心理学とは、「いつも前向きに考えよう」と勧める心理学である。
正解は ×。ポジティブ心理学は精神論ではなく、人間の強み・幸福・ウェルビーイングを科学的に研究する学問領域です。「前向きに考えよう」という心がけ(ポジティブ思考)とは区別されます。
Q2. ポジティブ心理学は、ネガティブな感情を否定し、なくすことを目指す。
正解は ×。ネガティブな感情には危険を知らせるなどの大切な役割があります。ポジティブ心理学(特に2.0)は、苦しみや逆境も成長と意味の源泉として扱います。
Q3. ポジティブ心理学は、1998年にセリグマンがAPA会長として提唱したことが大きな転機となった。
正解は ○。1998年のセリグマンのAPA会長としての提唱が起点です。ただしマズローやロジャースら「前史」の系譜の上に成り立っています。
Q4. 「幸福を熱心に追い求めるほど幸せになれる」ことが研究で確かめられている。
正解は ×。むしろ「幸福の追求そのもの」に執着するほど不幸になりやすいという逆説が報告されています。だからこそPP2.0では、幸福の直接追求より「意味」や「強みの活用」が重視されます。
Q5. PERMAの「R」は、リラックス(Relax)を意味する。
正解は ×。Rは「関係性(Relationships)」。良好な人間関係はウェルビーイングの最も強力な予測因子のひとつです。

中級編——理論と人物(5問)

Q6. 24の「人格の強み(VIA)」は、ピーターソンとセリグマンが2004年に体系化した。
正解は ○。『Character Strengths and Virtues』(2004年)で、24の強みが6つの美徳領域に整理されました。「逆DSM」とも呼ばれます(詳しくはVIA・24の強みとは)。
Q7. フローは「挑戦が自分の能力を大きく上回っている」ときに最も生じやすい。
正解は ×。挑戦が能力を大きく上回ると不安になります。フローは挑戦と能力が高い水準で釣り合うときに生じやすくなります(詳しくはフロー理論とは)。
Q8. 「ポジティブ心理学」という言葉を最初に使ったのはセリグマンである。
正解は ×。最初に用いたのはマズローで、1954年の著書『動機づけと人格』の最終章の表題でした。セリグマンの提唱は44年後の1998年です(詳しくはマズローとポジティブ心理学)。
Q9. レジリエンスが高い人は、逆境でもそもそも落ち込まない。
正解は ×。落ち込みは正常な反応です。レジリエンスは「落ち込まないこと」ではなく「揺れながら回復していく過程」を指します(詳しくはレジリエンスとは)。
Q10. ウェルビーイングの研究には「感じる幸せ」を測る系譜と「意味ある生」を捉える系譜の二つがある。
正解は ○。ヘドニック(主観的幸福感)とユーダイモニック(意味・成長)の二つの系譜があり、PERMAは両者を統合した実践的モデルです(詳しくはウェルビーイングとは)。

上級編——歴史と最新(5問)

Q11. ポジティブ心理学2.0(セカンドウェーブ)の提唱者として知られるのはポール・T・P・ウォンである。
正解は ○。ウォンは2011年の論文で、フランクルの意味の心理学を継承した「バランス統合モデル」としてPP2.0を提唱しました(詳しくはポジティブ心理学2.0とは)。
Q12. 「学習性無力感」の発見者と、ポジティブ心理学の提唱者は別の人物である。
正解は ×。どちらもマーティン・セリグマンです。うつ研究の第一人者が、自らの研究を反転させてポジティブ心理学を創設しました(詳しくはセリグマンとは)。
Q13. マズローの有名な「欲求のピラミッドの図」は、マズロー自身が著書に描いたものである。
正解は ×。ピラミッド図はマズロー本人の図ではなく、後年に経営学の教科書などを通じて広まったものです。マズロー自身は複数の欲求が同時に働くことを認めていました。
Q14. WHO憲章(1946年)は、健康を「病気でないこと」と定義している。
正解は ×。WHO憲章は健康を「病気でないことではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態(well-being)」と定義しています。ウェルビーイング概念の国際的な起点です。
Q15. 『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』のPRISMモデルの「P」は、ポジティブ感情を指す。
正解は ×。PRISMのPは未来予想力(Prospection)です。ポジティブ感情のPはPERMAのP。2つのモデルの区別は上級者の証です(詳しくは『これからの生き方』特集)。

「ポジティブ=楽観」ではない。ポジティブ心理学は、ネガティブもポジティブも人生の一部として扱う、バランスの科学である。

CHAPTER 06

ポジティブ心理学2.0へ
——幸せになるだけではない。苦しみや逆境にも意味を見いだす心理学へ

2010年代、ポジティブ心理学は自らを問い直しました。「ポジティブな面だけを見ていて、本当に人の役に立てるのか?」と。

第一世代(PP1.0)から第二世代(PP2.0)へ

初期のポジティブ心理学(PP1.0)は、感謝日記や強み発見など「肯定的な側面を増やす」実践を中心に発展しました。しかし、幸福を熱心に追い求める人ほどかえって不幸になりやすいという「幸福追求の逆説」など、限界も見えてきました。

そこでポール・T・P・ウォンらが提唱したのが「ポジティブ心理学2.0(セカンドウェーブ)」です。その中心概念は人生の二重性——喜びと苦悩、希望と絶望は切り離せない両面であり、ネガティブな経験こそが学びと成長を可能にする、という考え方です。「苦しみは人間であることの代償であり、成長の入口でもある」。フランクルが強制収容所で見いだした「意味への意志」の系譜が、ここで本流に合流しました(関連記事「フランクルとポジティブ心理学」)。

Meaning
意味

つらい経験にも意味を見いだす力。ウェルビーイングの中核要素。

Resilience
レジリエンス

逆境から立ち直る心の力。生まれつきではなく、育てられる(解説記事)。

Post-traumatic Growth
心的外傷後成長

深い苦しみの後に人が成長しうるという研究知見。

Hope
希望

目標への道筋と、進む力の感覚。未来を描く心理的資源。

Mattering
重要感

「自分は誰かにとって大切な存在だ」という感覚。

Prospection
未来予期

未来を想像し、そこから現在の行動を導く人間の能力。

Flourishing
持続的幸福

一時的な快ではなく、人生全体がいきいきと機能している状態。

PP3.0
第三世代へ

個人を超え、組織・社会・地球のウェルビーイングの調和へ広がる最新の議論。

この転換の物語は関連記事「ポジティブ心理学2.0とは」で詳しく解説しています。体系的には当協会のポジティブ心理学2.0入門ガイドポジティブ心理学3.0入門ガイドをご覧ください。

PP2.0は「ポジティブの否定」ではなく成熟。ネガティブもポジティブも人生の物語の一部として統合したとき、ポジティブ心理学はカウンセリングと本当に出会えるようになった。

CHAPTER 07

日本で生まれた、一つの物語

ここから物語の舞台は日本に移ります。問いはこうでした——海外で発展した心理学を、そのまま日本に持ち込むだけでよいのだろうか?

「輸入」ではなく「翻訳」を

ポジティブ心理学の研究の多くは欧米で生まれました。しかし日本には、自分を控えめに語る謙遜の文化、誠実さや和を重んじる価値観、ネガティブな側面に注意が向きやすい心の傾向など、独自の文化的特徴があります。「あなたの強みを堂々と語りましょう」という欧米流の実践が、日本ではかえって心理的な抵抗を生むこともあります。

だからこそ必要だったのは、研究知見をそのまま運ぶ「輸入」ではなく、日本の文化と一人ひとりの生活に合わせて実践の形をつくり直す「翻訳」でした。当協会は設立当初から、日本人の謙遜・誠実といった文化的特徴を考慮したプログラムづくりを目指してきました。ネガティブ思考を持ちがちな日本人が、ネガティブを否定せずにポジティブ心理学を活かす——その方法を探ることが、日本での実践の出発点だったのです。

日本のポジティブ心理学実践は「欧米の真似」ではなく、日本の文化でこそ機能する形への翻訳の歴史である。

CHAPTER 08

ポジティブ心理カウンセラー協会の誕生

2013年1月、日本ポジティブ心理カウンセラー協会が任意団体として設立されました。そして5年の実践を経て、2018年5月、一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会へ。

協会のあゆみ
2013年1月日本ポジティブ心理カウンセラー協会を設立(任意団体)。ポジティブ心理学を「学ぶ」だけでなく「対話で人を支える力」に変える講座づくりを開始。
2013〜2018年ポジティブ心理カウンセラー®をはじめとする認定資格講座を整備。カウンセリング・コーチング心理学・ポジティブ心理療法の統合を進める。
2018年5月一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会として法人化。東京(浜松町)を拠点に、教育・医療・福祉・企業へ活動を拡大。
現在「ポジティブ心理カウンセラー®」(商標登録 第5879620号)「ポジティブ心理療法士®」(商標登録 第6266686号)など複数の認定資格を運営。海外研究者との共同研究、書籍の監訳・出版、法人研修などを展開。

なぜ、この協会をつくったのか?

協会の出発点にあるのは、資格ビジネスではなく、一つの問題意識でした。「問題を解決する」カウンセリングだけでは、人は前を向けないことがある。悩みが軽くなったあと、その人がその人らしく生きていくためには、強み・希望・可能性を育てる関わりが必要になる——ポジティブ心理学、ポジティブ心理療法、コーチング心理学などの「肯定的な心理学」を統合し、カウンセリングに応用すること。それが協会の設立理念です。

また協会は、誰もが学びやすいリーズナブルな価格設定と、更新料のない「一生モノの資格」という運営方針を採ってきました。これは「一部の専門家のもの」だったポジティブ心理学を、対人支援の現場と日常に開くという設立時の意志の表れです。

協会の誕生は「新しい資格をつくる」ことではなく、「問題解決の心理学」と「可能性を育てる心理学」を日本でつなぐ試みだった。2013年の設立、2018年の法人化はその節目である。

CHAPTER 09

創設者の物語——徳吉陽河

一人の心理学者・実践者は、なぜこの活動を始めたのか。協会代表理事・徳吉陽河(とくよし・ようが)の歩みを、5つの問いでたどります。

第8回国際ポジティブ心理学会(カナダ・トロント)にて、セリグマン教授と徳吉陽河
第8回国際ポジティブ心理学会(カナダ・トロント)にて

徳吉陽河(とくよし・ようが)/一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会 代表理事・講師、一般社団法人コーチング心理学協会 代表理事。公認心理師・キャリアコンサルタント(いずれも国家資格)、認定心理士(心理調査)ほか。ペンシルベニア大学ポジティブ心理学専門コース、シドニー大学ポジティブメンタルヘルスコースなどを修了。専門はコーチング心理学、ポジティブ心理学、キャリア心理学、認知科学。

著書に『ポジティブ大全』(総合法令出版)、監訳・監修に『コーチング心理学ガイドブック』、そしてセリグマン教授の最新刊・Tomorrowmind日本語版『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』(総合法令出版、2026年)の監訳・解説を担当。座右の銘は「我以外皆我師也」。書籍の詳細は第12章「物語は、本になった」へ。

Q1. なぜ、ポジティブ心理学だったのか?

出発点にあったのは、「ネガティブであること」は悪なのか、という問いでした。内向的な人、敏感な人、ネガティブに考えやすい人が、その特性のままで前向きに生きる道はないのか。ポジティブ心理学は「ネガティブを直す」のではなく「弱さを強みに変える」という発想の転換を与えてくれる学問でした。著書『ポジティブ大全』の副題「あなたの弱さを強みに変える技術」には、この原点がそのまま刻まれています。

Q2. なぜ、カウンセリングだったのか?

知識としてのポジティブ心理学は、本を読めば学べます。しかし人が変わる瞬間には、多くの場合「対話」があります。傾聴し、問いかけ、強みを映し返す他者の存在——だからこそ協会は、知識の習得だけでなく「対話の力」を養うことに重点を置いてきました。傾聴力・質問力・柔軟性・立て直す力。カウンセリングは、ポジティブ心理学を人生に届けるための乗り物なのです。

Q3. なぜ、コーチング心理学と統合したのか?

カウンセリングが「苦痛・悩み・人生の問題」に寄り添う営みだとすれば、コーチングは「目標・成長・可能性」に伴走する営みです。人の人生には、その両方の時間があります。悩みを回復に導く力と、可能性を引き出す力を一人の支援者が併せ持てたら——それが、ポジティブ心理学を軸にカウンセリングとコーチング心理学を統合した理由です。

Q4. なぜ、資格・講座をつくったのか?

一人で支援できる人数には限りがあります。しかし、支援できる「人」を育てれば、その先に何倍もの人生が広がります。教師が生徒の強みを見られるようになる。管理職が部下の可能性を引き出せるようになる。だからこそ、学びやすい価格で、更新料のない一生モノの資格として講座を設計しました。資格はゴールではなく、支援の輪を広げるための出発点です。

Q5. 何を、日本に広めたかったのか?

「科学的なエビデンス」と「一人ひとりの人生の物語」の両方を大切にする心理支援です。研究知見だけでは人の人生は語れず、物語だけでは支援の質を保証できません。Evidence × Narrative——その統合を、日本の文化に合った形で実践できる人を増やすこと。それが協会の変わらない目的です。

※インタビューは、協会公式サイト・著書・プレスリリース等で公表されている情報をもとに構成しています。

創設者の物語の核心は「ネガティブの否定」ではなく「弱さを強みに変える」こと。この一貫した思想が、協会のすべての講座・資格の背骨になっている。

CHAPTER 10

ポジティブ心理学 × カウンセリング × コーチング

協会の独自性は、この「統合」にあります。3つの心理学の合流点に生まれたのが、ポジティブ心理カウンセリングです。

ポジティブ心理カウンセリングの統合図 ポジティブ心理学(強み・幸福・ウェルビーイング)、カウンセリング(苦痛・悩み・人生の問題)、コーチング心理学(目標・成長・可能性)の3つが合流し、ポジティブ心理カウンセリングとなり、人生の物語を支援する心理学へつながる図 ポジティブ心理学 強み・幸福 ウェルビーイング カウンセリング 苦痛・悩み 人生の問題 コーチング心理学 目標・成長 可能性 ポジティブ心理カウンセリング 回復も、成長も、ひとつの対話の中で 人生の物語を支援する心理学へ Evidence(科学的根拠)× Narrative(人生の物語)
図:協会が目指す統合的ポジティブ心理支援の構造(協会理念をもとに作成)

「問題を解決する心理学」と「可能性を育てる心理学」は対立しない。両方を扱えることが、ポジティブ心理カウンセラーの専門性である。

CHAPTER 11

Evidence × Narrative
——心理学は、人の人生を「数字」だけでは語れない

幸福度、強み、レジリエンス。ポジティブ心理学は多くの「測れるもの」を生み出しました。しかし、測定値は人生の半分しか語りません。

Evidence(科学的エビデンス)

  • 幸福度・強み・レジリエンスなどの測定と検証
  • 「何が効くか」を研究の積み重ねで確かめる
  • 思い込みや精神論から実践を守る
  • 支援の質を保証する共通の土台になる

Narrative(人生の物語)

  • その人は何を経験してきたのか
  • 何を大切にし、何を乗り越えてきたのか
  • どんな未来を望み、人生にどんな意味を見いだしているのか
  • 数値に還元できない「その人らしさ」を扱う

当協会は、科学的なエビデンスと物語るナラティブの両方に基づくカウンセリング・コーチング・ウェルビーイング教育を推進しています。尺度で測れることは誠実に測り、測れないことは物語として聴く。エビデンスは支援の地図であり、ナラティブは その人だけの旅路です。どちらか一方では、人生の支援にはなりません。

ポジティブ心理カウンセリングの現在地は「Evidence × Narrative」。科学と物語の統合こそ、この歴史の物語がたどり着いた答えである。

CHAPTER 12

物語は、本になった

協会の歩みは、2冊の書籍にも結実しています。1冊は日本発の実践知、もう1冊はポジティブ心理学の創始者から日本への手紙です。

書籍『もっと自分を知って好きになる!ポジティブ大全 あなたの弱さを強みに変える技術』書影

『もっと自分を知って好きになる! ポジティブ大全』

徳吉陽河 著/総合法令出版(2023年)/特集記事へ →

副題は「あなたの弱さを強みに変える技術」。ポジティブ心理学を軸に、キャリア理論、ストレングス、ウェルビーイング、アドラー心理学、行動経済学、脳科学までを一冊に統合した入門書。約1万4千人のデータに基づく「30の強み」の心理テストを収録し、ネガティブ・内向的・敏感——そんな自分のままで前向きに生きる技術を届ける。要約サービスの名著ランキングでも高く評価された。

書籍『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』(Tomorrowmind日本語版)書影

『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』

マーティン・セリグマン&ガブリエラ・R・ケラーマン 著/徳吉陽河 監訳・解説/総合法令出版(2026年)

ポジティブ心理学の創始者セリグマンによる『Tomorrowmind』の日本語版。「未来は予測できないが、未来への適応力は育てられる」を核に、PRISMモデル——未来予想力(Prospection)・レジリエンス(Resilience)・創造性(Innovation)・つながり(Social connection)・重要感と意味(Mattering & Meaning)——を提示する。1998年に始まった物語が、AI時代の働き方・生き方の書として日本に届いた。

Tomorrowmind日本語版『これからの生き方』特集記事へ——著者紹介・PRISMモデル・読み方ガイド

→ 特集記事:『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』のPRISMモデルと読みどころ

※書影・画像は協会・出版社公式の告知素材より。刊行の詳細は協会のお知らせページをご覧ください。

『ポジティブ大全』は日本の文化に合わせた実践知、『これからの生き方』は創始者セリグマンの最新の到達点。2冊を並べると、この特集で語った歴史の「現在」が見える。

CHAPTER 13

学んだ人の中で、何が変わるのか

私たちが大切にしているのは、資格そのものではありません。学んだ人の「ものの見方」が変わることです。ポジティブ心理学を学ぶと、同じ現場が違って見えはじめます。

教育の現場で
生徒の問題行動を見つけて、正そうとする↓ 学びの後生徒の強みを見つけて、伸ばす対話をする
人事・管理職として
部下の弱点を指摘し、改善を求める↓ 学びの後強みを活かす1on1で、持ち味を成果につなげる
カウンセリング・対人支援で
問題の解決をもって支援を終える↓ 学びの後回復のその先——成長とウェルビーイングまで伴走する
キャリア支援で
条件に合う仕事を探す手伝いをする↓ 学びの後強み・価値観・意味から「その人らしいキャリア」を共につくる

※上記は講座で目指す視点の変化を役割別に示したものであり、特定の個人の体験談ではありません。

資格は目的ではなく、視点の転換の証。学びの前後で変わるのは肩書きではなく、「人を見る眼」である。

WORK

あなたの物語——5つの問い

この特集は、ポジティブ心理学の物語であると同時に、読んでいるあなたの物語でもあります。STORY 01〜05に対応する5つの問いに、言葉を残してみてください。書いた内容はこのページの外には送信されず、保存もされません。必要ならコピーまたは印刷でお手元に残せます。

記入:0/5問

※この問いはセルフワーク用であり、妥当性の検証を行った心理検査ではありません。つらい記憶に触れて苦しくなったときは、無理に書き進めず、信頼できる人や専門家にご相談ください。

CHAPTER 14

これからのポジティブ心理カウンセリング

物語は過去形では終わりません。AIが台頭し、働き方が揺らぐ時代に、ポジティブ心理学と心理支援はどこへ向かうのか。

高度な共感とラポール

AIには代替しにくい、人と人のあいだに生まれる信頼関係の構築。

「問い」を選び抜く専門性

その人の物語を動かす一つの問いを選ぶ力。カウンセリングとコーチングの核。

強みと可能性を見出す力

本人さえ気づいていない強みに光を当て、言葉にして手渡す力。

ウェルビーイングへの伴走

問題解決で終わらず、よりよく生きるプロセスに長く寄り添う力。

協会は、AI時代においてこそ心理カウンセラーの価値は際立つと考えています。そしてポジティブ心理学は、カウンセリング・コーチング・キャリア・教育・組織開発・AI・ナラティブ・ウェルビーイングを横断する「統合的ポジティブ心理支援」へと発展しつつあります。1998年に始まったこの物語の次の章は、これから学ぶ人たちが書いていきます。

この物語の続きを、学びで

協会の認定資格講座は、この特集で語った歴史と思想の上に設計されています。特定の講座を押しつけることはしません。関心のある入口からご覧ください。

講座の受講条件・開催形式・料金は各ページをご確認ください。団体・法人向け研修はこちら

FAQ

よくある質問

ポジティブ心理学の歴史と協会について、よくいただく質問をまとめました。

ポジティブ心理学とは何ですか?

人間の強み、幸福、ウェルビーイング、最適な機能などを科学的に研究する心理学の領域です。1998年にマーティン・セリグマンが提唱しました。「前向きに考えよう」という精神論ではなく、測定と検証にもとづく学問です。

ポジティブ心理学は誰がいつ始めましたか?

1998年、マーティン・セリグマンがAPA(アメリカ心理学会)会長としての活動を通じて提唱したことが大きな転機です。2000年にはチクセントミハイとの論文で研究領域として確立しました。

ポジティブ心理学とポジティブシンキングは違いますか?

違います。ポジティブシンキングは「良いことを考えよう」という心がけですが、ポジティブ心理学は「人がよりよく機能する条件」をエビデンスにもとづいて研究する科学です。ネガティブな感情も否定せずに扱います。

ポジティブ心理学はネガティブな感情を否定しますか?

否定しません。ネガティブな感情には危険を知らせるなどの大切な役割があります。特にポジティブ心理学2.0では、苦しみや逆境を成長と意味の源泉として積極的に扱います。

ポジティブ心理学の歴史を簡単に教えてください。

1950〜70年代の人間性心理学(マズロー、ロジャース)を前史として、1998年にセリグマンが提唱。2000年代に強み・幸福研究とVIA、2010年代にPERMAとウェルビーイング応用、2010年代以降は意味・レジリエンスを統合するポジティブ心理学2.0へと発展しています。

ポジティブ心理学の前史にはどんな心理学者がいますか?

ウィリアム・ジェームズ、ヴィクトール・フランクル、アブラハム・マズロー、カール・ロジャース、ミハイ・チクセントミハイなどです。マズローは著書の中で「ポジティブ心理学」という言葉をすでに使っていました。

PERMAとは何ですか?

セリグマンが2011年に提唱したウェルビーイングの5要素モデルです。ポジティブ感情(P)、エンゲージメント(E)、関係性(R)、意味・目的(M)、達成(A)の頭文字をとっています。

VIA(24の強み)とは何ですか?

ピーターソンとセリグマンが2004年に体系化した「人格の強み(Character Strengths)」の分類です。好奇心・勇気・親切心など24の強みを6つの美徳領域に整理し、診断ツールとして世界中で使われています。

ウェルビーイングとは何ですか?

一時的な気分の良さではなく、心身・人間関係・人生の意味などを含む「持続的な幸せ・良い状態」を指します。主観的、心理的、社会的、身体的、キャリアなど複数の側面から捉えられます。

ポジティブ心理学2.0とは何ですか?

ポール・T・P・ウォンらが提唱した第二世代のポジティブ心理学です。肯定的側面だけでなく、苦悩やネガティブな経験を成長と意味の源泉として統合的に扱います。「人生の二重性」が中心概念です。

ポジティブ心理学3.0とは何ですか?

個人の幸福を超えて、組織・社会・地球規模のウェルビーイングの調和までを視野に入れる、システム思考にもとづく最新の展開です。文化的多様性や学際的統合を重視します。

ポジティブ心理学は日本でどのように広がりましたか?

2000年代以降、研究・教育・企業研修などを通じて広がりました。日本人の謙遜・誠実といった文化的特徴に合わせた実践が模索され、2013年にはポジティブ心理カウンセラー協会の前身が設立されるなど、カウンセリングへの応用も進んでいます。

ポジティブ心理カウンセラーとは何ですか?

ポジティブ心理学の知見をカウンセリングに統合し、問題の解決だけでなく強み・希望・ウェルビーイングを育てる対話を行う専門家です。「ポジティブ心理カウンセラー®」は当協会の商標登録された認定資格です(登録第5879620号)。

ポジティブ心理カウンセラー協会はいつ設立されましたか?

2013年1月に日本ポジティブ心理カウンセラー協会として設立され、2018年5月に一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会として法人化しました。東京・浜松町に本部があります。

協会の代表者は誰ですか?

代表理事は徳吉陽河(とくよし・ようが)です。公認心理師・キャリアコンサルタント(国家資格)で、著書に『ポジティブ大全』、監訳・解説に『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』などがあります。

ポジティブ心理学とカウンセリングの関係は?

従来のカウンセリングが「苦痛や問題の解決」を主に扱うのに対し、ポジティブ心理学は「回復のその先」——強みの活用やウェルビーイングの構築を扱います。両者を統合したものがポジティブ心理カウンセリングです。

ポジティブ心理療法とは何ですか?

ポジティブ心理学の知見を心理療法に応用したアプローチです。症状の軽減だけでなく、ポジティブ感情・強み・意味を育てることで回復と成長を支援します。当協会は「ポジティブ心理療法士®」(商標登録第6266686号)の認定を行っています。

ポジティブ心理学とコーチング心理学の違いは?

ポジティブ心理学は「人がよりよく機能する条件」を研究する学問領域で、コーチング心理学は「目標達成や成長を支援する対話」を心理学にもとづいて行う実践領域です。協会はカウンセリングを含めた3つの統合を目指しています。

Evidence × Narrative とは何ですか?

科学的エビデンス(研究知見・測定)と、一人ひとりの人生の物語(ナラティブ)の両方を大切にする、当協会の心理支援の基本方針です。尺度で測れることは測り、測れないことは物語として聴きます。

ポジティブ心理学は仕事に活かせますか?

活かせます。教育(強みを伸ばす指導)、人事・管理職(強みを活かす1on1)、カウンセリング・対人支援(回復後の成長支援)、キャリア支援(意味のあるキャリアづくり)、組織開発など、幅広い現場で応用されています。

心理学の知識がなくても資格講座を受講できますか?

協会の講座は、心理学をはじめて学ぶ方から対人支援の専門家まで、段階に応じて学べるよう設計されています。各講座の受講条件は公式サイトの講座ガイドをご確認ください。

資格に更新料はかかりますか?

当協会の認定資格は更新不要の「一生モノの資格」として運営されており、取得後に追加費用なく生涯活用できます。詳細は各講座ページをご確認ください。

『ポジティブ大全』はどんな本ですか?

協会代表理事・徳吉陽河による書籍(総合法令出版、2023年)で、副題は「あなたの弱さを強みに変える技術」。ポジティブ心理学を軸に複数の心理学・科学を統合し、約1万4千人のデータに基づく30の強みの心理テストを収録しています。

『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』はどんな本ですか?

ポジティブ心理学の創始者セリグマンとケラーマンによる『Tomorrowmind』の日本語版(総合法令出版、2026年)です。徳吉陽河が監訳・解説を担当し、揺らぐ時代に立ち直る力を育てるPRISMモデルを紹介しています。

PRISMモデルとは何ですか?

『Tomorrowmind(これからの生き方)』で提唱された、変化の時代に育てるべき5つの能力です。未来予想力、レジリエンス、創造性、つながり、重要感・意味の5つで構成されます。

Mattering(重要感)とは何ですか?

「自分は誰かにとって大切な存在であり、意味のある貢献をしている」という感覚です。ポジティブ心理学2.0やPRISMモデルで重視される、ウェルビーイングと働きがいの中核概念です。

あなた自身の人生にも、
誰かを支える人生にも、
ポジティブ心理学を。

1998年に始まった物語は、まだ途中です。人生の物語を歩むすべての人に、肯定的な心理学とカウンセリングの技法を。次の一歩は、あなたが選べます。