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強み

強みを仕事に変える 24の強みから役割へ。使いすぎの落とし穴まで含めて

強みは、持っているかどうかより「いつ出すか」で効き方が変わります。 このページでは、強みを具体的な役割へ変換するワークと、 使いすぎたときに何が起きるかを扱います。

手元の機器を確認しながら作業する人
Photo:ThisisEngineering / Unsplash(無料ライセンス。掲載内容と写真の人物・団体に関係はありません)
一言でいうと

強みを活かすとは、職務を変えることではなく同じ仕事の中で強みが出る場面を増やすことです。 そして強みは、使えば使うほどよいものではありません。 誠実さは融通のきかなさに、親切心は抱え込みに転じます。 どれを持つかより、状況に応じて選べることが、使いこなすということです。

01強みとは何か、何ではないか

よくある理解より正確な理解
得意なこと・できること スキルや技能とは区別される。性格の強みは、 使っているときに自然さと活力を感じるという特徴を持つ。
長所を伸ばせばよい 伸ばす対象というより、使う場面を選ぶ対象。 同じ強みでも、場面によって効果にも害にもなる。
弱みを見なくてよくなる 課題は課題として扱う。 実務では「この課題に、自分のどの強みを使うか」という形で両方を同時に扱う。
一度決まれば変わらない 役割や環境が変われば、出番の多い強みも変わる。 出ていないことは、持っていないことを意味しない。
強みを扱うことの本当の効果
強みの言語化が効くのは、性格が変わるからではありません。 自分の行動を説明できる言葉が増えるからです。 言葉があると、うまくいった理由を再現でき、うまくいかない場面での選択肢も増えます。

02強みの見つけ方4つ

方法 1

人からよく頼まれることを数える

過去3か月で、人から頼まれたことを思い出して書き出す。依頼は、他者から見えているあなたの強みの記録です。

注意:「できるから頼まれる」だけでなく「押しつけられている」場合もあります。頼まれて消耗するものは、強みではなく我慢かもしれません。

方法 2

やっていて時間を忘れることを探す

仕事の中で、気づいたら時間が経っていた作業を挙げる。没頭が起きる作業には、その人の資質が関わっていることが多くあります。

注意:現実逃避としての没頭と区別してください。終わったあとに充実感が残るかどうかが手がかりです。

方法 3

うまくいった場面を分解する

過去にうまくいった仕事を1つ選び、「そのとき自分は何をしていたか」を行動レベルまで細かく書き出す。

注意:成果ではなく行動に注目すること。「売上が上がった」ではなく「先方の話を最後まで聴いてから提案した」まで下ろします。

方法 4

一覧から選ぶ

24の強みの一覧から、自分に当てはまるものを選ぶ。ゼロから考えるより、選択肢がある方が圧倒的に選びやすくなります。

注意:選んだものが正解とは限りません。3か月後に見直すと変わっていることもあります。

4つを併用する
自己申告だけでは偏りが残ります。「一覧から選ぶ」で候補を出し、「人からよく頼まれること」で裏を取る、という2段構えが最も精度が高くなります。

03強み→仕事への変換ワーク

強み→仕事への変換ワーク

「自分に当てはまる」と思う強みにチェックを入れてください(3〜7個が目安)。 選んだ強みごとに、仕事での活かし方と使いすぎたときに起きることを表示します。 強みは、使えば使うほどよいものではありません。

分類について  ここでの24の強みは、ポジティブ心理学で広く使われている性格の強みの分類(VIA分類)の6つの徳目に沿って整理したものです。 本ワークは正式な測定ではなく、自己理解のきっかけとして使う簡易版です。

知恵と知識

勇気

人間性

正義

節度

超越性

書き出してみる

上の結果を見ながら、次の2つを自分の言葉で書いてください。書いた内容は保存されません。 コピーまたは印刷して手元に残してください。

① いまの仕事で、その強みがすでに使えている場面

② 来月、その強みをもう一段使ってみる場面

04使いすぎると、強みは弱みになる

強みの過剰使用は、実務でよく見られる問題です。本人は「よかれと思って」やっているため、指摘されても納得しにくいという難しさがあります。

強み使いすぎたときに周囲から見える姿
誠実さ融通がきかない、正論で場を止める
親切心抱え込み、相手の自立を妨げる
慎重さ決められない、機会を逃す
熱意周囲との温度差、自分の消耗
公平さ個別事情への配慮が薄いと受け取られる
リーダーシップ任せられず、周囲が育たない

過剰使用への対処

  1. 強みを否定しない 「親切なのがよくない」と伝えると、その人の在り方の否定になります。 扱うのは強みそのものではなく、使う量と場面です。
  2. 場面を特定する 「いつも」ではなく「先週の◯◯の場面で」と限定します。 場面が特定されると、本人も検討しやすくなります。
  3. 別の強みを出す選択肢を示す 「親切心を減らす」ではなく「この場面では慎重さのほうを出してみる」という提案にします。 引き算ではなく、切り替えの話にすることです。
使いすぎは、本人の消耗のサインでもある
過剰使用は、余裕がないときに起きやすくなります。 選択肢を持てる状態であれば、人は場面に応じて出す強みを変えられます。 それができないとき、疑うべきは性格ではなく、負荷と裁量です。

05強みの領域と、相性のよい役割

変換ワークで選んだ強みが多く集まった領域から、いまの仕事で増やせる役割を探すための表です。

領域含まれる強み相性のよい役割・場面
知恵と知識創造性・好奇心・知的柔軟性・向学心 企画立案/課題の整理/新分野の立ち上げ/教育・研修の内容設計
勇気誠実さ・勇敢さ・忍耐力・熱意 問題提起/品質管理/長期プロジェクトの推進/立ち上げ期の牽引
人間性親切心・愛情・社会的知性・公平さ 1on1・面談/オンボーディング/クレーム対応/評価・配分の設計
正義チームワーク・リーダーシップ・寛容さ・慎み深さ 部門横断の推進/プロジェクト統括/育成/関係修復・調整
節度思慮深さ・自律心・審美眼・感謝 リスク管理/契約・品質保証/顧客体験の設計/組織文化づくり
超越性希望・ユーモア・スピリチュアリティ・熱中 変革期の推進/研修・ファシリテーション/理念の浸透/専門的な制作
表の使い方
この表は「この領域の人はこの仕事に就くべき」という意味ではありません。 いまの仕事の中で、どの役割を少し増やせるかを探すための材料です。 役割を1つ増やすだけでも、日々の実感は変わります。

06チームで扱うときの3つの注意

① 評価と結びつけない

強みの対話が評価に接続した瞬間、参加者は「評価される自分」を演じます。 評価資料に転記しないと明言し、実際にしないことです。

② 固定しない

「あなたはこういう人」と決めつけると、新しいレッテルになります。 「いまの役割ではこれが出やすい」という言い方に留めてください。

③ 出ていない人を欠けているとみなさない

強みが見えにくい人は、環境がその強みを必要としていないだけのことがあります。 本人の問題として扱わないでください。

強み共有を1回で終わらせないために
研修で強みを共有して終わると、たいてい1か月で話題に出なくなります。 続けるには、日常の形式に組み込むことです。 たとえば目標設定面談に「この目標はあなたの何を活かすか」という問いを1つ足すだけでも、 年に2回は必ず強みの話に戻ります。

07研究でわかっていること・いないこと

わかっていること

強み活用の介入は、個人の資源に中程度の効果: 事前登録され統制群を置いた21試験の分析で、個人資源に中程度、 職場のウェルビーイングと成果に小さな効果が報告されています。

Vîrgă, D. et al. (2022). Applied Psychology. doi:10.1111/apps.12451

条件つき

ただし、成果への効果は追跡時点で有意でなくなった: 同じ分析の中で、フォローアップ時点では成果への効果が統計的に有意でなくなったことが報告されています。 一度の介入で持続的な変化が起きるとは考えないほうが実際的です。

同上

わかっていないこと

行動そのものが変わるかは、まだデータが少ない: 強みに基づく介入のうち、行動面の成果を統制群と比べた研究は限られており、 418件の候補のうち条件を満たしたのは29論文でした。 小〜中程度の効果(g=0.32)は示されていますが、 従来のアプローチに置きかわると言える段階ではないと結論づけられています。

Bates-Krakoff, J. et al. (2022). International Journal of Wellbeing. doi:10.5502/ijw.v12i3.2111

この情報をどう受け取るか
「効果が小さいから意味がない」ではありません。 コストが低く、副作用も比較的少ない方法で、小〜中程度の効果が得られるのであれば、 実務上は十分に検討に値します。 ただし、これだけで大きな問題が解決するかのような説明はしない、ということです。 より詳しくはエビデンスのページをご覧ください。

FAQよくある質問(16問)

強みの基礎

強みとは、得意なことのことですか?

厳密には違います。ここでいう強みは、性格の強み(character strengths)を指し、「その人らしいふるまい方」に近いものです。スキルや技能は訓練で身につきますが、性格の強みは、使っているときに自然さや活力を感じるという特徴があります。

24という数はどこから来ていますか?

ポジティブ心理学で広く使われている性格の強みの分類(VIA分類)に基づいています。6つの徳目(知恵と知識・勇気・人間性・正義・節度・超越性)のもとに、24の強みが整理されています。本ページのワークは、この分類に沿って簡易に整理したもので、正式な測定ではありません。

強みは変わりますか?

変わることがあります。役割が変われば、出番の多い強みも変わります。また、環境が厳しいときには、本来の強みが表に出にくくなります。「いま出ていない=持っていない」ではありません。

弱みは見なくてよいのですか?

見ます。強みに注目することは、課題を見ないことではありません。むしろ実務では、「この課題に、自分のどの強みを使って取り組むか」という形で、両方を同時に扱います。強みだけを見る運用は、現実の問題解決から離れていきます。

見つけ方

自分の強みが本当にわかりません。

「得意なこと」を探すとわかりにくくなります。「人からよく頼まれること」「やっていて苦にならないこと」から入ってください。それでも出ない場合は、身近な3人に「私がやっていることで、助かっていることは何ですか」と尋ねる方法が有効です。

自己申告では思い込みになりませんか?

その通りです。自己認識には偏りがあります。だからこそ、他者からの依頼という行動の記録を手がかりにする方法を併用してください。自己申告と他者からの見え方を突き合わせると、精度が上がります。

選んだ強みに自信が持てません。

暫定でかまいません。強みの特定は、一度で決める作業ではありません。選んだ強みを2週間意識して使ってみて、実感があるかどうかで確かめるほうが、考え続けるより確実です。

仕事での使い方

強みを仕事にどう結びつければよいですか?

職務を変えるのではなく、同じ職務の中で強みが出る場面を増やすのが現実的です。たとえば「社会的知性」が強みなら、同じ会議でも進行や調整の役を引き受ける、といった形です。本ページの変換ワークで、強みごとの活かし方の例を確認できます。

強みが活きない仕事に就いています。

その状態が続くと消耗します。ただし、転職の前に確かめられることがあります。業務のうち、進め方・関わる相手・意味づけの3点に、自分で調整できる余地がないかを探してください。この余地が本当にないのであれば、環境側の問題として検討する価値があります。

部下の強みを、どう本人に伝えればよいですか?

評価語ではなく事実の描写で伝えてください。「気配りができるね」ではなく「あの会議で、発言していない人に先に話を振っていたね」です。本人が自分の行動として再現できる形で残ります。

強みを面接や職務経歴書に書くとき、注意点はありますか?

強みの名前だけを書いても伝わりません。「その強みが表れた具体的な場面」と「その結果として何が起きたか」をセットにしてください。採用側が知りたいのは性格の名前ではなく、再現される行動です。

チームで扱う

チーム全体で強みを扱うときの注意点は?

3つあります。①評価と結びつけない、②「あなたはこういう人」と固定しない、③強みが出ていない人を欠けているとみなさない。特に③は起きやすく、強みの言語化が新しいレッテル貼りに変わってしまいます。

強みが偏っているチームはどうすればよいですか?

偏り自体は問題ではありません。問題になるのは、その偏りによって手薄になる機能が放置されているときです。足りない強みを持つ人を探すより、「この機能は仕組みで補う」と決めるほうが現実的なことが多くあります。

強みの話をすると、白けた空気になります。

順番を疑ってください。困っていることを十分に話せていない場で強みの話を始めると、話をそらされたと受け取られます。また、上司が評価する形で進めると必ず白けます。本人同士のペアで話す形式にすると変わることがあります。

限界

強みを扱う介入に、研究上の裏づけはありますか?

あります。事前登録された統制群つきの試験をまとめた分析では、個人資源に中程度、職場のウェルビーイングと成果に小さな効果が報告されています(Vîrgă et al., 2022)。ただし追跡時点では成果への効果が有意でなくなった点も報告されており、持続性については慎重に見る必要があります。

行動そのものが変わるという証拠はありますか?

限定的です。強みに基づく介入のうち、行動面の成果を統制群と比較して検討した分析は少なく、418件の候補研究のうち条件を満たしたのは29論文にとどまりました(Bates-Krakoff et al., 2022)。小〜中程度の効果は示されていますが、従来の症状低減型のアプローチに置きかわるほどのデータはない、というのが現状の評価です。

次に読む

仕事に活かすための講座・資格(一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会)

本特集で扱った内容は、一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会の講座で体系的に、対話形式の演習を通して学べます。 1日の入門から参加でき、続けたい場合に資格認定コースへ進む形です。協会の資格は、国際的な研究知見を日本の職場・文化に合わせて取り入れるグローカルな専門性と、 時代のニーズを素早く講座にする機動性、協会独自の研究とアプローチを学べる点が特長です。 看護師・保育士・介護福祉士・キャリアコンサルタント・公認心理師などの国家資格と組み合わせることで相乗効果が生まれ、 次のキャリアの機会やキャリアチェンジにもつながります。受講で得られる実践経験や、同じ志をもつ人との交流・ネットワークは、お金だけでは買えない価値です。

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法人・団体研修

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